こんな人におすすめの記事です
- チーム内のエース人材（ハイパフォーマー）の扱いに悩んでいる経営者・管理職
- リーダーとして、メンバーを巻き込み、チーム全体の力を最大化する方法を知りたい方
- 自身の強みが「個の力」なのか「巻き込む力」なのかを理解し、キャリアに活かしたい方
- 漫画『キングダム』から、実践的な組織論や人材育成論を学びたい方
結論：組織の成長は「個の力」と「巻き込む力」の相乗効果によって最大化される
「一人の突出したエースがいれば、組織は成長するのか」「人柄の良いリーダーがいれば、チームは強くなるのか」。これは、組織論における普遍的な問いです。そして、その答えのヒントが、漫画『キングダム』の主人公・信が率いる「飛信隊」にあります
結論から言います。持続的に成長する強い組織は、どちらか一方の力だけで作られるわけではありません。羌瘣に象徴される、単独で戦局を打開する圧倒的な「個の力」を持つエースと、信に象徴される、多様な仲間を惹きつけ、一つの目的に向けて束ねる「巻き込む力」を持つリーダー。この両者が存在し、互いの能力を尊重し、補い合うことで初めて、組織の力は最大化されます。
この記事では、飛信隊における信と羌瘣の役割を分析し、現代の企業組織において、エースとリーダーがそれぞれどのように機能し、いかなる相乗効果を生み出すのかを、深く掘り下げて解説します。
第1章：「個の力」の象徴、羌瘣 - エース人材の価値と限界
飛信隊の副長である羌瘣は、作中屈指の剣の腕前を持ち、一人で百人以上の敵を相手にできるほどの、突出した戦闘能力を誇ります。彼女の存在は、組織における「エース人材」の価値を明確に示しています。
エース人材の価値
ビジネスの現場におけるエースとは、トップの営業成績を上げるセールスパーソンや、他の追随を許さない技術力を持つエンジニア、卓越したデザインを生み出すデザイナーなどを指します。彼らの「個の力」は、組織に以下のような直接的な価値をもたらします。
- 困難な状況の打開：エースの突出した能力は、膠着した商談をまとめたり、技術的な難題を解決したりと、組織が直面する困難な状況を単独で打開する力となります。
- 事業成果への直接的な貢献：エースのパフォーマンスは、売上や利益といった、事業の成果に直接的に、そして大きく貢献します。
- 組織全体の基準の引き上げ：エースが示す高い専門性や成果は、他のメンバーにとっての具体的な目標となり、組織全体のスキルレベルや品質基準を引き上げる効果があります。
エース人材が持つ構造的な限界
一方で、羌瘣が当初、飛信隊という組織への関心が薄く、自身の個人的な目的（姉の仇討ち）のために力を用いていたように、エース人材の「個の力」だけに依存する組織は、構造的な限界とリスクを抱えています。
- 業務の属人化：エースのスキルや知識が、その個人の中に留まり、組織全体に共有されない「属人化」が起こるリスクです。もし、そのエースが退職すれば、組織はその能力を完全に失ってしまいます。
- 組織への貢献意欲の不確実性：エースのモチベーションが、必ずしも組織の目標と一致しているとは限りません。個人的なスキルの追求や、より良い金銭的条件を求め、組織への貢献意欲が低下する可能性があります。
- 他のメンバーへの影響：突出したエースの存在が、他のメンバーに「あの人がいれば大丈夫」という依存心を生んだり、逆に「自分は貢献できていない」という劣等感やモチベーションの低下を引き起こしたりする場合があります。
第2章：「巻き込む力」の象徴、信 - リーダーの価値と役割
飛信隊の隊長である信は、羌瘣のような突出した個人的武力は持っていません。しかし彼には、身分や出自の異なる多様な人々を惹きつけ、一つの目標に向かわせる、強力な「巻き込む力」があります。
リーダーの価値
ビジネスにおけるリーダーの価値は、個人のパフォーマンスの高さではなく、チーム全体の成果を最大化させることにあります。信が持つ「巻き込む力」は、組織に以下のような価値をもたらします。
- ビジョンと目的の共有：リーダーは、チームが目指すべき方向性（ビジョン）と、その仕事の意味（目的）を、メンバーの心に響く言葉で伝えます。これにより、メンバーは日々の作業に意味を見出し、主体的に行動するようになります。
- モチベーションの向上と組織の一体感：信が常に最前線で声を張り上げ、仲間を鼓舞するように、リーダーはメンバーの感情に働きかけ、組織全体の士気を高めます。一体感が醸成され、困難な状況でもチームは崩壊しません。
- メンバーの成長促進：リーダーは、メンバー一人ひとりの個性や強みを理解し、適切な役割を与え、挑戦を促すことで、個人の成長を支援します。結果として、組織全体の能力が底上げされます。
