想定読者

  • RPAやAIツールを導入すれば、業務が劇的に効率化すると信じている方
  • 毎日忙しいはずなのに、なぜか成果が出ないと感じている方
  • 業務改善に取り組んでいるが、なかなか解決策にたどり着けないと悩んでいる経営者やリーダー

結論:業務改善の究極は「自動化」ではない。「排除」である。

あなたの会社は、業務効率化のために、RPAやAIツールを導入しようとしていませんか? それは素晴らしいことです。しかし、その自動化の対象が、そもそもムダな仕事である場合、それは「ムダの自動化」であり、かえって弊害を生むことを知っていますか? ムダな業務を自動化することはムダを増幅させるだけです。生産性向上の究極は「自動化」ではありません。

それは「そもそも無くせないか」という問いを立て、あなたの時間とエネルギーを奪っている「ムダ」を根こそぎ排除することなのです。この「排除」の思考こそが、核となる業務に集中し真の成果を生み出すための武器となります。

あなたの会社は「ムダな仕事」を「自動化」していないか?

多くの企業が、業務効率化のためにRPAやAIツールを導入し、自動化を進めています。しかし、その自動化の対象が、本当に価値を生み出している業務なのか、深く検討されていないケースが散見されます。

例えば、

  • 誰も読まない報告書を、自動で作成するシステムを導入する。
  • 目的が曖昧な会議の議事録を、AIで自動要約する。
  • 手作業でできるはずの、意味のないデータ入力を、RPAで自動化する。

これらは、一見すると効率化に見えますが、その実態は「ムダの自動化」に他なりません。ムダな業務を自動化することは、そのムダを恒久化させ、さらに見えにくくします。そして、その自動化されたムダな業務を維持するためのコスト(ツールの費用、メンテナンス費用など)が、新たなムダとして発生します。これは、あなたの会社を、ムダの無限ループへと誘い込む、恐ろしい罠なのです。

なぜ「自動化」の前に「排除」を考えるべきなのか?

業務改善には、いくつかの段階があります。一般的には、以下の「ECRSA(イクルサ)」という原則が知られています。

  1. 排除(Eliminate): そもそもその業務は必要か?
  2. 結合(Combine): 複数の業務をまとめられないか?
  3. 交換(Change): 業務の順番を変えられないか?
  4. 簡素化(Simplify): 業務をよりシンプルにできないか?
  5. 自動化(Automate): 上記の改善後、自動化できないか?

この原則が示す通り、自動化は、業務改善の最後の手段なのです。まず最初に考えるべきは、「そもそもその業務は必要か?」という「排除」の視点です。ムダな業務を自動化することは、ムダを増幅させるだけです。ムダを排除することで、初めて、その後の結合、交換、簡素化、そして自動化が、真の価値を生み出すのです。

「そもそも無くせないか」を考える3つの思考法

では、どうすれば、あなたの会社に潜む「ムダな業務」を見つけ出し、根こそぎ排除できるのでしょうか。そのための3つの思考法を紹介します。

一つ目の思考法は、「業務の棚卸し」と「価値の問い直し」です。自分の業務を全て書き出し、「この業務は、誰のために、何のために、どんな価値を生んでいるのか?」と問い直しましょう。もし、その業務が、顧客や組織の目標達成に貢献していない、あるいは貢献度が低いなら、それは「無くせる」可能性が高いです。この棚卸しは、個人だけでなく、チームや部署全体で行うと、より大きな効果が得られます。

二つ目の思考法は、「Why-Why分析」で深掘りすることです。ある業務が存在する理由を、最低5回「なぜ?」と問い続けるのです。例えば、「なぜこの報告書が必要なのか?」→「上司が求めているから」→「なぜ上司は求めているのか?」→「現状を把握するため」→「なぜ現状を把握する必要があるのか?」→「意思決定のため」→「意思決定のために、この報告書が本当に最適か?」のように目的を掘り下げることでその業務が本当に必要かどうかが明らかになります。

そして三つ目の思考法は、「もし、この業務が明日からなくなったら、何が困るか?」と仮定することです。誰も困らない、あるいは困る人がごく一部なら、それは無くせる可能性が高いです。困る人がいる場合でも、「どうすれば困らないようにできるか?」と代替案を考えるきっかけになります。この思考法は、業務の本当の意味での価値を浮き彫りにします。

「引き算の生産性向上」が、組織を強くする

「ムダなこと」を自動化するのではなく、根こそぎ「排除」することこそが、真の生産性向上です。ムダを排除することで、あなたの時間とエネルギーを、本当に価値ある業務に集中させることができます。

ムダを排除することで、時間的余裕が生まれ、新しい挑戦や、より高付加価値な業務に集中できるようになります。組織全体が常に「これは本当に必要か?」と問い直す文化が醸成されます。これにより、変化の激しい時代において、組織が生き残り、成長し続けるための、最も重要な戦略となるでしょう。

よくある質問

Q: 「無くす」と判断するのが怖いです。

A: その気持ちはよく分かります。しかし、ムダな業務を温存し続けることの方が、組織にとってはるかに大きなリスクです。まずは、影響の小さい業務から「試験的にやめてみる」ことを提案してみましょう。そして、やめることによるメリット(時間削減、コスト削減など)を具体的に可視化し、成功体験を積み重ねることで、自信を持つことができます。

Q: 上司が「やめる」ことを許してくれません。

A: その場合は、まず「やめることによるメリット(時間削減、コスト削減、生産性向上など)」を具体的に数値化して提案しましょう。そして、「まずは〇〇の業務だけ、1ヶ月間やめてみて、効果を検証させてください」と、小さく試すことを提案するのも有効です。成功体験を積み重ねることで、上司の理解を得やすくなります。

Q: 自動化ツールを導入するメリットは、やはり大きいのではないでしょうか?

A: もちろん、自動化ツールは非常に強力な武器です。しかし、それは「ムダを排除し、業務を簡素化した後」に導入すべきものです。ムダな業務を自動化することは、ムダを増幅させるだけです。まずは「排除」を徹底し、その上で、本当に自動化すべき業務を見極めることが重要です。

Q: 業務を無くすと、仕事が減ってしまいそうで不安です。

A: その不安は、あなたが「ムダなこと」に多くの時間を費やしてきた証拠です。ムダなことをやめることで生まれた時間は、あなたのスキルアップ、新しい事業の企画、顧客との関係構築など、より高付加価値で、あなたのキャリアを豊かにする活動に投資できます。仕事がなくなるのではなく、仕事の質が上がるのです。

筆者について

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