想定読者
- 誰に売るべきか整理できず悩んでいる経営者
- 商品は悪くないのに売れ方が弱いと感じている方
- 価格競争から抜け出したい小規模事業者
結論
STP分析とは、市場を分ける、狙う顧客を決める、自社の立ち位置を明確にする。この3つを順番に整理するためのフレームワークです。良い商品でも売れない時は、商品そのものより、誰に向けて何を伝えるかが曖昧になっていることがあります。
全員に売ろうとすると、言葉も価値もぼやけます。STP分析は、広い市場の中から自社が勝てる場所を見つけ、そこで選ばれる理由をはっきりさせるために使います。
STP分析とは?
STPは、Segmentation、Targeting、Positioningの頭文字です。順番にも意味があります。まず市場を分け、その中から狙う相手を決め、最後に競合との違いを明確にします。
3つを並べると次の通りです。
| 要素 | 意味 |
|---|---|
| S | 市場を分ける |
| T | 狙う顧客を決める |
| P | 自社の立ち位置を決める |
この流れを飛ばして広告や商品説明を作ると、誰にも強く刺さらない内容になりやすくなります。
STP分析を行う意味
売れない理由は、商品力不足だけではありません。市場の見方が粗い、狙う相手が広すぎる、競合との違いが見えない。こうした問題があると、良い商品でも埋もれます。
たとえばコーヒーでも、
- 安く早く飲みたい人
- 味や香りを楽しみたい人
- 作業場所として使いたい人
- 写真映えする空間を求める人
では、求める価値がまったく違います。全員へ同じ言葉で売ろうとすると、結局どの層にも弱い訴求になります。
そのため、それらを統一するためにSTP分析が必要なのです。
S:セグメンテーション
セグメンテーションは、市場を意味のある単位で分ける作業です。顧客を細かく見ることで、同じ商品でも誰にどんな価値があるのかが見えやすくなります。
分け方にはいくつかあります。
地理で分ける
地域、都市規模、気候、商圏などで分ける方法です。店舗型ビジネスや地域密着型サービスでは特に有効です。
- 都市部
- 郊外
- 地方
- 観光地周辺
商圏が違えば、価格感覚や来店動機も変わります。
属性で分ける
年齢、性別、職業、家族構成、所得などで分ける方法です。最も使いやすい切り口ですが、これだけでは浅くなりやすい面もあります。
- 20代
- 子育て世帯
- 経営者
- 単身世帯
属性は入口として便利ですが、行動理由までは見えません。
価値観で分ける
ライフスタイル、考え方、重視するものなどで分ける方法です。小規模事業ではこの切り口が強い武器になります。
- 安さ重視
- 品質重視
- 時短重視
- 環境配慮重視
同じ年齢でも価値観が違えば、響く言葉も変わります。
行動で分ける
購入頻度、利用場面、比較基準、求める便益などで分ける方法です。実務ではかなり重要です。
- 初回購入者
- リピーター
- 比較検討中の人
- サポート重視の人
何を求めて動いているかが見えると、訴求の精度が上がります。
T:ターゲティング
ターゲティングは、分けた市場の中から自社が狙う場所を決める作業です。ここで欲張ると、STP分析の意味が薄れます。限られた人員、予算、時間をどこへ集中させるかを決める段階です。
見るべき観点は次の通りです。
- 市場規模があるか
- 今後の伸びがあるか
- 競合が強すぎないか
- 自社の強みが活きるか
- 顧客へ届く手段があるか
全部が完璧である必要はありません。ただ、自社が勝ちやすい場所かどうかは冷静に見る必要があります。
ターゲットを絞る意味
ターゲットを絞ると、顧客が減るように感じるかもしれません。ただ、実際には逆のことが起こります。誰に向けた商品かが明確になると、言葉が鋭くなり、選ばれる理由も伝わりやすくなります。
広く薄く売るより、狭く深く刺す方が、小規模事業では成果につながりやすくなります。
P:ポジショニング
ポジショニングは、狙う市場の中で自社をどう見せるかを決める作業です。競合と比べた時に、何が違うのか、なぜ選ぶべきなのかを明確にします。
差別化の軸としては、
- 価格
- 品質
- 専門性
- 速さ
- サポート
- 世界観
などがあります。
ポジションが曖昧だと起こること
ポジションが曖昧だと、顧客は比較しやすい要素でしか判断できなくなります。多くの場合、それは価格です。すると値下げ競争に巻き込まれやすくなります。
逆に、専門性や独自の価値が伝われば、価格以外の理由で選ばれやすくなります。
ポジショニングマップの使い方
ポジショニングを考える時は、2つの軸で市場を見ると整理しやすくなります。たとえば、
| 縦軸 | 横軸 |
|---|---|
| 高価格 ←→ 低価格 | 高品質 ←→ 手軽さ |
このような軸で競合を並べると、混み合っている場所と空いている場所が見えてきます。自社の強みが活きる空白を探す発想が有効です。
STP分析の進め方
実務で使うなら、難しく考えすぎない方が進みます。順番に整理すると次の流れです。
1. 既存顧客を観察する
まず、今の顧客を見ます。誰がよく買っているか、何を理由に選んでいるか、どんな悩みを持っているか。ここにヒントがあります。
2. 共通点で分ける
顧客を属性、価値観、行動で分けます。似た悩みや似た購入理由を持つ人をまとめると、意味のあるセグメントが見えてきます。
3. 狙う層を決める
その中で、自社が勝ちやすく、利益も出しやすい層を選びます。全部を狙わないことが重要です。
4. 選ばれる理由を言語化する
最後に、その層に対して自社がどんな存在になるのかを言葉にします。安さなのか、専門性なのか、安心感なのか。ここが曖昧だと、発信も商品設計もぶれます。
よくある質問
Q: セグメントは細かいほど良いですか?
A: 細かすぎると市場が小さくなりすぎることがあります。意味のある違いで分けることが重要です。分けること自体が目的ではありません。
Q: ターゲットを絞ると売上が減りませんか?
A: 一時的にそう見えることはありますが、訴求が明確になることで反応率や成約率が上がることがあります。小規模事業では、広さより深さの方が強みになりやすいです。
Q: ポジショニングはどう決めればよいですか?
A: 顧客が重視する軸と、自社が本当に強い軸を重ねて考えるのが基本です。言いたいことではなく、顧客にとって意味がある違いになっているかが重要です。
Q: STP分析とペルソナは同じですか?
A: 同じではありません。STP分析は市場を分けて狙う場所を決める考え方で、ペルソナはその中の具体的な顧客像を描くための手法です。STP分析の後にペルソナ設計を行うと整理しやすくなります。
筆者について
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