想定読者

  • 会議の前に、とりあえず議題だけを箇条書きにしたメールを送っている方
  • アジェンダを共有しても、参加者が全く目を通してこないことに悩んでいる会議主催者
  • 会議の生産性を、準備の段階から劇的に改善したいと考えているすべての人

結論:アジェンダは「議題リスト」ではない。会議の「設計図」である。

あなたは、会議のアジェンダを、単に「今日話すことリスト」だと考えていないでしょうか。もしそうなら、あなたは、会議の成否を9割決める、最も重要なプロセスを、自ら放棄しているのと同じです。優れたアジェンダとは、単なる議題の羅列ではありません。それは、会議という共同作業を、時間内に、確実にゴールへと導くための、緻密に計算された設計図であり、参加者全員が守るべき契約書のようなものです。そして、その設計図を、適切なタイミングで共有すること。それこそが、ファシリテーターの最も重要な仕事であり、会議を成功に導く、唯一の道なのです。

あなたのアジェンダが「ただの紙切れ」で終わる理由

多くの会社で作成されているアジェンダが、なぜ機能しないのでしょうか。それは、アジェンダと呼ぶには、あまりにも情報が不足しているからです

議題が、ただの箇条書きで並んでいるだけ。それぞれの議題の「目的」や「今日のゴール」が書かれていない。どの議題に何分かけるのか、時間配分も不明確。そして最悪なのは、それが会議の直前や、開始と同時に配布されるケースです。

このような「ただの紙切れ」では、参加者は、会議がどこに向かっているのか、自分は何を準備し、どう貢献すれば良いのか、全く分かりません。結果として、誰も事前に目を通すことなく、会議は準備不足のまま始まり、議論は迷走し、アジェンダは、ただの形式的なアリバイ作りのためだけに存在する、悲しい紙切れと化してしまうのです。

これが正解。「会議の設計図」としてのアジェンダ必須5項目

では、「機能するアジェンダ」には、何が書かれているべきなのでしょうか。それは、単なる議題リストではなく、会議全体の構造を示す、以下の5つの要素が含まれている必要があります。

一つ目は、会議の「目的」と「ゴール」です。これは、アジェンダの冒頭に、最も目立つように記載すべき、最重要項目です。「この会議は、何のために行われ、終了時に、何が、どういう状態になっていれば成功なのか」を、明確な言葉で定義します。

二つ目は、具体的な「議題」と、それぞれの「論点」です。「〇〇について」という曖昧な表現ではなく、「〇〇のA案とB案、どちらを選ぶべきか?」のように、参加者が事前に思考を巡らせるべき「問い」の形で、議題を提示することが重要です。

三つ目は、議題ごとの厳密な「時間配分」です。「議題1(10分)」「議題2(15分)」のように、どの議題に何分かけるのかを明記します。これが、議論のペースをコントロールし、時間内にゴールを達成するための、強力なペースメーカーとなります。

四つ目は、参加者とその「役割」の明記です。誰が意思決定者で、誰が情報提供者で、誰がファシリテーターなのか。それぞれの役割を事前に定義しておくことで、参加者一人ひとりの責任と、会議への貢献意識を、格段に高めることができます。

そして五つ目が、参加者への「事前準備のお願い」です。会議を有意義なものにするために、参加者に事前に読んでおいてほしい資料や、考えてきてほしいことを、具体的かつ簡潔に記載します。「〇〇の資料のP.5〜P.8を読んだ上で、ご自身の意見を3点、ご準備ください」のように、求めるアクションを明確に伝えることが重要です。

アジェンダ共有、最適な「タイミング」はいつか?

この緻密な設計図も、共有するタイミングを間違えれば、その効果は半減します。早すぎれば、他の業務に紛れて忘れ去られ、遅すぎれば、参加者は準備の時間を確保できません。

様々な議論がありますが、多くのビジネスシーンにおいて、その最適解は「会議の24時間前」であると言えるでしょう。なぜなら、24時間前というタイミングは、参加者が、前日の業務終了前や、当日の朝に、余裕を持ってアジェンダに目を通し、思考を整理する時間を確保できる、絶妙な時間だからです。また、主催者にとっても、会議の直前にバタバタと準備するのではなく、計画的に準備を進める良い習慣が身につきます。

さらに効果的なのは、会議の1〜2時間前に、チャットツールなどで「本日の会議ですが、〇〇がゴールです。事前に共有したアジェンダに、再度目を通しておいていただけますと幸いです」と、リマインダーを送ることです。この一手間が、参加者の意識を会議モードへと切り替えさせます。

優れたアジェンダは、会議後の「議事録」を楽にする

優れたアジェンダの効能は、会議中だけにとどまりません。それは、会議後の業務すら、劇的に効率化してくれるのです。

アジェンダの各議題が、そのまま議事録の骨子(テンプレート)になります。アジェンダに沿って議論を進めれば、議事録は、それぞれの議題で「どのような議論があり、最終的に何が決定したか」という結論と、次のアクションプランを追記するだけで、驚くほど簡単に、そして分かりやすく完成させることができます。

アジェンダと議事録が、美しく連動する。これにより、会議の目的、議論のプロセス、そして決定事項が、一貫したドキュメントとして、組織の貴重な知的資産となっていくのです。

よくある質問

Q: 参加者が、アジェンダを事前に読んでくれません。

A: それは、アジェンダが「読む価値のない、ただの紙切れ」だと思われているからです。この記事で解説した5つの必須項目を含んだ、「読む価値のあるアジェンダ」を、24時間前に共有することを徹底してみてください。そして、会議の冒頭で「アジェンダに書いてある通りですが…」と、読んでいることを前提に話を進めるのです。これを繰り返せば、読まない人が「会議についていけない」状況になり、文化は必ず変わります。

Q: 毎回、こんなに詳細なアジェンダを作るのは大変です。

A: むしろ、逆です。詳細なアジェンダを作らずに会議に臨む方が、遥かに大変な結果を招きます。議論は迷走し、時間は浪費され、何も決まらない。その無駄な会議のコストに比べれば、アジェンダ作成にかかる30分程度の時間は、極めて安価な「投資」と言えるでしょう。

Q: 5分で終わるような、短い打ち合わせでもアジェндаは必要ですか?

A: 厳密なドキュメントは不要かもしれませんが、「目的」と「ゴール」の共有は、どんなに短い打ち合わせでも不可欠です。「〇〇さん、5分だけいいですか。△△の件で、A案とB案、どちらで進めるか、今ここで決めたいです」と、口頭でアジェンダを伝える。この一言があるだけで、打ち合わせの密度は全く違ってきます。

Q: アジェンダのテンプレートは、どこかで手に入りますか?

A: Webで検索すれば、多くのテンプレートが見つかります。しかし、最も重要なのは、この記事で紹介した5つの必須項目(ゴール、議題と論点、時間配分、参加者と役割、事前準備)を、あなた自身の言葉で、あなたの組織の文化に合わせて、カスタマイズしていくことです。テンプレートは、あくまで出発点として活用しましょう。

筆者について

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