想定読者
- 1on1や商談で会話が浅く終わりがちなマネージャーや営業担当者
- 会議で意見を引き出したり、話をまとめたりするのが苦手な方
- 相手の本音や課題をつかみ、提案や対話の質を上げたいビジネスパーソン
結論
質問力は、たくさん質問することではありません。 話を広げる質問と話を絞る質問を使い分けることです。
オープンクエスチョンは、相手の考えや感情、背景を引き出すのに向いています。 クローズドクエスチョンは、事実確認や意思確認、論点の絞り込みに向いています。
この2つを場面に応じて切り替えられると、会話は一気に変わります。 相手の本音が見えやすくなり、会議はまとまりやすくなり、商談や1on1でも深い対話が生まれます。
オープンクエスチョンとクローズドクエスチョン
質問にはさまざまな形がありますが、まず押さえたいのはこの2つです。 オープンクエスチョンとクローズドクエスチョンです。
オープンクエスチョンは、相手が自由に答えられる質問です。 一方、クローズドクエスチョンは、はい・いいえ、あるいは限られた選択肢で答えられる質問です。
違いを表にすると、次のようになります。
| 種類 | 特徴 | 向いている場面 |
|---|---|---|
| オープンクエスチョン | 自由に答えられる | 本音、背景、意見、課題の把握 |
| クローズドクエスチョン | 答えが限定される | 事実確認、意思確認、選択、要約確認 |
たとえば、次の違いです。
- この件、問題ありませんか?
- この件で気になっている点はありますか?
前者はクローズドクエスチョンです。 後者はオープンクエスチョンです。
同じテーマでも、質問の形が変わるだけで、返ってくる情報量は大きく変わります。
オープンクエスチョンの役割
オープンクエスチョンは、相手の中にある考えを外に出してもらうための質問です。 会話を深めたい時に欠かせません。
本音や背景を引き出す
相手が何を考えているか、どこで迷っているか、何に困っているか。 こうした情報は、はい・いいえだけでは見えてきません。
たとえば、次のような聞き方です。
- 今回の提案を見て、どう感じましたか?
- どの部分が一番気になりましたか?
- 進めるうえで不安な点はありますか?
こうした質問は、相手の頭の中を言葉にしてもらうきっかけになります。
相手に考えてもらう
オープンクエスチョンは、答えを引き出すだけでなく、相手自身の思考を進める役割もあります。 話しながら考えがまとまることは少なくありません。
1on1や面談では、特にこの効果が大きくなります。
- 最近の仕事で手応えを感じた場面はありましたか?
- 今、どんな点に難しさを感じていますか?
- 次に伸ばしたい力は何ですか?
こうした問いかけは、相手の自己理解を深めるきっかけにもなります。
信頼関係につながる
自由に話せる質問は、相手に関心を向けていることが伝わります。 そのため、尋問のような空気になりにくく、対話の土台ができやすくなります。
ただし、広すぎる質問は逆に答えづらくなります。 たとえば、何か意見ありますか?だけでは、相手は戸惑うことがあります。
そんな時は、少しだけ焦点を絞ると答えやすくなります。
- この案の気になる点はありますか?
- 現場目線で見ると、どこに負担が出そうですか?
- 顧客の立場なら、どこで迷いそうですか?
クローズドクエスチョンの役割
クローズドクエスチョンは、会話を止める質問ではありません。 使いどころが合えば、対話を前に進める力があります。
事実確認に向いている
まず役立つのは、状況や認識をそろえる場面です。 事実を手早く確認したい時には、クローズドクエスチョンが向いています。
たとえば、次のような場面です。
- この資料は今日中に提出できますか?
- 来週の打ち合わせで進めて問題ありませんか?
- A案とB案なら、今回はA案で進めますか?
答えが明確なので、会話のテンポも保ちやすくなります。
話をまとめる
相手の話が広がりすぎた時にも、クローズドクエスチョンは役立ちます。 一度受け止めたうえで、論点を絞るために使えます。
たとえば、次のような形です。
- つまり、一番の課題は納期という理解で合っていますか?
- 今の話をまとめると、優先順位はこの順番で良いですか?
- まずはこの方向で進める形で問題ないですか?
