想定読者

  • 活発に議論したはずなのに、なぜか物事が前に進まないと感じている方
  • 会議の最後に「じゃあ、そんな感じで…」と、曖昧なまま会議を終えてしまうファシリテーター
  • 会議を、具体的な「行動」と「成果」に直結させたいと考えているすべての人

結論:会議の価値は「何を話したか」ではなく「何が決まり、次に何をすべきか」で決まる

あなたの会社の会議は、終了時に「では、前向きに検討します」という、聞こえの良い言葉で締めくくられていないでしょうか。

もし、そうなら、その会議に費やされた時間と人件費は、ほぼドブに捨てられたと言っても過言ではありません。

「検討します」とは、「何も決まっていない」という事実を糊塗し、意思決定の責任を未来へと丸投げする、最も非生産的な言葉だからです。会議を、単なる「おしゃべりの場」から、組織を動かす「エンジン」へと変える鍵。それは、

会議の最後に決定事項次のアクションを、参加者全員の前で明確に言語化し、合意する儀式にあるのです。

あなたの会議が「時間の無駄」に終わる、最悪のクロージング

多くの会議が、なぜ「時間の無駄だった」と感じられてしまうのでしょうか。それは、会議の終わりに、具体的な着地点が設定されていないからです。

「良い議論ができましたね」「皆さんの意見が聞けてよかったです」「この件は、また別途考えましょう」。こうした言葉が飛び交う会議は、一見すると和やかで、建設的に見えます。しかし、その実態は、「で、結局、誰が、何を、いつまでにやるんだっけ?」という、最も重要な問いが、完全に抜け落ちているのです。

この「やった感」だけの会議は、参加者に「時間を無駄にした」という徒労感を与えるだけでなく、責任の所在を曖昧にし、組織の意思決定のスピードを著しく鈍化させます。これが、あなたの組織の成長を阻む、静かな、しかし深刻な病なのです。

なぜ、私たちは「決定」から逃げてしまうのか?

では、なぜ私たちは、会議の場で明確な「決定」をすることを、無意識に避けてしまうのでしょうか。

その最大の理由は、責任への恐怖です。何かを「決定する」ということは、その決定がもたらす結果に対して、明確な「責任」を負うことを意味します。特に、その決定が難しいものであればあるほど、人はその責任を負うことを恐れ、結論を曖昧なままにしておきたい、という心理が働きます。

また、対立への懸念も大きな要因です。参加者の中に反対意見がある場合、明確な決定を下すことは、誰かの意見を退けることになり、人間関係の対立を生むかもしれません。その気まずさを避けたいがために、「全員がなんとなく納得したような雰囲気」で、会議を終えようとしてしまうのです。

会議を「成果」に変える、クロージングの絶対ルール

この「決定からの逃避」という根深い問題を解決し、会議を具体的な成果に繋げるために、ファシリテーターが会議の最後に徹底すべき、2つの絶対的なルールがあります。

一つ目は、会議の終了5分前になったら、必ず「本日の決定事項の復唱」を行うことです。ファシリテーターは、議論の流れを止め、こう宣言します。「皆さん、残り5分となりましたので、本日の決定事項を確認します。本日の会議では、〇〇について、A案を採用することが決定しました。この認識で、皆さんよろしいですね?」。この問いかけは、参加者全員に「もう議論の時間は終わり、今は決定を確認する時間だ」というモードの切り替えを促し、合意形成を力強く後押しします。

そして、決定事項を確認しただけでは、まだ不十分です。二つ目のルールとして、その決定に基づいて、「次のアクションプラン」を、その場で具体的に定義することが不可欠です。ここで最も重要なのは、「誰が」「何を」「いつまでに」やるのか、という3つの要素を、曖昧さのかけらもなく、明確にすることです。「では、A案の採用に伴い、鈴木さんは、B社への連絡を、明日の17時までにお願いします。佐藤さんは、Cの資料作成を、金曜日の午前中までに着手してください」。ここまで具体的にタスクに落とし込んで、初めて、決定は「行動」へと変わるのです。

この決定事項とアクションプランは、必ずホワイトボードに書き出すか、PCの画面を共有して議事録にタイプするなど、参加者全員の目の前で、言語化・可視化してください。これにより、認識のズレが防がれ、「言った・言わない」の水掛け論を撲滅することができます。

「決めて、動く」文化が、強い組織を作る

会議の最後に「決定事項」と「次のアクション」を明確にする。このシンプルな習慣は、あなたの組織の文化そのものを、根底から変える力を持っています。

一つ一つの会議が、必ず具体的な「次の一歩」に繋がるため、組織全体の実行力とスピードは、見違えるように向上します。社員は、「この会議に出れば、必ず何かが決まり、次に何をすべきかが明確になる」と学習します。これにより、会議への参加意欲や貢献意識は高まり、議論はより建設的になる、というポジティブなサイクルが生まれるのです。

「決めて、動く」という小さな成功体験の積み重ねこそが、社員を評論家から実行家へと変え、あなたの組織を、目標達成に向けて力強く前進する、強いチームへと育て上げていくのです。

よくある質問

Q: 時間内に、どうしても結論(決定)が出ない場合はどうすればいいですか?

A: それもまた、一つの重要な「決定」です。その場合は、「本日の会議では、A案とB案の双方にメリット・デメリットがあり、現時点での決定は困難であることが分かりました。次のアクションとして、〇〇さんが、追加情報として△△を調査し、次回の会議で報告してください」というように、「現時点では決められない、という決定」と「決めるために、次に何をすべきか」を明確にして終えましょう。

Q: 決定事項に納得していない人がいるようですが、どうすればいいですか?

A: ファシリテーターは、そのサインを見逃してはいけません。「〇〇さん、何か懸念点があるように見受けられますが、いかがでしょうか?」と、勇気を持って問いかけましょう。全員が完全に合意できない場合でも、「私の意見は異なりますが、チームとしての決定には従います」という、最低限のコミットメントを得ておくことが、後の「ちゃぶ台返し」を防ぐ上で重要です。

Q: 議事録の作成が面倒で、なかなか徹底できません。

A: 優れた会議のクロージングは、議事録作成を劇的に楽にします。会議の最後に、ホワイトボードや画面共有で「決定事項」と「次のアクション」を全員で確認した内容。それをスクリーンショットして共有するだけでも、最低限の議事録の役割は果たせます。完璧な議事録より、スピード感のある情報共有を優先しましょう。

Q: ファシリテーターではなく、一参加者の立場から、会議のクロージングに貢献できますか?

A: 素晴らしい貢献ができます。会議が曖昧なまま終わりそうになったら、「恐れ入ります、最後に確認させてください。本日の会議での決定事項と、私たちが次に取るべきアクションは、〇〇という認識で合っていますでしょうか?」と、勇気を出して質問してみてください。その一言が、会議の価値を何倍にも高める、最高のファインプレーになるかもしれません。

筆者について

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