想定読者

  • これからフリーランスや個人事業主としてビジネスを始める方
  • 初めて見積もりを作成するが、何から手をつければ良いか分からない方
  • 自分の仕事の価値を正しく価格に反映させたいと考えている方

結論:見積もりは「ビジネスの命綱」。あなたの価値を正しく伝え、未来のトラブルを防ぐ最強の武器だ

「この仕事、いくらで引き受ければいいんだろう…」 「安すぎたかな?」「高すぎたら断られるかも…」

ビジネスを始めたばかりの頃、誰もが一度は経験する見積もり作成の悩み。特に、自分の仕事に自信が持てないと、つい安請け合いしてしまいがちです。しかし、見積もりは、単なる「金額提示」ではありません。顧客との信頼関係を築き、トラブルを未然に防ぎ、自身の利益を確保するための、極めて重要な「ビジネス文書」なのです。

適切な見積もりを作成するためには、自分の仕事にかかる「原価」と「時間」を正確に把握し、そこに「適正な利益」を乗せるという基本原則を理解することが不可欠です。この記事では、ビジネス初心者が適正価格で仕事を受注し、トラブルを避けるための見積もり作成の基本と実践法を解説します。

なぜ、見積もりは「ビジネスの命綱」なのか?

「言った言わない」のトラブルを防ぐ

口頭での合意は、後々「言った言わない」のトラブルに発展しがちです。見積書は、提供するサービスの内容、費用、納期などを明確に文書化することで、双方の認識のズレを防ぎ、契約の基礎となります。

自分の仕事の価値を正しく伝える

見積書は、単なる金額の羅列ではありません。作業内容を細かく分解し、それぞれの工程にどれだけの時間や費用がかかるのかを明示することで、顧客はあなたの仕事の専門性や価値を正しく理解できます。安易な価格提示は、あなたの価値を低く見せることにも繋がります。

適正な利益を確保し、事業を継続する

自分の仕事にかかるコストを正確に把握し、適正な利益を乗せることで、事業を継続し、成長させるための資金を確保できます。安請け合いは、短期的な売上には繋がっても、長期的にはあなたの事業を疲弊させます。

見積もり作成の基本原則。あなたの仕事の「原価」を知る

原価

材料費、外注費、交通費、使用するソフトウェアのライセンス料など、その仕事にかかる直接的な費用です。これらは、顧客に請求する金額の最低ラインとなります。

時間

あなたがその仕事にかける時間です。自分の人件費(時給換算)を把握し、作業にかかる時間を乗じることで、人件費としてのコストを算出します。時給は、あなたのスキルや経験、市場価値を考慮して設定しましょう。

諸経費

通信費、家賃、消耗品費、光熱費、広告宣伝費など、事業運営にかかる間接的な費用です。これらも、最終的な見積もり金額に含める必要があります。年間にかかる諸経費を算出し、月割りや案件ごとに按分して計上しましょう。

利益

事業を継続し、成長させるために必要な適正な利益です。利益がなければ、新しいスキルを学ぶための投資も、設備投資もできません。利益率は、業種やビジネスモデルによって異なりますが、まずは目標とする利益率を設定しましょう。

ビジネス初心者のための「見積もり作成」5ステップ

ステップ1:顧客の要望を徹底的にヒアリングする

見積もり作成の前に、顧客が何を求めているのか、その目的、納期、予算、成果物のイメージなどを、具体的に、そして徹底的にヒアリングしましょう。顧客の課題やニーズを深く理解することが、適切な見積もりを作成する第一歩です。

ステップ2:作業内容を細かく分解する

ヒアリングした内容に基づき、提供するサービスや製品の作業内容を、できるだけ細かく分解します。各工程にどれくらいの時間や費用がかかるのかを具体的に洗い出すことで、見積もりの精度が高まります。

ステップ3:時間と単価を見積もる

分解した各作業工程について、かかる時間を見積もり、自分の時給を乗じて人件費を算出します。もし、特定の作業を外注する場合は、その外注費を計上します。

ステップ4:諸経費と利益を加算する

ステップ3で算出した金額に、諸経費と適正な利益を加算します。この時、消費税の計上も忘れないようにしましょう。

ステップ5:見積書を作成し、提示する

作成した見積もりを、顧客に分かりやすい形で提示します。見積書には、以下の項目を必ず明記しましょう。

  • 見積もり番号、発行日、有効期限
  • 顧客名、自社名
  • 件名(何の仕事の見積もりか)
  • 作業内容の詳細な内訳と、それぞれの単価、数量、金額
  • 合計金額(税抜き、税込み)
  • 支払い条件、納期、その他特記事項(修正回数、追加料金の発生条件など)

見積もり提示後の「価格交渉」にどう対応するか?

安易な値下げはしない

顧客から価格交渉があったとしても、安易な値下げは避けましょう。一度値下げすると、次からも値下げを要求される可能性が高まります。あなたの仕事の価値を、あなた自身が下げてしまうことになります。

内訳を説明し、価格の根拠を明確にする

「なぜ、この金額になるのか」を、見積書の内訳を元に丁寧に説明しましょう。顧客が価格の根拠を理解すれば、納得してくれます。価格の根拠を明確にすることで、あなたの専門性もアピールできます。

「価格を下げるなら、どこを削るか」を提案する

顧客の予算が合わない場合、「この金額では難しいですが、もし〇〇の作業を削るなら、△△円で可能です」といったように、価格を下げる代わりに、サービス内容を調整する提案をしましょう。これにより、顧客は「価格」と「価値」のバランスを理解し、納得してくれます。

「できないことはできない」と毅然と伝える勇気

無理な要求や、自分のキャパシティを超える仕事は、毅然と断る勇気を持ちましょう。安請け合いは、結果的に品質の低下や納期遅延に繋がり、顧客からの信頼を失うことになります。

よくある質問

Q: 自分の時給をどう設定すれば良いか分かりません。

A: まずは、あなたが生活するために必要な月収を計算し、それを月の労働時間で割ってみましょう。そこに、あなたのスキルや経験、市場価値、そして事業運営にかかる諸経費や利益を考慮して上乗せします。最初は低めに設定し、経験を積むごとに上げていくのも一つの方法です。

Q: 顧客から「他社の方が安い」と言われたら、どうすれば良いですか?

A: 安易に値下げするのではなく、「他社様は〇〇の点で優れていると思いますが、弊社は△△の点で、御社の課題解決に、より貢献できると考えております」と、自社の強みや提供できる価値を明確に伝えましょう。価格だけでなく、品質やサポート、実績など、多角的な視点で比較してもらうように促します。

Q: 見積もりを出しても、なかなか返事がもらえません。

A: 見積もり提示後、数日経っても返事がない場合は、一度連絡を取り、状況を確認しましょう。その際、「何かご不明な点はございませんか?」といった形で、顧客が返事をしやすいように配慮します。また、見積もりの有効期限を設けておくことも有効です。

Q: 見積もりは、どこまで細かく書けば良いですか?

A: 顧客が内容を理解し、納得できる程度に細かく書くのが理想です。細かすぎると読むのが大変になり、大雑把すぎるとトラブルの原因になります。初めての顧客や、複雑な案件の場合は、より詳細に書くことを心がけましょう。テンプレートを活用するのも良い方法です。

筆者について

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