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平均返信時間が短くなれば問い合わせ対応は改善したと言えるか?

問い合わせへの平均返信時間が短くなっても、一定時間以上待つ顧客の割合が減るとは限りません。この記事では、10件ずつの架空例から平均と中央値、2時間以内の返信率を比較し、未返信の問い合わせを含む集計方法と、対応の改善を判断する基準を解説します。

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平均が短くなっても2時間を超えて待つ問い合わせは増える

平均返信時間は短くなったのに、返信が遅いという苦情が減らない。そんな窓口では、平均に加えて、 長く待った問い合わせが何件あるか を調べてください。極端に遅かった返信が早くなる一方で、一定時間を超えて待つ問い合わせが増えている可能性があります。

平均は、各問い合わせの返信時間を合計し、問い合わせ件数で割った値です。どれほど長い返信時間も合計に加わるため、少数の長い待ち時間が変わると平均も変わります。中央値は返信時間を短い順に並べた中央の値で、少数の極端に遅い返信による影響を平均ほど受けません。(Measures of Location)

返信の速さを評価する際には、全件の平均時間に加え、案内した返信予定より遅れた問い合わせを数えます。平均が短くなっても、予定より遅れた件数が増えていれば、その原因を調べます。

平均2時間から1.5時間へ短縮しても2時間以内の返信率は下がる

返信時間を10件ずつの架空例で比べます。

ある問い合わせ窓口について、変更前後の受付期間に届いた問い合わせを、それぞれ10件ずつ記録したと仮定します。全件の最初の回答が届くのを待って集計し、受付から担当者が質問内容に答える最初の返信への経過時間を測ります。自動受領メールは返信に数えず、夜間や休日も経過時間に含めます。問題の解決を完了する時間とは異なります。

集計する値変更前の10件変更後の10件
各問い合わせの返信時間9件が1時間で1件が11時間6件が0.5時間で4件が3時間
返信時間の合計20時間15時間
平均返信時間2時間1.5時間
中央値1時間0.5時間
2時間以内に返信した件数9件6件
2時間以内の返信率90%60%
最長の返信時間11時間3時間

変更前の平均は(9×1+1×11)÷10=2時間です。変更後は(6×0.5+4×3)÷10=1.5時間になります。

2時間以内の返信率は、その時間内に返信した件数を、受付した全10件で割ります。変更前は9÷10=90%、変更後は6÷10=60%です。平均は短くなりましたが、 2時間を超えた問い合わせは1件から4件 へ増えています。返信率の低下は30パーセントポイントです。

顧客が2時間以内の回答を必要としているなら、変更後は間に合わない問い合わせが増えています。平均30分の短縮だけを成果にすると、この問題が見えなくなります。

中央値と最長時間が改善しても目標達成率は下がり得る

この例では中央値も最長時間も短くなっています。中央値は、小さい順に並べた10個の値の5番目と6番目の平均です。変更前は両方1時間、変更後は両方0.5時間になります。

したがって、平均の代わりに中央値だけを採用しても、2時間を超える問い合わせが増えた事実は伝わりません。最長時間が11時間から3時間へ短くなったことは改善ですが、それと同時に、2時間以内に答えられた問い合わせの割合は下がっています。平均時間と2時間を超えた件数を併記すれば、最長の待ち時間は短くなった一方、2時間を超える返信は増えたことが伝わります。

Googleの技術書でも、コンピューターの応答時間を平均だけで評価すると、遅い応答の状況を見落とすと説明しています。問い合わせ対応でも、平均に加えて、何件が予定した時間内に返信されたかを数えると、顧客が待つ状況を具体的に把握できます。(Service Level Objectives)

2時間以内に回答すると案内している窓口なら、受付から2時間を超えた問い合わせを遅延として数えます。

返信済みだけを数えると待ち続けている問い合わせが消える

集計表には、返信済みの問い合わせに加えて、 未返信件数と各問い合わせの受付日時を記入 します。集計日に返信済みのものだけを選ぶと、長時間待っている未返信の問い合わせは平均にも返信率にも現れません。

たとえば、受付した10件のうち、2時間以内に返信したものが6件、3時間で返信したものが2件、受付から4時間経過しても未返信のものが2件あったと仮定します。2時間以内の返信率は6÷10=60%です。返信済みの8件だけを分母にして75%と報告すると、待ち続けている2件が計算から消え、実際の60%より高い返信率を報告することになります。

未返信の2件について、最終的な返信時間を4時間と置くこともできません。分かるのは、すでに4時間待っていることです。全10件の平均返信時間はまだ確定しませんが、全件で受付から2時間を過ぎていれば、2時間以内に返信できたかどうかは判定できます。

同じ期間に受付した問い合わせについて、各件が基準時間を経過してから時間内の返信率を計算します。未返信でまだ基準時間を経過していない問い合わせは、判定待ちの欄に件数を記入します。集計日時から各問い合わせの受付日時を引いて待ち時間も計算し、未返信の問い合わせ一覧に記入します。

平均時間と返信予定に遅れた件数を併記する

本文の例では、1件当たりの待ち時間は平均30分短くなりました。ただし、2時間を超える待機を減らすことが目標なら、本文の例では目標に反する変化が起きています。平均、時間内の返信率、未返信の件数を同じ受付期間と時間の数え方で比較してください。

担当者の回答を測っていた集計に自動受領メールを含めたり、経過時間から営業時間内だけの時間へ変更したりすると、運用が変わらなくても値が変わります。また、難しい質問や夜間の受付が増えているなら、その内訳も調べると、遅れが集中する仕事を探せます。

ホームページには、受付時間、休業日、最初の回答と解決完了のどちらの予定かを記載すると、顧客は、営業日だけを数えるのか、最初の回答と問題解決のどちらを待つのかを区別できます。過去の平均時間を、そのまま全件への返信期限として掲載することは避けます。

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よくある質問

Q: 平均返信時間が短くなったという評価は間違いですか?

A: 同じ測定方法なら、平均時間が短くなったという評価は正しいです。ただし、一定時間以上待つ問い合わせが減ったことや、回答内容が改善したことは、その平均だけでは分かりません。

Q: 中央値を使えば長く待つ顧客の状況も分かりますか?

A: 中央値だけでは分かりません。本文の例では中央値が1時間から0.5時間へ短くなっても、2時間を超えた問い合わせは1件から4件へ増えています。

Q: 未返信の問い合わせも返信率の分母に含めますか?

A: 受付した問い合わせ全体の時間内返信率を求めるなら含めます。受付から基準時間を過ぎても未返信なら時間内に返信できなかった件数に数え、未返信でまだ基準時間を経過していないものは判定待ちにします。

Q: 自動受領メールを最初の返信として数えてよいですか?

A: 自動受領の速さを測るなら数えられます。ただし、担当者が質問に答える速さとは別の指標です。前後比較の途中で定義を変更すると、同じ仕事の速さを比べられなくなります。

参考資料

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