想定読者

  • 社員のモチベーション低下に悩み、どのように指導すれば良いか迷っているマネージャー、リーダーの方
  • 部下の自律性を高め、自ら考えて行動するチームを作りたいと考えている方
  • ご自身のやる気がなかなか続かないと感じている方

結論:小さな成功がやる気を生む

「どうせ、何を言っても無駄だ」 「頑張っても、結果は変わらない」

もし、あなたの部下やチームメンバーが、そんな言葉を口にしたり、あるいは態度で示したりしているとしたら、それは「学習性無力感」に陥っているサインかもしれません。

学習性無力感とは、心理学者のマーティン・セリグマンが提唱した概念で、努力しても報われない経験が繰り返されると、人は「何をしても無駄だ」と感じ、自ら行動することを諦めてしまう状態を指します。これは、社員のやる気を奪い、挑戦する意欲を失わせ、最終的には組織全体の活力を低下させてしまう、非常に恐ろしい心の病です。

社員が学習性無力感に陥る原因は、個人の能力の問題だけではありません。リーダーのマネジメントスタイルや、組織の文化が、無意識のうちに社員のやる気を奪っている可能性もあります。この記事では、「学習性無力感」のメカニズムを解き明かし、社員のやる気を引き出すための「小さな成功体験」を意図的に積ませる方法を解説します。社員に成功の「味」を覚えさせ、再び挑戦する喜びを取り戻してもらいましょう。

なぜ、あなたの部下は「何をしても無駄だ」と感じてしまうのでしょうか?

社員が学習性無力感に陥る背景には、いくつかの共通する要因があります。

1. 失敗を過度に罰する文化

失敗をすると厳しく叱責されたり、評価が下がったりする組織では、社員は失敗を恐れて挑戦しなくなります。そして、失敗を避けるために行動しないことが常態化し、「何をしても無駄だ」という無力感に繋がります。

2. 努力が正当に評価されない

どんなに努力しても、それが正当に評価されない、あるいは結果が出なければ意味がないという文化では、社員は努力すること自体に意味を見出せなくなります。努力のプロセスではなく、結果だけを評価するマネジメントは、社員のやる気を奪います。

3. 意見が聞き入れられない

社員が意見や提案をしても、それが聞き入れられなかったり、無視されたりする経験が続くと、「自分の意見には価値がない」「どうせ言っても無駄だ」と感じるようになります。これにより、社員の主体性や発言意欲が失われます。

「学習性無力感」が、組織を蝕む3つの兆候

兆候1:指示待ち人間の増加

社員が自ら考えて行動せず、リーダーからの指示がなければ何もできない「指示待ち人間」が増えます。これは、過去の経験から「自分で考えても無駄だ」と学習してしまった結果です。

兆候2:挑戦意欲の喪失

新しいことへの挑戦や、困難な課題への取り組みを避けるようになります。失敗を恐れるあまり、現状維持に固執し、組織全体の成長が停滞してしまいます。

兆候3:組織の活力低下

社員一人ひとりのやる気が失われることで、組織全体の活力が低下します。会議での発言が減り、笑顔が少なくなり、職場全体が停滞した雰囲気に包まれてしまいます。

社員のやる気を引き出す「小さな成功体験」実践5つのステップ

ステップ1:【目標の細分化】「小さすぎる」目標を設定する

社員が「これならできる」と感じられるくらい、目標を細分化しましょう。例えば、「売上1億円達成」ではなく、「今週中に顧客に3件アポイントを取る」といった具体的な行動目標です。小さすぎる目標は、達成しやすく、成功体験を積み重ねるための第一歩となります。

ステップ2:【成功の可視化】「できたこと」を徹底的に承認する

社員が小さな目標を達成したら、それを徹底的に承認し、褒めましょう。結果だけでなく、そのプロセスや努力も具体的に褒めることが重要です。「〇〇の資料、期日までに仕上げてくれてありがとう。おかげで会議がスムーズに進んだよ」のように、具体的に感謝と承認を伝えます。

ステップ3:【権限移譲】「自分で決める」機会を与える

社員に、自分の頭で考え、自分で決める機会を与えましょう。小さなタスクでも良いので、そのタスクの目的とゴールを明確に伝え、その範囲内であれば、やり方は部下に任せる。成功体験を通じて、自己効力感(自分にはできるという感覚)を高めます。

ステップ4:【失敗の許容】「失敗は学び」という文化を醸成する

社員が失敗した時こそ、リーダーの真価が問われます。失敗を責めるのではなく、「なぜ失敗したのか」「次からどうすれば良いか」を部下と共に考え、学びの機会に変えましょう。失敗を許容する文化が、社員の挑戦意欲を育みます。

ステップ5:【フィードバック】「成長」を具体的に伝える

社員の成長を具体的に伝えましょう。「〇ヶ月前は〇〇だったけど、今は〇〇できるようになったね。すごい成長だ!」のように、過去と比較して成長を伝えることで、社員は自分の成長を実感し、さらなるモチベーションに繋がります。

失敗を恐れず、挑戦できる組織文化を育む

学習性無力感は、一度陥ると抜け出すのが難しい心の状態です。しかし、リーダーが社員の小さな成功を徹底的に承認し、失敗を許容する文化を育むことで、社員は再び挑戦する勇気を取り戻すことができます。社員一人ひとりが「自分にはできる」と信じ、自ら行動する組織こそが、真に強い組織です。社員に成功の「味」を覚えさせ、挑戦し続ける喜びを取り戻してもらいましょう。

よくある質問

Q: 小さな成功体験を積ませても、大きな成果に繋がるか不安です。

A: 小さな成功体験は、社員の自己効力感を高め、次の挑戦への意欲を育むための土台です。小さな成功の積み重ねが、やがて大きな成功へと繋がります。また、小さな成功を積み重ねることで、社員は「自分にはできる」という自信を持ち、自ら大きな目標に挑戦するようになるでしょう。焦らず、着実にステップを踏むことが重要です。

Q: 社員が「どうせ無理だ」と、最初から諦めている場合はどうすれば?

A: まずは、その社員の「諦め」の背景にあるものを丁寧に聞き出すことから始めましょう。過去の失敗経験や、リーダーへの不信感があるかもしれません。そして、その社員が「これならできる」と感じられる、極限までハードルを下げた目標を一緒に設定し、その達成を徹底的にサポートしましょう。小さな成功体験を通じて、再び自信を取り戻してもらうことが大切です。

Q: 成功体験を積ませるために、簡単な仕事ばかり与えても良いのでしょうか?

A: 短期的には有効ですが、それだけでは社員の成長は停滞してしまいます。重要なのは、社員のスキルレベルや成長段階に合わせて、少しだけストレッチした目標を設定することです。成功体験を積ませつつも、常に新しい挑戦の機会を提供し、社員の能力を最大限に引き出すバランスが求められます。

Q: 失敗を許容すると、社員が甘えてしまうのではないかと心配です。

A: 失敗を許容することと、失敗を放置することは全く異なります。失敗を許容するとは、失敗そのものを責めるのではなく、その失敗から何を学び、どう改善するかを共に考えることです。失敗を「学びの機会」として捉え、具体的な改善策に繋げるプロセスを徹底することで、社員は甘えることなく、成長へと繋げていくでしょう。

筆者について

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