想定読者

  • 「寝る前にスマホを見るのがやめられない」と分かっていながら、つい続けてしまうビジネスパーソン
  • 睡眠の質を改善したいが、なぜスマホが悪いのか、その具体的な理由を知りたい方
  • 従業員や家族の健康を気遣い、科学的な根-拠を持ってスマホのリスクを伝えたい経営者

結論:寝る前のスマホは、脳に「今は真昼だ!戦え!」と命令しているのと同じである

結論から申し上げます。あなたが寝る前にベッドの中でスマホを見ている時、あなたの脳はリラックスするどころか、覚醒し、興奮し、ストレスを感じるという、睡眠とは真逆の活動を強制されています。

それは、時差ボケと徹夜とカフェイン摂取を、同時に行っているようなものです。

この記事では、なぜその行為がこれほどまでに睡眠の質を破壊するのか、そのメカニ-ズムを脳科学という、ごまかしの効かない視点から、3つのポイントで徹底的に解説していきます。

第1章: 脳を騙す「ブルーライト」の正体

まず、最もよく知られているブルーライトの問題です。これが、なぜこれほどまでに睡眠に悪影響を及ぼすのでしょうか。

「メラトニン」という、最強の睡眠ホルモン

私たちの脳は、暗くなると、松果体という部分からメラトニンというホルモンを分泌します。このメラトニンは、脈拍、体温、血圧を下げ、体に「そろそろ休む時間ですよ」と知らせる、自然な眠気を誘うための、最も重要なホルモンです。

このメラトニンが十分に分泌されることで、私たちはスムーズに、そして深く眠りにつくことができます。

ブルーライトが、メラトニンの分泌を“止めてしまう”

問題は、このメラトニンの分泌が、によって強力にコントロールされている、という点です。
特に、スマホやPCの画面が発する、波長の短いブルーライトは、脳に対して非常に強い覚醒信号を送ります。

私たちの目から入ったブルーライトの刺激は、脳の体内時計に直接届き、「今は太陽が輝く真昼だ!」と、脳を勘違いさせてしまいます。その結果、脳はメラトニンの分泌を緊急停止させてしまうのです。

寝る前にスマホを見ることは、眠るためのホルモンの蛇口を、自らの手で固く閉めているのと同じ行為なのです。

第2章: SNSが脳に与える「報酬系」と「ストレス」のダブルパンチ

ブルーライトだけが問題ではありません。あなたがスマホで見ているコンテンツの中身もまた、脳を眠りから遠ざけています。

「いいね!」が、脳を興奮させるドーパミンを放出する

SNSをスクロールしている時、あなたの脳内では何が起きているでしょうか。
面白い投稿、友人からの「いいね!」、新しいフォロワー。これらの刺激は、脳の報酬系と呼ばれる部分を活性化させ、快楽物質であるドーパミンを放出させます。

ドーパミンは、やる気や幸福感をもたらす重要なホルモンですが、同時に脳を覚醒・興奮させる作用も持っています。寝る前にSNSを見るのは、眠る直前にギャンブルやゲームで脳をハイにさせているようなものです。これでは、脳が落ち着いて休息モードに入れるはずがありません。

他人との比較が、「コルチゾール」というストレスホルモンを生む

SNSには、他人の「キラキラした」人生が溢れています。友人の海外旅行、同僚の昇進報告、華やかなパーティーの様子…。

これらの情報を見ると、無意識のうちに自分の現状と比較してしまい、「それに比べて自分は…」という劣等感焦りを感じてしまいます。このネガティブな感情は、コルチゾールという、代表的なストレスホルモンを分泌させます。

コルチゾールは、心拍数を上げ、血糖値を上昇させるなど、体を戦闘モードにするホルモンです。ストレスを感じながら眠りにつこうとすることは、アクセルを全開に踏みながら、サイドブレーキを引いているような、矛盾した状態なのです。

第3章: 失われる「記憶の定着」と「脳のデトックス」

寝る前のスマホは、寝つきを悪くするだけでなく、睡眠中に脳が行うべき、非常に重要な仕事を妨害してしまいます。

睡眠中の脳は「記憶の整理整頓」で大忙し

私たちが眠っている間、脳は決して休んでいるわけではありません。その日、見聞きした膨大な情報を整理し、重要なものを長期記憶として定着させ、不要な情報を削除するという、極めて重要な作業を行っています。

