想定読者
- チームの振り返り会議が、いつも「反省会」や「愚痴大会」で終わってしまうことに悩んでいるリーダー
- 失敗から学び、次へと繋げる「改善のサイクル」をチームに根付かせたいと考えている方
- メンバーの主体性を引き出し、ポジティブな雰囲気でチームの生産性を高めたいマネージャー
結論:KPTは「反省会」ではない。「未来を創る作戦会議」である。
あなたのチームの振り返り会議は、本当に機能しているでしょうか。もし、それが「あの時、こうすれば良かった」「また同じ問題が起きた」という、過去の失敗を責め合う「反省会」や、具体的な解決策のない「愚痴大会」で終わっているのなら、それはチームの貴重な時間とモチベーションを浪費しているだけです。
KPT(Keep/Problem/Try)フレームワークは、この悪循環を断ち切り、チームの経験を「学び」に変え、未来の行動を「改善」へと導くための、最もシンプルで、最も強力な「成長エンジン」です。KPTを習慣化することこそが、変化の激しい時代を生き抜く、自律的なチームを育む鍵なのです。
なぜ、あなたのチームの「反省会」は機能しないのか?
多くのチームで行われる振り返り会議が、なぜ機能しないのでしょうか。その最大の理由は、「問題点」ばかりに焦点が当たり、ネガティブな雰囲気になりがちだからです。失敗や課題ばかりを指摘される場では、メンバーは萎縮し、本音を言えなくなります。結果として、表面的な問題しか上がってこず、根本的な解決には繋がりません。
また、問題点の羅列で終わり、具体的な解決策や次のアクションに繋がらないケースも多々見られます。「〇〇が問題だった」と分かっても、それをどう改善するのかが不明確であれば、結局何も変わらず、同じ失敗を繰り返すことになります。これでは、チームのモチベーションは下がり、振り返り会議そのものが「時間の無駄」と認識されてしまうのです。
KPTフレームワークとは?失敗を「学び」に変える魔法の3ステップ
KPTフレームワークは、この問題を解決するための、シンプルかつ強力な振り返りの手法です。その名の通り、以下の3つの視点から、チームの活動を振り返ります。
- Keep(継続すること): 今回の活動で「良かったこと」「うまくいったこと」「今後も続けたいこと」を共有します。これは、チームの成功体験を言語化し、ポジティブな側面を強化するフェーズです。
- Problem(問題点): 今回の活動で「うまくいかなかったこと」「改善が必要なこと」「課題」を共有します。ここでは、誰かを責めるのではなく、あくまで「何が問題だったのか」という事実に焦点を当てます。
- Try(次に試すこと): Problemを解決するために「次に具体的に試すこと」「改善策」「アクションプラン」を決定します。ここでは、「頑張る」といった精神論ではなく、「誰が、何を、いつまでに」やるのかを明確にします。
この3つの視点で振り返ることで、ポジティブな側面とネガティブな側面の両方をバランス良く捉え、具体的な行動に繋げることができるのです。
KPTを成功させるための「ファシリテーション」のコツ
KPTフレームワークを単なる「お作法」で終わらせず、チームの成長エンジンとして機能させるためには、ファシリテーターの役割が極めて重要です。
まず、「心理的安全性」の確保が何よりも重要です。KPTは、失敗や問題点をオープンに話せる場であるべきです。ファシリテーターは、メンバーが安心して発言できるよう、非難しない雰囲気作りを徹底します。「失敗は、責めるものではなく、学ぶためのデータだ」という共通認識を醸成しましょう。
次に、「Keep」から始めることを徹底します。最初に良かった点を共有することで、ポジティブな雰囲気を作り、メンバーの自己肯定感を高めます。これにより、その後のProblemの議論も、前向きに進めやすくなります。チームの成功体験を全員で共有し、称賛する時間を取りましょう。
そして、Problemが出たら、「なぜそれが問題だったのか?」と原因を深掘りすることを促します。表面的な問題だけでなく、その根底にある真の原因を探るのです。そして、Tryは、「頑張る」ではなく「誰が、何を、いつまでに」やるのかを明確にする。さらに、一度に多くのことを試そうとせず、次回のKPTで振り返れる範囲で、最も効果的だと思われるTryを1〜3個に絞り込む「少数精鋭」を意識しましょう。
KPTを習慣化し、自律的な「改善サイクル」を回す
KPTは、一度やったら終わりではありません。定期的に(週次、月次など)実施し、習慣化することが重要です。これにより、チームは常に学び、改善し続ける「自律的な成長サイクル」を回せるようになります。
次回のKPTの冒頭で、必ず前回のTryがどうだったかを振り返りましょう。これにより、実行へのコミットメントが高まり、PDCAサイクルが回るようになります。うまくいかなかったTryも、それは失敗ではなく、次のTryのための貴重なデータです。
KPTは、チームの経験を「学び」に変え、未来の行動を「改善」へと導くための、最もシンプルで、最も強力な「成長エンジン」です。変化の激しい時代を生き抜く、自律的なチームを育む鍵は、このKPTを習慣化することにあるのです。
よくある質問
Q: KPTは、どんなチームでも使えますか?
A: はい、使えます。アジャイル開発チームだけでなく、営業、マーケティング、人事など、あらゆる職種のチームで活用できます。また、個人での振り返りにも応用可能です。プロジェクトの規模や期間に合わせて、実施頻度を調整しましょう。
Q: メンバーがProblemをなかなか出してくれません。
A: 心理的安全性が低い可能性があります。ファシリテーターが率先して自分のProblemを共有したり、匿名で意見を募るツールを使ったりするのも有効です。また、Problemを「誰かのせい」にするのではなく、「仕組みのせい」と捉える「ノーブレイムカルチャー」を徹底しましょう。
Q: Tryがいつも同じになってしまい、マンネリ化します。
A: Problemの原因深掘りが足りないか、Tryが抽象的すぎるのかもしれません。Tryは、具体的な行動に落とし込み、小さくても良いので「新しいこと」を試す意識が重要です。また、KPTのファシリテーターを毎回変えることで、新しい視点やアイデアが生まれることもあります。
Q: KPTの記録は、どう残せばいいですか?
A: ホワイトボードや付箋を使った場合は、写真を撮って共有ドキュメントに保存しましょう。GoogleドキュメントやConfluence、Notionなどの共同編集ツールを使えば、リアルタイムで記録し、そのままチームのナレッジとして蓄積できます。重要なのは、後から誰でも見返せる状態にしておくことです。
筆者について
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