想定読者
- 新しい商品やサービスのアイデアを考えている方
- 自社商品がなぜ顧客に響かないのか悩んでいる方
- 顧客課題を起点に商品設計を見直したい方
結論
商品設計で重要なのは、顧客が欲しいと言ったものをそのまま形にすることではありません。実際に選ばれやすいのは、気分を少し良くするものより、放置できない不満や不便を減らすものです。だからこそ、表面的なウォンツだけでなく、その奥にあるニーズまで見ないと、売れる商品にはつながりません。
欲しいと思う商品と必要だから選ばれる商品の違い
商品には、あると嬉しいものと、ないと困るものがあります。この違いは、売れ方にかなり影響します。
あると嬉しい商品は、気分が上がる、少し便利になる、使うと前向きになれるといった価値を持っています。一方で、必要だから選ばれる商品は、今の不満、不便、損失、手間を減らす役割を持っています。
この差は、購入の優先順位に表れます。あると嬉しい商品は、興味を持たれても後回しになりやすいです。反対に、必要だから選ばれる商品は、比較検討されながらも導入や購入に進みやすくなります。
たとえば、業務で毎月発生する請求処理の手間を減らすツールは、必要性が高い商品です。時間がかかる、ミスが起きる、担当者の負担が大きいという問題があるからです。こうした商品は、便利そうだからではなく、今の負担を減らしたいから選ばれます。
売れない商品が生まれる理由
売れない商品が生まれる理由のひとつは、作り手が顧客の課題より、自分たちのアイデアの魅力を優先してしまうことです。
新しい機能、きれいなデザイン、面白い仕組み。こうした要素はたしかに大切です。ただ、それが顧客の困りごととつながっていなければ、評価されても購入には結びつきません。いいと思うけれど、今は要らない。この反応で止まってしまいます。
もうひとつの理由は、顧客の言葉をそのまま受け取ってしまうことです。顧客が欲しいと言ったとしても、それが本当に必要なものとは限りません。便利そう、楽しそう、気になるという反応はあっても、実際にお金を払うほど優先度が高いとは限らないからです。
商品設計では、何が欲しいかだけでなく、なぜそれを欲しいのかまで掘る必要があります。そこに不満、不安、損失回避、時間短縮といった切実な理由があるなら、その商品は選ばれる可能性が高くなります。
ニーズを見極めるための視点
顧客のニーズを見極める時は、ふわっとした感想ではなく、困りごとの強さを具体的に見ることが大切です。
頻度が高い困りごとかを見る
まず見るべきなのは、その困りごとがどれくらいの頻度で起きているかです。毎日、毎週、毎月のように繰り返し発生する問題なら、解決したい気持ちも強くなります。
たとえば、毎回の入力作業が面倒、毎月の集計が重い、毎回の確認フローで止まるといった問題は、積み重なるほど負担になります。こうした頻度の高い不満は、商品化した時に価値として伝わりやすいです。
反対に、年に一度しか起きない問題や、少し気になる程度の不便は、優先順位が上がりにくいです。必要性が低いわけではありませんが、購入の決め手にはなりにくくなります。
深刻さと支払い意欲を見る
次に見るべきなのは、その問題がどれだけ深刻かです。少し面倒というレベルなのか、放置すると損失が出るのかで、顧客の反応は大きく変わります。
深刻さを見る時は、次のような観点が役立ちます。
| 観点 | 確認したいこと |
|---|---|
| 時間 | どれだけ時間を奪っているか |
| お金 | どれだけコストが発生しているか |
| ミス | どれだけ失敗や手戻りが起きるか |
| 感情 | どれだけストレスになっているか |
さらに重要なのが、顧客がすでに何かしらの対処をしているかです。手作業で頑張っている、外注している、別ツールで補っている。この状態なら、その問題にはすでにコストが払われています。つまり、お金を払う理由があるということです。
アイデアを選ばれる商品に変える方法
最初のアイデアがふわっとしていても、切り口を変えることで必要性の高い商品に近づけることはできます。大事なのは、価値の見せ方ではなく、誰のどんな困りごとを減らすのかを明確にすることです。
誰のどんな不満を消すのか絞る
商品を広く見せようとすると、かえって刺さりにくくなります。みんなに役立つより、特定の人の強い不満を消すほうが価値は伝わります。
たとえば、業務効率化ツールという広い見せ方では弱いです。でも、営業チームの見積もり作成時間を半分にするツールという見せ方なら、かなり具体的になります。誰の、どの場面の、どんな不満を消すのか。この絞り込みが重要です。
絞る時は、次の順番で考えると進めやすいです。
- 誰が困っているのか
- どの場面で困っているのか
- 何が負担になっているのか
- それを減らすと何が変わるのか
この流れで考えると、商品がただの便利機能で終わりにくくなります。
効果を言葉ではなく結果で示す
便利になります、使いやすいです、効率化できます。この言い方だけでは、必要性が伝わりにくいです。顧客が知りたいのは、導入した結果として何が減り、何が変わるのかです。
たとえば、次のように言い換えると伝わり方が変わります。
- 作業が楽になる → 毎月5時間かかっていた集計が30分で終わる
- ミスが減る → 入力漏れによる差し戻しがほぼなくなる
- 管理しやすい → 担当者が変わっても引き継ぎで止まらない
結果が見えると、商品は気になるものから必要なものへ近づきます。ここまで落とし込めるかどうかで、商品設計の強さはかなり変わります。
よくある質問
Q: あると嬉しい商品は売れないのですか?
A: そんなことはありません。売れる商品もあります。ただし、気分や流行の影響を受けやすいため、継続的に選ばれるには強い魅力やブランドの力が必要になります。
Q: ニーズとウォンツの違いは何ですか?
A: ニーズは放置しにくい必要性で、ウォンツはあったら嬉しい欲求です。商品設計では、表面的なウォンツだけでなく、その奥にあるニーズを見ることが重要です。
Q: 自分の商品が必要性の高いものかどうかはどう判断すればいいですか?
A: 顧客がその問題に対して、すでに時間やお金を使っているかを見ると判断しやすいです。すでに何かしらの対処をしているなら、その困りごとは強い可能性があります。
Q: 競合が多い市場でも選ばれる商品は作れますか?
A: はい。競合が多いのは、それだけ強い課題がある証拠でもあります。既存商品で満たされていない不満を見つけられれば、十分に勝負できます。
筆者について
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