想定読者
- ユーザーに愛着を持たれるサービスを作りたい方
- 便利なのに継続利用につながらず悩んでいる方
- プロダクト設計に達成感や参加感を取り入れたい方
結論
DIY体験デザインとは、ユーザーが自分の力で作り上げたと感じられる体験を設計することです。
便利さや自動化だけでは、記憶に残るサービスにはなりません。少し手を動かし、自分で選び、自分で完成させた感覚があると、成果物への愛着もサービスへの満足感も大きくなります。ユーザーエンゲージメントを高めたいなら、効率だけでなく参加した実感まで設計することが重要です。
DIY体験デザインとは?
DIY体験デザインは、ユーザーが完成品を受け取るだけでなく、作る過程に関わったと感じられるようにする考え方です。実際の作業の多くをシステム側が支えていても、ユーザーの感覚として自分で作ったと思えることが大切です。
この感覚が生まれると、次のような変化が起こります。
- 成果物への愛着が増す
- 達成感が残る
- 他人に見せたくなる
- サービス自体への印象が良くなる
たとえばBBQは、効率だけを考えれば手間の多い食事です。それでも楽しく感じるのは、自分たちで火を起こし、焼き、完成まで関わっているからです。多少焦げても、その体験ごと価値になります。
デジタルサービスでも同じです。完成品を一瞬で出すだけではなく、ユーザーが少しでも関わった感覚を持てると、満足度は変わります。
便利なだけでは愛着は生まれない?
多くのサービスは、速さや簡単さを追いかけます。もちろんそれは大切です。ですが、便利なだけでは記憶に残りにくいことがあります。
その理由は、ユーザーの中に自分が関わった実感が残りにくいからです。
便利さだけを追いかけたときに起こりやすいことは次の通りです。
- 完成品は良いのに印象が薄い
- 使った満足感より受け取った感覚が強い
- 他サービスとの差が見えにくい
- 愛着より比較で選ばれやすくなる
特にAIや自動化が進むほど、この差は大きくなります。全部やってくれるサービスは便利ですが、ユーザーの中に達成感が残りにくいことがあります。
比較すると違いは分かりやすくなります。
| 設計の違い | ユーザーの感じ方 |
|---|---|
| 全自動で完成 | 便利だった |
| 少し選んで完成 | 自分で作れた |
| 試行錯誤して完成 | これは自分の作品だ |
この違いが、継続利用や共有行動にもつながります。便利さは入口になりますが、愛着は参加感から生まれます。
Canvaに学ぶ参加感の作り方
DIY体験デザインの参考として分かりやすいのが、Canvaのようなサービスです。高度なデザイン知識がなくても、ユーザーは自分で作った感覚を持ちやすくなっています。
難しい部分は裏側で支える
Canvaの魅力は、難しい作業を表に出しすぎないことです。レイアウト、余白、フォントの組み合わせなど、普通なら悩む部分を裏側で支えています。
そのうえで、ユーザーには次のような行動を任せています。
- テンプレートを選ぶ
- 写真を差し替える
- 色を変える
- 文字を入れる
この設計だと、技術的な負担は小さいのに、自分で作った感覚は残ります。全部を任せるのではなく、気持ちよく関われる部分だけを前に出すことがポイントです。
主語がユーザーになる形を作る
DIY体験デザインでは、成果物の主語がユーザーになることが重要です。たとえば、完成したチラシを見た人が、これ作ったの?と聞いたときに、ユーザーが自分で作ったと言いたくなる状態です。
この感覚を生むには、次の要素が効きます。
- 自分で選んだ感覚がある
- 自分で仕上げた印象がある
- 完成までの手順を覚えている
- 少し工夫した記憶が残る
システムが優秀でも、前に出すぎると主語はサービスになります。逆に、ユーザーの選択や編集が見えると、主語はユーザーに戻ります。
小さな成功を積み上げる
いきなり大きな達成感を作る必要はありません。むしろ、小さな成功を積み上げるほうが効果的です。
たとえば、次のような設計です。
- 最初の一枚がすぐ完成する
- 少し変えるだけで見栄えが良くなる
- 完成後に共有したくなる
- 次は別のものも作れそうだと感じる
この積み重ねが、自己効力感につながります。ユーザーが自分にもできたと思える瞬間を増やすことが大切です。
愛されるサービスに変える実践ポイント
DIY体験デザインは、特別な業種だけの話ではありません。ユーザーが何かを作る、選ぶ、整える場面があるなら取り入れられます。
手間を全部なくさない
手間は悪ではありません。問題なのは、意味のない手間です。意味のある関与まで消してしまうと、体験が薄くなります。
残したい手間の例は次の通りです。
- 選ぶ
- 比べる
- 並べる
- 仕上げる
減らしたい手間は次の通りです。
- 難しい設定
- 専門知識が必要な操作
- 失敗時の復旧の難しさ
- 単純な繰り返し作業
つまり、ユーザーの創造性が出る部分は残し、技術的な負担は裏側で支える設計が理想です。
完成後の気持ちまで設計する
DIY体験デザインでは、完成そのものだけでなく、完成後に何を感じるかも重要です。
意識したい感情は次の通りです。
| 感情 | つながる行動 |
|---|---|
| 達成感 | また使いたくなる |
| 愛着 | 長く残したくなる |
| 誇らしさ | 人に見せたくなる |
| 自信 | 次の挑戦につながる |
この感情があると、単なる便利ツールではなく、思い出に残るサービスになります。
自分で育てられる感覚を持たせる
一回で終わる体験より、少しずつ上達したり広げたりできる体験のほうが、継続利用につながります。
たとえば、次のような設計です。
- 次は別のテンプレートも試せる
- 前回より良いものが作れる
- 自分らしい形に近づけられる
- 使うほどコツが分かる
この感覚があると、サービスは単なる道具ではなくなります。ユーザーの成長と一緒に価値が増える存在になります。
よくある質問
Q: DIY体験デザインとは簡単に言うと何ですか?
A: ユーザーが自分の力で作り上げたと感じられるように体験を設計する考え方です。完成品だけでなく、参加した実感を重視します。
Q: 自動化が進む時代でもDIY体験は必要ですか?
A: 必要です。自動化は便利ですが、全部を任せると達成感や愛着が残りにくくなります。自動化と参加感の両立が重要です。
Q: どんなサービスで効果がありますか?
A: デザイン、学習、コンテンツ制作、ホームページ作成など、ユーザーが何かを作る場面で特に効果があります。選ぶ、編集する、仕上げる要素があるサービスと相性が良いです。
Q: DIY体験を入れると使い勝手が悪くなりませんか?
A: 設計次第です。技術的に難しい部分は裏側で支え、ユーザーが気持ちよく関われる部分だけを前に出せば、使い勝手と達成感の両立は可能です。
筆者について
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