リーダーが持つ構造的な限界
しかし、信が当初、戦略的な思考力に欠け、猪突猛進な戦い方しかできなかったように、「巻き込む力」だけのリーダーにも限界があります。
- 専門能力の不足：リーダーの情熱やビジョンだけでは、具体的な技術的問題を解決したり、質の高い製品を生み出したりすることはできません。ビジョンを形にするための、専門的なスキルが組織には不可欠です。
- 戦略の欠如：想いだけが先行し、市場や競合の冷静な分析に基づいた、合理的な戦略が欠けている場合、組織は間違った方向に進み、多大なエネルギーを浪費する結果となります。
第3章：最強の組織を作るための相乗効果
飛信隊が数々の戦場で勝利を収め、成長し続けることができたのは、信の「巻き込む力」と、羌瘣の「個の力」が、見事な相乗効果を生み出しているからです。
リーダーが、エースを活かす
信は、羌瘣の並外れた強さを認め、彼女がその力を最大限に発揮できるような戦場と役割を与えます。彼は、羌瘣の戦い方に細かく口を出すことはありません。ただ、彼女を信頼し、彼女が戻ってくる場所（居場所）を提供し、彼女の力を、より大きな目的（中華統一）のために使う意義を示しました。
【経営への応用】 リーダーの重要な役割は、エース人材が、その能力を100%発揮することに集中できる環境を整備することです。具体的には、不要な会議や事務作業からエースを解放し、彼らの専門性が最も活きる、挑戦的で難易度の高い課題を与えます。そして、その成果を正当に評価し、その能力が組織全体の目標達成にどう貢献しているかを明確に伝えます。
エースが、リーダーを支える
一方、羌瘣の圧倒的な「個の力」は、何度も飛信隊を絶体絶命の窮地から救います。信の「巻き込む力」だけでは突破できない困難な局面を、羌_瘣がその剣でこじ開けるのです。羌瘣というエースの存在が、信というリーダーの掲げる目標の実現可能性を高め、他の兵士たちの「この隊なら勝てる」という信頼を醸成しています。
【経営への応用】 エース人材が上げる具体的な成果は、リーダーが語るビジョンの説得力を裏付けます。エースによる画期的な製品開発や、大型契約の受注といった目に見える成功は、他の従業員に対して「我々が目指している方向は間違っていない」という強力なメッセージとなり、組織全体の士気を高め、リーダーシップをより強固なものにします。
第4章：あなたの組織で、信と羌瘣をどう育てるか
強い組織を作るためには、両タイプの人材を意識的に育成し、評価する必要があります。
- エース（羌瘣）人材の育成と評価 専門性を深く追求できる研修機会や、裁量権の大きなプロジェクトを提供します。評価は、チーム全体の平均ではなく、その個人の成果や、専門スキルの向上度合いを重視します。
- リーダー（信）人材の育成と評価 小規模なチームのマネジメントや、部門横断的なプロジェクトを任せます。評価は、個人の業績だけでなく、担当したチーム全体の業績や、メンバーの成長度合い、離職率の低さといった、組織への貢献度を重視します。
よくある質問
Q: 私はエースタイプですが、リーダーになるべきですか？
A: 必ずしもその必要はありません。優れた専門家としてキャリアを追求する道もあります。ただし、自身の専門性を活かして、後進の指導や育成に関わることで、組織への貢献度をさらに高めることは可能です。
Q: リーダーである私に、専門スキルは不要ですか？
A: 不要ではありません。少なくとも、事業の根幹となる領域については、的確な判断を下せるだけの深い知識が求められます。ただし、全てにおいてエースである必要はなく、自分より優れた専門家を見出し、信頼して任せる能力の方が、リーダーにとってはより重要です。
Q: エース社員の待遇は、他の社員と差をつけるべきですか？
A: はい、差をつけるべきです。個人の成果が明確に測定できるのであれば、その貢献度に応じて、給与や賞与で報いることは、エースのモチベーションを維持する上で重要です。ただし、その評価基準は、他の社員にも公平で透明性のあるものである必要があります。
Q: エースと他のメンバーの関係が悪化しないようにするには？
A: リーダーの役割が重要です。エースの成果を称賛すると同時に、その成果を支えた他のメンバー（サポート業務など）の貢献にも光を当て、組織全体の成果であることを常に強調する必要があります。
筆者について
記事を読んでくださりありがとうございました！ 私はスプレッドシートでホームページを作成できるサービス、SpreadSiteを開発・運営しています！ 「時間もお金もかけられない、だけど魅力は伝えたい！」という方にぴったりなツールですので、ホームページでお困りの方がいたら、ぜひご検討ください！ https://spread-site.com