次に何を変えるかを質問に含める
仕事の説明を聞いてもらい、良かったという感想を受け取っても、次の説明で変える箇所は分かりません。改善案が必要なら、 次に同じ仕事をするときの変更を尋ねる 質問を使ってみてください。全体の評価を求める質問と、具体的な修正を求める質問では、相手に考えてもらう内容が異なります。
たとえば、後任者へ業務手順を説明した後なら、説明が良かったかという評価に加えて、次の引継ぎで追加する実演や資料について助言を求めます。良かったという感想を受け取った後も、どの作業をどう変えるかという話へ進められます。
フィードバックには、良かった点や問題点の評価も含まれます。本稿では、その評価を受け取る場面で、次の行動に関する提案を得る質問を考えます。
助言を求めた実験ではコメントが具体的になった
Blundenらの実験では、就業者194人が同僚の仕事を思い出し、無作為に指定された依頼に従ってフィードバックまたは助言を書きました。助言を求めた方が文章は具体的で、別の評価者も実行可能性を高く評価しました。助言を書く人は、相手の将来の仕事により注意を払っていました。(Eliciting Advice Instead of Feedback Improves Developmental Input)
測ったのはコメントの内容です。受け手が実行して仕事の成果を伸ばしたかは、この実験の結果からは判断できません。以下の質問と引継ぎの例は、研究結果を踏まえて本稿で考えた実務上の提案です。
引継ぎの改善なら次回の実演や資料について尋ねる
質問には、助言が必要な仕事と、次に実施する場面を入れます。次の表は、請求書の作成手順を後任者へ引き継ぐという架空の場面です。実験で使用した質問文や、測定された回答の再現ではありません。
| 求める情報 | 質問の例 |
|---|
| 説明全体の評価 | 今日の引継ぎの説明はどうでしたか? |
| 次回の説明への助言 | 次に請求書の作成を説明するとき、どの作業の実演を追加するとよいでしょうか? |
| 手順書への助言 | 後任者が一人で請求書を作るとき、手順書にどの画面や操作を追加するとよいでしょうか? |
全体の評価への回答が、丁寧だったという感想であれば、説明の受け止められ方は分かります。ただし、実演を追加する作業や、手順書へ挿入する画面は特定されません。後の二つは、その変更内容を直接尋ねています。
返ってきた提案が説明を丁寧にするという内容なら、丁寧という言葉の意味を推測するより、説明を追加する操作や箇所を尋ねます。たとえば、請求先の検索方法なのか、税率の入力なのか、保存後の修正なのかで、追加する説明は変わります。
相手がその作業を経験していないなら、作業方法の助言を求めても必要な知識がない可能性があります。その場合は、読んだ手順書のどの箇所で操作が止まったかという経験を尋ね、操作方法の妥当性は業務を知る担当者と照合します。
助言は実際の作業で試す修正案にする
具体的な提案を得たら、実施する変更を文章や画面へ反映します。先ほどの架空例で、保存後に入力内容を直す方法が分からないという回答があったとします。次の引継ぎには保存済みの請求書を開いて修正する実演を加え、手順書には修正画面を開く操作と、再保存する操作を追記します。
この修正なら、次の説明で何を追加したかが明確です。後任者に練習用の請求書を修正してもらえば、追記した説明で作業を完了できたかも調べられます。修正前に操作が止まった箇所を、修正後は質問せずに通過できたなら、その箇所で必要だった情報を補えたと判断する材料になります。
一方、助言どおりに説明を増やしても、後任者に編集権限がなければ操作は完了しません。手順の説明と利用権限の設定は、それぞれ原因に応じた変更が必要です。 助言の具体性と、提案した修正が問題を解消するかは別に評価 します。
評価と改善案の両方を次の仕事に生かす
改善のために意見を求めるなら、次に行う仕事と、変更する作業や資料を質問へ入れてください。本稿の引継ぎ例では、全体の感想から、追加する実演や画面の提案へ質問を具体化しました。過去の説明で役立った箇所も尋ねれば、その説明を次回も継続する理由が得られます。
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