想定読者
- 競合との消耗戦から抜け出し、独自の強みを確立したい中小企業の経営者の方
- 新規事業のアイデアを探している起業家、事業責任者の方
- 限られたリソースで、最大の成果を出したいと考えている方
結論:競争は、血みどろの「赤い海」で戦う必要はありません。あなただけの「青い海」を創造し、独占しましょう。
「うちの業界は、どこもかしこも価格競争で疲弊している…」 「新しいサービスを出しても、すぐに大手に真似されてしまう…」
もし、あなたがそう感じているなら、それはあなたが「赤い海(レッド・オーシャン)」で戦っている証拠かもしれません。レッド・オーシャンとは、既存の市場空間で、競合がひしめき合い、血みどろの競争が繰り広げられている状態を指します。そこでは、価格競争や機能競争が激化し、利益は削られ、やがては共倒れになってしまうことも少なくありません。
しかし、「ブルー・オーシャン戦略」は、その赤い海から抜け出し、競合のいない、新たな市場空間(青い海)を創造することを提唱します。そこでは、競争そのものが存在しないため、戦わずして勝つことが可能になります。そして、この戦略は、大企業だけのものではありません。むしろ、柔軟性があり、顧客との距離が近い中小企業にこそ、実践しやすい側面があるのです。
この記事では、なぜ中小企業がブルー・オーシャン戦略を実践すべきなのか、そして、あなただけの「青い海」を見つけ、独占するための具体的な思考法と実践ステップを解説します。
なぜ、あなたの会社は「血みどろの競争」から抜け出せないのでしょうか?
多くの企業がレッド・オーシャンに留まってしまうのは、いくつかの理由があります。
1. 既存の枠組みに囚われている
「この業界では、これが当たり前」「競合がやっているから、うちもやらなければ」といった既存の枠組みや常識に囚われ、新たな視点を持つことができません。顧客のニーズを既存のカテゴリーでしか捉えられないため、新しい価値創造の機会を見逃してしまいます。
2. 競合を「ベンチマーク」しすぎている
競合の動向ばかりを気にし、その模倣や追随に終始してしまうと、常に後手に回ってしまいます。競合との差別化を図ろうとするあまり、結局は同じ土俵で戦い続けることになり、消耗戦から抜け出せません。
戦わずして勝つ『ブルー・オーシャン戦略』とは?
ブルー・オーシャン戦略は、W・チャン・キムとレネ・モボルニュによって提唱された、競争のない市場空間を創造するための戦略論です。その核心は、「価値イノベーション」にあります。
価値イノベーション
これは、「顧客にとっての価値を飛躍的に高める」と同時に、「コストを劇的に削減する」という、一見矛盾する二つの要素を同時に追求することです。既存の業界の常識を打ち破り、顧客がこれまで得られなかった新しい価値を提供することで、新たな需要を創造します。
レッド・オーシャンとブルー・オーシャンの違い
- レッド・オーシャン: 既存市場、競争が激しい、利益率が低い、差別化が難しい。
- ブルー・オーシャン: 未開拓市場、競争がない、高い利益率、新たな需要を創造。
中小企業こそ実践すべき、ブルー・オーシャン創造の5ステップ
ステップ1:【戦略キャンバス】業界の「当たり前」を可視化する
まず、あなたの業界の主要な競争要因(顧客が製品やサービスを選ぶ際に重視する要素)を洗い出し、競合他社がそれらの要因にどの程度力を入れているかをグラフ化します。これが「戦略キャンバス」です。これにより、業界の「当たり前」や、競合との類似点が一目で分かります。
ステップ2:【ELCフレームワーク】「価値イノベーション」のヒントを見つける
戦略キャンバスで可視化した競争要因に対し、以下の4つの問いを投げかけます。
- 排除(Eliminate): 業界の常識だが、顧客にとって価値が低い、あるいは不要な要因は何か?
- 減少(Reduce): 業界の標準より、思い切って減らすべき要因は何か?
- 増加(Raise): 業界の標準より、思い切って増やすべき要因は何か?
- 創造(Create): 業界でこれまで提供されていなかった、新たな価値要因は何か? このELC(Eliminate-Reduce-Raise-Create)フレームワークを通じて、新たな価値創造のアイデアを見つけます。
ステップ3:【新たな価値曲線】競合と異なる「価値曲線」を描く
ELCフレームワークで得られたアイデアを元に、新たな戦略キャンバスを描きます。競合とは全く異なる、独自の価値曲線を描くことができれば、それがあなたのブルー・オーシャンへの道筋となります。例えば、既存の要素を排除・減少させることでコストを削減し、その分を新たな価値創造に振り向けるのです。
ステップ4:【顧客の再定義】「非顧客」に目を向ける
既存の顧客だけでなく、あなたの製品やサービスを「使っていない人(非顧客)」に目を向けましょう。なぜ彼らは使わないのか?彼らの潜在的なニーズや、既存の業界が解決できていない課題は何なのか?非顧客のニーズを掘り起こすことで、新たな市場の可能性が見えてきます。
ステップ5:【スモールスタート】小さく試して、学習する
ブルー・オーシャン戦略は、壮大な計画である必要はありません。中小企業は、その柔軟性を活かし、ELCフレームワークで得られたアイデアを、まずは小さく試してみましょう。顧客の反応を見ながら、改善を繰り返し、徐々に市場を拡大していく「リーン・スタートアップ」の考え方が有効です。
ブルー・オーシャンを「独占」し続けるための注意点
ブルー・オーシャンは、一度創造しても、永遠に独占できるわけではありません。成功すれば、必ず競合が追随してきます。そのため、常に価値イノベーションを追求し、新たなブルー・オーシャンを創造し続ける姿勢が重要です。また、模倣されにくい独自の強み(ブランド、技術、顧客との関係性など)を築くことも、持続的な優位性を保つ上で不可欠です。
よくある質問
Q: ブルー・オーシャン戦略は、大企業向けではないのですか?
A: いいえ、むしろ中小企業にこそ有効です。大企業は既存の事業や組織が大きいため、大胆な戦略転換が難しい場合があります。一方、中小企業は意思決定が早く、柔軟に動けるため、ニッチな市場で新たな価値を創造しやすいという強みがあります。限られたリソースを集中投下することで、大手が参入しにくい独自の市場を築くことが可能です。
Q: 競合がいない市場を見つけるのは、非常に難しいと感じます。
A: ゼロから全く新しい市場を見つける必要はありません。既存の市場の「境界線」を再定義したり、異なる業界の要素を組み合わせたりすることで、新たな市場空間を創造できます。例えば、既存の製品やサービスから「不要な要素を排除」し、「新たな価値を創造」することで、これまでとは異なる顧客層にアプローチできるかもしれません。
Q: 価値イノベーションのアイデアがなかなか出てきません。
A: 顧客の「不満」や「不便」、あるいは「諦めていること」の中に、価値イノベーションのヒントが隠されています。顧客の声を深く傾聴し、彼らが本当に求めているものは何か、既存の製品やサービスでは解決できていない課題は何か、という視点で観察してみましょう。また、異業種交流や、全く異なる分野の知識を学ぶことも、新たな視点を得る上で有効です。
Q: ブルー・オーシャンを創造しても、すぐに競合に真似されてしまうのではないでしょうか?
A: その可能性はあります。そのため、ブルー・オーシャンを創造したら、そこで得られた優位性を維持するための「模倣困難性」を築くことが重要です。例えば、独自の技術、強力なブランド、顧客との深い関係性、特許などが挙げられます。常に進化し続け、競合の一歩先を行く姿勢も不可欠です。
筆者について
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