特に、深いノンレム睡眠中に、この記憶の整理整頓は活発に行われます。寝る前のスマホによって、この深い睡眠が妨げられると、せっかく日中に学んだ知識やスキルが、脳にうまく定着しません。つまり、あなたの自己投資や努力が、水-の泡になってしまう可能性があるのです。

脳の“老廃物”を洗い流す、デトックスタイムの阻害

近年の研究で、睡眠中には、脳内に溜まったアミロイドベータなどの老廃物が、脳脊髄液によって洗い流されていることが分かってきました。

この「脳のデトックス」が正常に行われないと、脳の機能が低下し、日中の集中力や思考力の低下に繋がります。長期的には、アルツハイマー病などのリスクを高める可能性も指摘されています。

寝る前のスマホは、あなたの脳を、ゴミが溜まったままの部屋で、無理やり働かせているようなものなのです。

第4章: 今夜から始める「デジタルデトックス」のすすめ

では、どうすれば、この悪習慣から抜け出せるのでしょうか。意志の力だけで戦うのではなく、仕組みで解決するのが最も効果的です。

寝室を「スマホ禁止区域」に設定する

最もシンプルで、最も強力なルールがこれです。
寝室には、スマホを持ち込まない。充電は、リビングなど、寝室以外の場所で行う。これを、家族を巻き込んで、家のルールにしてしまいましょう。

目覚まし時計は、スマホではなく、昔ながらの目覚まし時計を使えば良いのです。物理的に距離を置くことで、無意識に手を伸ばしてしまう誘惑を、断ち切ることができます。

スマホの代わりに、寝室に「置くもの」を決める

スマホを取り上げただけでは、手持ち無沙汰になってしまい、結局リビングに戻ってスマホを見てしまうかもしれません。

スマホの代わりに、あなたの心を穏やかにするアナログなアイテムを、ベッドサイドに置いておきましょう。

  • 読みたかった小説や、パラパラとめくれる雑誌
  • 簡単なストレッチをするための、ヨガマット
  • 今日の感謝を書き出すための、ノートとペン
  • リラックスできる、アロマディフューザー

寝る前の90分は、デジタルから離れ、自分自身と向き合うための、神聖な時間と位置づけるのです。この時間が、あなたの明日のパフォーマンスを、そして長期的な健康を、確実に向上させてくれます。

よくある質問

Q: スマホのブルーライトカット機能を使えば、問題ないですか?

A: ブルーライトをカットする機能(Night Shiftなど)は、メラトニンの抑制をある程度は軽減してくれますが、完全に防げるわけではありません。また、SNSなどによるドーパミンやコルチゾールの分泌という、コンテンツ自体が脳に与える興奮やストレスの問題は、全く解決されません。やらないよりはマシ、というレベルだと考えるべきです。

Q: どうしても、寝る前に仕事のメールをチェックしないと不安です。

A: その不安こそが、あなたの脳を興奮させている原因です。緊急の連絡は、メールではなく電話で来るはずだ、と割り切りましょう。寝る前にメールをチェックしても、その場で返信や対応ができなければ、ただ不安を増幅させるだけです。仕事のオンとオフを切り替える訓練として、勇気を持ってやめてみることをお勧めします。

Q: 寝る前に読書をするなら、電子書籍でもいいですか?

A: 紙の本がベストです。Kindle Paperwhiteのように、バックライトのないE-ink方式の端末であれば、スマホよりは影響は少ないとされています。しかし、iPadなどの液晶画面を持つタブレットでの読書は、スマホと同様にブルーライトを発するため、避けるべきです。

Q: スマホをやめたら、逆に退屈で眠れなくなってしまいました。

A: それは、あなたの脳が、スマホからの強い刺激に依存してしまっている証拠です。最初の数日間は、離脱症状のように退屈さや物足りなさを感じるかもしれませんが、それを乗り越えれば、脳は本来の自然なリズムを取り戻し、穏やかな眠りが訪れるようになります。まずは、1週間だけ試してみてください。

Q: 家族やパートナーが、ベッドでスマホを使っている場合はどうすればいいですか?

A: 非常に難しい問題ですが、この記事で解説したような科学的なリスクを、一度冷静に話してみるのが良いでしょう。相手を責めるのではなく、「お互いの健康のために、寝室だけはスマホフリーゾーンにしてみない?」と、協力的な形で提案してみることをお勧めします。

筆者について

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