想定読者

  • 目の前の問題解決に奔走しているのに、なぜかいつも「対症療法」で終わってしまう方
  • チームで議論しても、なかなか本質的な解決策にたどり着けないことに悩んでいるリーダー
  • 複雑な問題をシンプルに捉え、効率的に解決するための思考法を身につけたいビジネスパーソン

結論:問題解決とは、病気の「症状」を抑えることではない。「根本原因」を治療することだ。

あなたの会社で、売上が落ちた時、あなたはまず何をしますか? 「広告費を増やす」「営業マンを増やす」社員のモチベーションが低い時、あなたはまず何をしますか? 「飲み会を増やす」「福利厚生を充実させる」

これらは、一見すると問題解決のための行動に見えます。

しかし、もしあなたが、こうした「対症療法」ばかりを繰り返しているのなら、あなたの会社は、永遠に「モグラ叩き」状態から抜け出せないでしょう。

なぜなら、問題解決の成否は、どれだけ多くの解決策を考えたかではなく、どれだけ「正しい課題」を設定できたかで、その8割が決まるからです。

課題設定とは、単なる「問題の定義」ではありません。それは、解決への道筋を照らす「羅針盤」であり、問題解決の8割を決定づける、最も重要な「思考のプロセス」なのです。

なぜ、あなたの問題解決は「モグラ叩き」で終わるのか?

多くの人が陥りがちな問題解決の罠。それは、目の前の「現象」や「症状」を、そのまま「問題」と捉えてしまうことです。そして、その現象を一時的に抑え込むための「対症療法」に終始してしまいます。

例えば、「売上が落ちた」という現象。これをそのまま問題と捉え、「広告費を増やす」という解決策を実行したとします。

一時的に売上が回復するかもしれませんが、もし根本原因が「顧客のニーズの変化」や「競合の新しいサービス」にあったとしたら、広告費を増やしても、それは焼け石に水。やがてまた売上は落ち込み、別の場所から新たな問題が噴き出すでしょう。

これは、病気の「症状」だけを抑え込み、その病気の「根本原因」を治療しないのと同じです。

根本原因を特定せず、表面的な問題だけを叩いている限り、あなたは永遠に「モグラ叩き」状態から抜け出せないのです。

「問題」と「課題」の決定的な違い

「問題」と「課題」という言葉は、しばしば混同されがちですが、両者には明確な違いがあります。

  • 問題: 現状とあるべき姿とのギャップ。これは「現象」や「症状」を指します。 例:「売上が目標に達していない」「社員の離職率が高い」
  • 課題: その問題を引き起こしている「根本原因」であり、解決すべき「問い」です。課題は、常に「なぜ?」という問いの先にあります。 例:「なぜ売上が目標に達していないのか?」「なぜ社員の離職率が高いのか?」

「問題」は「What(何が起きているか)」であり、「課題」は「Why(なぜそれが起きているか)」や「How(どうすれば解決できるか)」に繋がる「問い」なのです。真の問題解決は、この「課題」を正しく設定することから始まります。

課題を正しく設定するための3つの問い

では、どうすれば、この本質的な「課題」を正しく設定できるのでしょうか。そのための3つの問いを、常に自分とチームに投げかけてみてください。

一つ目の問いは、「本当に解決すべき問題は何か?」です。目の前の現象に惑わされず、その奥にある本質的な問題は何かを深く掘り下げます。例えば、「売上が落ちた」という問題に対し、「なぜ売上が落ちたのか?」「顧客のニーズが変化したのか?」「競合が新しいサービスを出したのか?」と、何度も「なぜ?」を問い続けることで、根本原因に迫ります。

二つ目の問いは、「その問題は、誰にとって、なぜ問題なのか?」です。問題の当事者や関係者を明確にし、それぞれの視点から問題がどう見えているかを理解します。例えば、売上低下が「営業マンにとってはモチベーションの問題」「顧客にとっては製品の魅力の問題」「経営者にとっては資金繰りの問題」と、立場によって見え方が異なることがあります。多角的な視点から課題を捉えることで、真のニーズを特定できます。

そして三つ目の問いは、「その問題を解決することで、何がどう変わるのか?」です。問題解決の先に何があるのか、具体的なゴールを明確にします。例えば、「売上を回復させることで、社員のボーナスを確保し、新しい事業に投資できる」といった具体的な未来を描く。これにより、解決策の方向性が定まり、無駄な努力を避けることができるのです。

課題設定は、問題解決の「8割」を決定づける

なぜ、課題設定が問題解決の8割を占めると言われるのでしょうか。それは、正しい課題設定が、その後の解決策の探索と実行の質を、劇的に高めるからです。

正しい課題設定は、解決策の方向性を明確にし、探索範囲を絞り込みます。これにより、的外れな努力を避け、効率的に本質的な解決策にたどり着くことができます。

また、チームで課題を共有することで、議論の質が高まります。全員が同じ目的に向かって思考を集中できるため、無駄な議論が減り、建設的な意見交換が促進されます。

そして、課題が明確であれば、実行のスピードが上がります。次に何をすべきかが分かり、行動への迷いがなくなるため、迅速に解決策を実行に移すことができます。

アインシュタインは言いました。「もし私に、世界を救うために1時間だけ与えられたとしたら、私は最初の55分を問題の定義に使い、残りの5分で解決策を見つけるだろう」。問題解決とは、正しい問いを見つけること。この思考法こそが、あなたのビジネスを、モグラ叩きから解放し、真の成長へと導く羅針盤となるでしょう。

よくある質問

Q: 課題設定に時間をかけすぎると、行動が遅れませんか?

A: 短期的に見れば、そう感じるかもしれません。しかし、間違った課題設定で行動を始めてしまうと、いくら努力しても的外れな結果しか得られず、結果的に時間と資源を無駄にしてしまいます。急がば回れ、です。正しい課題設定は、その後の行動の質とスピードを劇的に高めます。

Q: 課題が多すぎて、どれから手をつければいいか分かりません。

A: その場合は、課題を「緊急度」と「重要度」で分類する「アイゼンハワー・マトリクス」や、課題の「影響度」と「解決の容易さ」で優先順位をつけるフレームワークを活用しましょう。まずは、最も影響が大きく、解決しやすい課題から着手するのがおすすめです。

Q: 課題設定は、一人でやるべきですか?

A: 一人で考えることも重要ですが、チームで議論することで、より多角的な視点から課題を捉えることができます。特に、問題の当事者や、その問題に詳しいメンバーを巻き込むことで、より本質的な課題にたどり着ける可能性が高まります。

Q: 課題設定が正しくできたか、どうすれば分かりますか?

A: 良い課題設定ができたかどうかは、その課題に対する「解決策が、自然と複数思い浮かぶか」で判断できます。もし、解決策が一つしか思い浮かばない、あるいは全く思い浮かばない場合は、まだ課題設定が曖昧であるか、間違っている可能性が高いです。また、その課題を解決することで、本当に問題が解決されるか、という「仮説」を立て、検証していくことも重要です。

筆者について

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