こんな人におすすめの記事です

  • 独立開業したばかりで、集客方法に悩んでいる司法書士の方
  • 既存の紹介だけに頼るのではなく、新しい顧客獲得のチャネルを築きたい方
  • Webサイトやブログを活用した、オンラインでの集客に関心がある方
  • 司法書士事務所の経営を、より安定させたいと考えている所長・パートナー司法書士

結論:司法書士の集客は「専門性の明確化」と「信頼の事前構築」が全て

かつて、司法書士の集客は、既存の顧客や、他の士業からの「紹介」がその中心でした。しかし司法書士人口が増加し、また顧客自身がインターネットで情報を探すことが当たり前になった現代において、その「待ち」の姿勢だけでは、事務所経営を安定させることは極めて困難になっています。

結論から言います。現代の司法書士の集客戦略は、①自らの「専門分野」を明確に定義し、競争優位性を確立すること、そして②Webサイトやセミナーなどを通じて、潜在的な顧客に対して有益な情報を提供し、相談に来る前の段階で「信頼」を構築しておくこと、この2点がその成否を分けます。

この記事では、司法書士が数多くの競合の中から「選ばれる」存在になるための、具体的なWeb戦略と、オフラインでの活動について網羅的に解説します。

第1章:なぜ、司法書士にも「マーケティング」が必要なのか

司法書士という専門職に、なぜマーケティングという考え方が必要なのでしょうか。その背景には深刻な環境変化があります。

  1. 競争の激化 司法書士の数は増加傾向にあります。その結果、司法書士一人あたりの案件数は減少し、かつてのような「紹介だけで十分に経営が成り立つ」という時代は終わりを告げました。
  1. 顧客の行動変化 相続や登記に関する悩みが生じた時、現代の顧客が最初にとる行動は何でしょうか。それはスマートフォンやPCで「〇〇(地域名) 相続登記 司法書士」「〇〇(分野) 司法書士 相談」といったキーワードで検索することです。顧客は司法書士のウェブサイトを比較検討し、その専門性や人柄、料金体系を吟味した上で相談先を選んでいます。Webサイトを持たない、あるいは情報が古いまま放置されているという状態は、それだけで大きな機会損失となっているのです。
  1. 「待ち」の姿勢からの脱却 紹介に依存した経営は常に受動的であり、売上の予測を立てることが困難です。自ら積極的に情報発信を行い、相談したいと考える潜在顧客を安定的に集める「仕組み」を構築することが、持続可能な事務所経営には不可欠です。

第2章:Web集客の基本戦略 - 「見つけてもらい、信頼される」

Web集客の基本は、あなたの専門性を必要としている潜在顧客に、まず「見つけてもらう」こと、そして相談する前の段階で「信頼してもらう」ことです。

1. 専門分野に特化したWebサイト・ブログの構築

まず取り組むべきは、自身の公式サイトの構築です。その際重要なのは「何でもやります」という総花的な内容にしないことです。「相続登記専門」「会社設立専門」「債務整理専門」のように自らの専門分野を明確に打ち出し、その分野に関する質の高い情報を集中的に発信することが極めて重要です。

例えば相続登記専門なら「相続手続きの流れ」「遺産分割協議書の書き方」といった、顧客が実際に悩んでいるであろう具体的な疑問に答える解説記事(ブログ)を定期的に掲載します。この専門的な情報発信があなたの専門性を証明し、顧客からの信頼の土台となります。

2. SEO対策:検索で見つけてもらう技術

SEO(Search Engine Optimization)とは、Googleなどの検索エンジンの検索結果ページに、特定のキーワードが検索された際に、自社のWebサイトを上位に表示させるための技術です。専門分野に関する質の高い解説記事を増やすことは、それ自体が最も有効なSEO対策となります。

3. MEO対策(Googleビジネスプロフィール):地域で選ばれる技術

MEO(Map Engine Optimization)とは、主にGoogleマップ上での検索において、自らの事務所情報を上位に表示させるための対策です。Googleビジネスプロフィールに正確な事務所情報を登録し、提供するサービス内容を充実させ、そして依頼者からポジティブな口コミを投稿してもらうよう丁寧にお願いすることがMEOの基本となります。「新宿区 司法書士」のような地域名での検索結果で上位に表示されることは極めて高い集客効果を持ちます。

