想定読者
- 「企画書を作成する」といった大きなタスクを前に、思考が停止してしまう方
- やるべきことは分かっているのに、なぜか最初の一歩が踏み出せない方
- 先延ばし癖を克服し、「すぐやる人」の思考法と技術を身につけたいと考えている方
結論:「やる気」の問題は、ほぼ全て「やり方」の問題である
「すぐやる人」は、特別に意志力が強いわけでも、やる気に満ち溢れているわけでもありません。彼らが持っているのは、超人的な精神力ではなく、ごく実践的な「技術」です。
それは、目の前にある巨大で、漠然とした「倒すべき敵(タスク)」を、一撃で倒せる小さなスライムの群れに変換する魔法。
その魔法の正体こそが、タスク分解なのです。あなたが今まで「やる気が出ない」と悩んでいた問題は、実は「タスクの分解方法を知らなかった」という、ただそれだけの問題なのかもしれません。
なぜ、あなたは「後回し」にしてしまうのか?
まず、自分を責めるのはやめましょう。あなたが大きな仕事を前にして、ついスマホに手を伸ばしてしまうのは、あなたが怠惰だからではありません。それは、あなたの脳が、あなた自身を守ろうとしている、極めて正常な防衛反応なのです。
脳は、ゴールまでの道筋が見えない、巨大で曖昧なタスクを前にすると、強いストレスを感じます。それは、暗闇の森に、地図もコンパスも持たずに放り込まれるようなもの。「どこから手をつければいいか分からない」「失敗するかもしれない」という脅威を前にした脳は、思考を停止させ、より安全で、手軽な快楽(ネットサーフィンや動画鑑賞など)に逃避しようとします。これが「先延ばし」の正体です。
「すぐやる人」の頭の中を覗いてみる
一方で、「すぐやる人」は、同じタスクを全く違う形で認識しています。
例えば、「新商品の企画書を作成する」というタスクがあったとします。「後回しにする人」は、この言葉を、分厚く、重たい「企画書」という完成形として、一つの巨大な塊で捉えます。だから、圧倒されて動けなくなるのです。
しかし、「すぐやる人」の頭の中では、このタスクが瞬時に分解されています。彼らにとって「企画書を作成する」とは、次のような、具体的で小さな行動の連なりに見えています。「まず、去年の企画書のフォーマットを探す」「次に、競合A社のサイトを15分だけ調べる」「そして、目次案を思いつくだけ、3つ書き出してみる」
お気づきでしょうか。彼らは、巨大な山を登ろうとしているのではありません。目の前にある、ほんの小さな一段に、足をかけようとしているだけなのです。だから、迷いなく、すぐに行動を開始できるのです。
誰でもできる「魔法のタスク分解術」
この「すぐやる人」の思考法は、誰でも技術として習得できます。巨大なタスクを分解する上で重要なのは、具体的で、測定可能で、すぐに行動に移せるレベルまで、解像度を上げていくことです。
まず一つ目のコツは、タスクを具体的な「動詞」で始めることです。「企画書の件」のような名詞でタスクを管理していると、何をすべきかが曖昧です。「企画書の目次案を書き出す」「〇〇さんに企画の背景をヒアリングする」のように、具体的な行動を表す動詞で表現することで、脳は次に行うべきアクションを明確に認識できます。
二つ目のコツは、「時間」で区切るという考え方です。「企画書を完成させる」という終わりが見えない目標ではなく、「企画書について、まず25分だけ手をつけてみる」と決めるのです。これはポモドーロ・テクニックの考え方にも通じます。終わりを意識せず、「とりあえず25分だけ」と決めれば、完成へのプレッシャーから解放され、驚くほど簡単に行動を開始できます。
そして最も強力な三つ目のコツが、「物理的な最初の一歩」まで分解することです。「企画書を書く」というタスクの、究極の第一歩は何でしょうか。それは、「PCの電源を入れる」ことかもしれません。あるいは「Wordを立ち上げる」「ファイルに『企画書案』と名前をつけて保存する」ことかもしれません。この「赤ちゃんの一歩(ベビーステップ)」までタスクを分解すれば、もはや行動しない理由はありません。この、あまりに小さく、バカバカしいとさえ思える一歩こそが、巨大なタスクという重い扉を開けるための、最初の鍵なのです。
タスク分解を習慣化し、「すぐやる脳」を作る
このタスク分解は、一度身につければ、あらゆる場面であなたを助けてくれる強力な思考ツールとなります。ぜひ、毎朝の仕事始めの5分間、その日の最も重要なタスクを分解する習慣を取り入れてみてください。「今日のゴール」を達成するために必要な、具体的な最初の3ステップは何かを書き出すだけでも、一日の動きは全く違ってくるはずです。
タスク分解とは、単なるToDoリスト作成の技術ではありません。それは、漠然とした不安の正体を見極め、物事の解像度を上げ、複雑な問題を解決可能なレベルまで噛み砕く、知的生産における最も根源的な「思考のトレーニング」なのです。
よくある質問
Q: 分解しすぎて、逆にタスクリストが長くなり、やる気をなくします。
A: 素晴らしい指摘です。タスク分解の目的は、リストを長くすることではありません。目的は「次の一歩」を明確にすることです。全ての工程を一度に分解する必要はありません。まずは、そのタスクに取り掛かるための「最初の3ステップ」だけを分解することから始めてみてください。
Q: どこまで細かく分解すれば良いのか、加減が分かりません。
A: 目安は「25分(1ポモドーロ)以内で完了できるか」「見た瞬間に、迷わず着手できるか」です。もし、分解したタスクを見て「うっ…」と少しでも躊躇するなら、それはまだ分解が足りないサインです。さらに小さなステップに分けられないか、考えてみましょう。
Q: 創造的な仕事など、分解しにくいタスクはどうすればいいですか?
A: 「良いアイデアを出す」といった創造的なタスクも分解できます。例えば、「関連書籍の目次を10分眺める」「アイデアの元になりそうな画像を30分集める」「マインドマップで、思いついた単語を5分間書き出す」などです。成果が不確実なタスクこそ、「行動」そのものをタスクとして設定するのが有効です。
Q: タスク分解におすすめのツールはありますか?
A: 高機能なツールは必要ありません。紙とペンが最も手軽で強力です。デジタルで管理したいなら、シンプルなテキストエディタや、階層構造が作りやすいアウトライナー(DynalistやWorkFlowyなど)がおすすめです。重要なのは、ツールにこだわることではなく、分解する思考の習慣をつけることです。
筆者について
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