この使い方ができると、会議や打ち合わせが散らかりにくくなります。
相手の負担を下げる
オープンクエスチョンばかりだと、相手は考え続けることになります。 場面によっては、それが負担になることもあります。
特に、緊張している相手や、まだ話し慣れていない相手には、答えやすい質問から入る方が会話が進みます。 その意味でも、クローズドクエスチョンは大切です。
使い分けのコツ
大切なのは、どちらが優れているかではありません。 会話の目的に合わせて順番を考えることです。
広げてから絞る
会議、商談、1on1では、この順番が使いやすくなります。 まずオープンクエスチョンで話を広げ、その後クローズドクエスチョンでまとめます。
たとえば商談なら、次のような形です。
- 現在、どんな点に手間がかかっていますか?
- その中でも特に負担が大きいのはどこですか?
- では、まずはその部分の改善を優先する形で良いですか?
この順番なら、相手の状況をつかみながら、提案の焦点も定められます。
絞ってから広げる
逆に、最初に事実確認をしてから深掘りしたい場面もあります。 特に、問題の有無を確認したい時に有効です。
たとえば、1on1なら次のような形です。
- 今の業務量は負担になっていますか?
- はい
- どの業務が特に重く感じますか?
- その背景には何がありますか?
最初に答えやすい質問を置くことで、会話の入口を作れます。
目的ごとに使い分ける
迷った時は、今の目的を確認すると使い分けやすくなります。
| 目的 | 向いている質問 |
|---|---|
| 本音を知る | オープンクエスチョン |
| 背景を知る | オープンクエスチョン |
| 事実を確認する | クローズドクエスチョン |
| 選択してもらう | クローズドクエスチョン |
| 話をまとめる | クローズドクエスチョン |
質問は、思いつきで投げるより、目的に合わせて選ぶ方が会話の質が上がります。
やってしまいがちなNG質問
質問の形を知っていても、使い方を誤ると逆効果になります。 よくある失敗も押さえておきたいところです。
クローズドばかり続ける
はい、いいえで終わる質問が続くと、会話は確認作業のようになります。 相手の考えや感情は見えにくくなります。
- 順調ですか?
- 問題ないですか?
- 大丈夫ですか?
これだけが続くと、深い話にはつながりません。
広すぎるオープンクエスチョン
自由に答えられる質問でも、広すぎると相手は困ります。
- 何かありますか?
- どう思いますか?
これでは、何について答えればいいのか分かりません。 少しだけ焦点を絞ることが大切です。
一度にたくさん聞く
質問を重ねすぎると、相手はどれに答えればいいか迷います。
- 進捗どうですか?問題ありますか?来週までに終わりますか?
これでは答えにくくなります。 一つずつ聞く方が、会話は進みます。
詰めるような聞き方
特に注意したいのが、責めるように聞こえる質問です。
- なんでできなかったのですか?
- どうしてそうなったのですか?
場面によっては必要な問いですが、言い方によっては防御反応を生みます。 背景を知りたいなら、次のような聞き方の方が会話が進みます。
- どんな事情がありましたか?
- どこで難しさが出ましたか?
- 何が影響していましたか?
よくある質問
Q: オープンクエスチョンをしても相手があまり話してくれません
A: 質問が広すぎる可能性があります。何かありますか?ではなく、この案の気になる点はありますか?のように、少しだけ焦点を絞ると答えやすくなります。
Q: 話が長くなりすぎる相手にはどうすればいいですか?
A: 一度受け止めたうえで、クローズドクエスチョンでまとめるのが有効です。つまり、一番の課題は納期という理解で合っていますか?のように確認すると、論点を絞れます。
Q: 1on1ではどちらを多く使うべきですか?
A: 基本はオープンクエスチョンを多めに使うと、相手の考えや悩みが見えやすくなります。ただし、認識合わせや要約確認ではクローズドクエスチョンも必要です。
Q: 商談ではどんな順番で使うと良いですか?
A: まずオープンクエスチョンで課題や背景を聞き、その後クローズドクエスチョンで優先順位や方向性を確認する形が使いやすくなります。
Q: 質問力はどうやって鍛えればいいですか?
A: 普段の会話で、今は広げる場面か、絞る場面かを意識するだけでも変わります。会議や商談の後に、自分の質問がどちらに偏っていたか振り返るのも効果的です。
筆者について
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