こんな人におすすめの記事です

  • 顧客から「高い」と言われると、どう返せば良いか分からなくなってしまう営業担当者
  • 価格競争に陥り、利益を削って値引き販売をしてしまっている方
  • 価格交渉の場で主導権を握り、自信を持って自社製品を提案したい方
  • フリーランスや個人事業主で、自身のサービスの価格交渉に悩んでいる方

結論:「高い」は拒絶ではなく「交渉開始の合図」である

自信を持って商品やサービスを提案した最終局面で、顧客から「少し高いですね」という一言。この言葉をきっかけに、焦って値引きを提示してしまったり、あるいは「そうですか…」と引き下がってしまったりした経験は、営業に携わる人間なら誰しもあるでしょう。

しかし、結論から言います。顧客からの「高い」という言葉は、多くの場合、最終的な拒絶ではなく、あなたの提案に対する興味の表れであり、交渉開始の合図です。この言葉の裏に隠された顧客の真意を正確に読み解き、価格の妥当性を論理的に説明し、価値を伝えるコミュニケーションを行うことで、安易な値引きに頼ることなく、顧客満足度と自社の利益を両立させることが可能になります。

この記事では、そのための具体的な思考プロセスと、実践的な切り返しトークを網羅的に解説します。

第1章:「高い」という言葉の裏にある4つの真意

まず理解すべきは、「高い」という言葉が、必ずしも「予算的に支払えない」という意味ではないということです。この言葉の裏には、少なくとも4つの異なる顧客心理が隠されています。

  1. 【価値不一致】価格に見合う価値を感じていない 最も多いのがこのケースです。顧客は、あなたが提示した価格に対して、それに見合うだけのメリットや効果、つまり「価値」をまだ十分に理解・納得できていません。「その金額を支払うことで、自分にどんな良いことがあるのか」が不明確な状態です。
  1. 【予算超過】純粋に予算が不足している 顧客がその商品・サービスのために確保している予算の上限を、提示価格が超えてしまっているケースです。この場合、顧客は価値を理解していても、物理的に支払いが困難な状況です。
  1. 【比較検討】他社製品と比較している 競合他社の類似製品や代替手段と比較して、相対的に「高い」と感じているケースです。この場合、顧客は価格だけでなく、機能やサポート体制などの違いも比較検討しています。
  1. 【交渉戦術】値引きを引き出すための常套句 特に法人営業や高額商品の販売において、顧客は交渉の主導権を握るため、あるいは少しでも有利な条件を引き出すために、半ば習慣的に「高い」という言葉を使うことがあります。この場合、必ずしも本気で高いと思っているわけではありません。

第2章:絶対にやってはいけない3つのNG対応

「高い」と言われた際に、反射的に以下の対応をとってしまうと、商談はほぼ確実に失敗に終わるか、成功しても利益の少ない不本意な結果となります。

  • NG1:即座の値引き 「では、〇〇円値引きします」と即答するのは最悪の対応です。これは、自ら「この商品には、値引きできる程度の価値しかない」と認めるようなものです。顧客は「もっと値引きできるはずだ」とさらなる交渉を要求してくるか、商品そのものへの信頼を失います。
  • NG2:感情的な反論 「いえ、そんなことはありません!この品質でこの価格は安いくらいです!」と感情的に反論・否定するのは、顧客を論破しようとする行為であり、関係性を悪化させるだけです。顧客は心を閉ざし、あなたの話をそれ以上聞こうとしなくなります。
  • NG3:無言の撤退 「そうですか…では、難しいですね」と、何もせずに引き下がってしまうのは、交渉の放棄です。顧客が発した「交渉開始の合図」を見逃し、みすみす成約の機会を失うことになります。

第3章:成約に導くスマートな切り返し3ステップ

では、具体的にどう切り返せば良いのでしょうか。基本は「①共感と質問 → ②価値の再提示 → ③代替案の提示」という3つのステップです。

ステップ1:共感と質問(クッション+ヒアリング)

まず、相手の言葉を頭ごなしに否定せず、一度受け止めることが重要です。これをクッション話法と言います。

会話例1:共感(クッション) 「おっしゃる通り、決して安い金額ではございませんよね。率直なご意見をいただき、ありがとうございます」

このように一度受け止めた上で、次に「なぜ」高いと感じたのか、その理由を探るための質問をします。

会話例2:質問(ヒアリング) 「ありがとうございます。今後の参考にぜひお伺いしたいのですが、ちなみに、どの点に『高い』と感じられましたでしょうか?」 「もし仮に、価格が〇〇様のご予算に合うとしたら、商品そのものには魅力を感じていただけますでしょうか?」