4. Web広告の活用

リスティング広告(検索連動型広告)やディスプレイ広告、SNS広告などを活用し、特定のターゲット層に効率的にアプローチします。Web広告は費用対効果を細かく測定できるため、予算を最適化しながら運用することが可能です。

第3章:リアル(オフライン)集客の基本戦略 - 「信頼の輪」を広げる

Webでの情報発信と並行して、オフラインでの顔の見える関係構築も依然として重要です。

1. 紹介ネットワークの戦略的構築

紹介をただ待つのではなく戦略的に構築します。特に司法書士とは顧客層が重なる一方で業務が競合しない他の専門家との連携は極めて有効です。

  • 弁護士:訴訟案件や債務整理などで連携の可能性があります。
  • 税理士:相続案件や会社設立などで連携の可能性があります。
  • 不動産会社:不動産登記案件などで連携の可能性があります。

これらの専門家と定期的に情報交換会などを設け、互いの専門分野を理解し、何かあった時に最初に顔が思い浮かぶような信頼関係を築いておくことが重要です。

2. セミナー・勉強会の開催

自らの専門分野について、潜在顧客や提携先の士業向けに小規模なセミナーや勉強会を開催することも有効な手段です。例えば一般の方向けに「相続手続きセミナー」や「遺言書作成セミナー」を開催したり、企業向けに「会社設立の基礎知識」を解説したりします。専門家としての権威性と信頼性を直接的に示すことができます。

3. 交流会への戦略的参加

異業種交流会や地域の商工会議所の会合などに戦略的に参加します。名刺交換だけでなく、相手の事業や課題について深くヒアリングし、自分に何ができるかを具体的に提案することで、意味のある関係構築を目指します。

第4章:司法書士の「商品」としての見せ方

顧客は法律の専門家であると同時に一つの「サービス提供者」としてあなたを見ています。顧客の不安を取り除き相談へのハードルを下げる工夫が必要です。

  1. 料金体系の明確化 司法書士費用の不透明性は顧客が相談をためらう最大の原因です。「相談料:30分5,000円」「相続登記:〇〇円〜」のようにWebサイトなどで料金体系を可能な限り明確に提示することが顧客の安心に繋がります。
  1. 司法書士の「人柄」を見せる Webサイトに清潔感のある柔和な表情の顔写真を掲載する。そして経歴だけでなく司法書士を志した理由や趣味あるいは仕事に対する想いなどを自身の言葉で綴ったプロフィールを掲載する。こうした「人柄」の開示が顧客の心理的な障壁を大きく下げます。
  1. 相談事例の提示 過去に解決した相談事例を、個人情報などを伏せた上で、具体的に紹介します。これにより、潜在顧客は「自分の抱える問題も、この事務所なら解決してくれるかもしれない」と、具体的なイメージを持つことができます。

よくある質問

Q: 司法書士の広告には厳しい規制があると聞きました。

A: はい司法書士法や日本司法書士会連合会の規程により広告・宣伝には一定の規制があります。例えば虚偽や誤解を招く表現を用いることは固く禁じられています。Webサイトなどを公開する際はこれらの規程を必ず確認する必要があります。

Q: 専門分野はどうやって決めれば良いですか?

A: これまでの実務経験で最も得意とする分野や強い関心を持てる分野を選ぶのが王道です。あるいはまだ競合が少ない新しい分野(家族信託成年後見など)に早期に特化するという戦略も考えられます。

Q: ブログを書く時間もネタもありません。

A: 最初は過去に受けた相談の中で依頼者の許可を得た上で個人情報などを完全に伏せた形で「よくあるご相談事例」として紹介することから始めるのが取り組みやすいです。週に1本あるいは月に1本でも継続することが重要です。

Q: Web集客は効果が出るまでどのくらいかかりますか?

A: SEO対策などの効果が表れ検索エンジン経由での安定した流入が生まれるまでには一般的に最低でも半年から1年程度の継続的なコンテンツ投下が必要とされています。

筆者について

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