この質問によって、相手が「価値不一致」なのか「予算超過」なのか、その真意を探ることができます。

ステップ2:価値の再提示(リフレーミング)

ヒアリングで得た情報に基づき、価格の妥当性を改めて説明します。これは、価格を「コスト」から「投資」へと、顧客の認識を変化させる(リフレーミング)プロセスです

会話例3:価値の再提示(費用対効果) 「確かに初期費用は〇〇円かかりますが、このシステムを導入いただくことで、現在〇〇様が毎月20時間かけている入力作業が不要になります。時給2,000円で換算すると、月4万円、年間で48万円のコスト削減に繋がりますので、約半年で投資回収できる計算になります」

会話例4:価値の再提示(競合比較) 「他社様の製品と比較されているのですね。確かにA社の製品は価格が安いですが、私どもの製品は〇〇という独自の機能があり、導入後のサポート体制も24時間対応です。長期的な運用の安心感まで含めると、ご納得いただける価格かと存じます」

ステップ3:解決策の提示(オプション提案)

価値を伝えても、どうしても予算の壁が越えられない場合、最後の手段として代替案を提示します。ここでも、安易な値引きは避け、複数の選択肢を提示するのがポイントです。

会話例5:解決策の提示 「承知いたしました。もし、どうしても今回のご予算に合わせるとなりますと、3つの選択肢がございます。

  1. 機能Aを外した、月額〇〇円のライトプランに変更する
  2. お支払い方法を、一括ではなく月々の分割払いにする
  3. 価格は据え置きで、本来は有償の初期設定サポートを、今回に限り無償で提供する 〇〇様にとっては、どの方法が最も現実的でしょうか?」

このように、機能を削る、支払い方法を変える、付加価値を提供する、といった選択肢を示すことで、値引きをせずに顧客の予算に寄り添う姿勢を見せることができます。

第4章:価格交渉に備えるための事前準備

こうした交渉を有利に進めるためには、事前の準備が不可欠です。

  • 価値の言語化:自社製品がもたらすメリットを、具体的な金額や時間に換算して説明できるよう、複数のトークパターンを用意しておく。
  • プランの複数用意:価格帯の異なる「松・竹・梅」のようなプランをあらかじめ設計しておくことで、代替案をスムーズに提示できる。
  • 値引き権限の明確化:もし値引きに応じる場合、どこまでなら許容できるのか、その限度額と条件を社内で明確に決めておく。
  • Webサイトでの価格明示:自社の公式サイトに、サービス内容と価格、そしてその価格の根拠となる価値を明確に記載しておくことが、不毛な価格交渉を減らす第一歩になります。SpreadSiteのようなサービスを活用し、こうした情報を整理して提示する場を設けておくことは有効です。

よくある質問

Q: 競合他社が明らかに安い価格を提示している場合はどうすれば?

A: 価格で勝負しないことが鉄則です。「なぜ弊社は、その価格で提供できないのか」を、品質、サポート、信頼性などの観点から、自信を持って説明する必要があります。安さだけを求める顧客は、長期的な優良顧客にはなり得ないと割り切る判断も重要です。

Q: 一度値引きしてしまった顧客には、次も値引きすべきですか?

A: 原則として、一度限りの特別対応であることを明確に伝えるべきです。「前回はキャンペーン価格でしたが、今回からは通常価格となります」と毅然と伝え、改めて価値を説明する必要があります。

Q: 相手が決裁権者でない場合、どう交渉すればいい?

A: 目の前の担当者を「味方」につけることが重要です。担当者が社内で稟議を通しやすいように、費用対効果のデータや、競合比較の資料などを提供し、共同で決裁者を説得する、というスタンスで臨みます。

Q: どうしても値引きに応じなければならない場合の、最後の交渉テクニックは?

A: 「〇〇円値引きさせていただく代わりに、導入事例として弊社サイトにお名前を掲載させていただけないでしょうか?」のように、値引きの交換条件として、こちらにもメリットがある依頼(ギブアンドテイク)を提案するのが有効です。

筆者について

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