こんな人におすすめの記事です
- 部下や同僚への指示がうまく伝わらず手戻りに悩んでいる方
- チームの生産性を上げたいと考えている経営者や管理職の方
- 自分の意図を正確に伝え円滑に仕事を進めたいすべてのビジネスパーソン
- これから起業を考えておりチームで成果を出すための基本を学びたい方
結論:優れた依頼は5点セットでできている
「これ、やっといて」
この一言で仕事が完結するほどビジネスは甘くありません。もしあなたが部下や同僚からの成果物に「なぜこうなった…」と頭を抱えた経験があるなら、原因は相手の能力ではなくあなたの依頼の仕方にある可能性が極めて高いです。
結論から言います。デキるビジネスパーソンは依頼時に必ず背景・目的・ゴール・依頼事項・期限という5つの要素を伝えます。これは単なるテクニックではありません。相手を単なる作業者からプロジェクトの成功を共に目指す当事者へ変えるための最も重要で本質的なコミュニケーションなのです。
この記事を読めばあなたの依頼は劇的に変わりチームは自律的に動き出し手戻りのないスムーズな業務進行が実現するでしょう。
なぜ、あなたの指示は伝わらないのか
多くの人が依頼とはやること(依頼事項) だけを伝えれば十分だと勘違いしています。しかしそれだけでは情報が圧倒的に不足しています。
忖度という名のギャンブル
情報が不十分な中で依頼された相手はあなたの意図を忖度するしかありません。しかし他人の頭の中を完璧に読める超能力者でない限りその忖度は多くの場合的外れな結果に終わります。これは依頼された側にとって大きなストレスであり依頼した側にとっては期待外れの成果物が生まれる原因となります。
例えば「この資料、見やすくしといて」という依頼。あなたはグラフを追加してほしいと思っていたのに、相手は文字を大きくして色を付けただけかもしれません。これは相手が悪いのではなく見やすいの定義を共有しなかったあなたの責任です。
結果として「やっぱり俺がやった方が早い」と仕事を抱え込みチーム全体の生産性は著しく低下するのです。
仕事は伝言ゲームではない
あなたは仕事の全体像を理解しています。しかし依頼相手も同じレベルで理解しているとは限りません。部分的な情報だけを切り取って渡すのは伝言ゲームと同じです。情報が歪んで伝わり本来の目的からずれた成果物が出来上がるのは当然の結果と言えるでしょう。
これは相手への信頼の欠如の表れでもあります。どうせ全部話しても理解できないだろうという無意識の思い込みが、かえって最悪の結果を招くのです。
人を動かす5点セット徹底解説
では具体的に5つの要素をどう伝えればいいのか。悪い例と良い例を交えながら一つずつ見ていきましょう。
1. 背景:なぜ、この仕事が生まれたのか
すべての仕事にはそれが生まれるに至った背景があります。その仕事の出発点を共有することで相手はやらされ仕事ではなく、自分ごととしてタスクを捉えられます。
- 悪い例:「競合のA社が新サービスを出したから、うちも何か対抗策考えといて」
- 良い例:「競合のA社が月額500円の廉価版サービスを投入し、うちの若年層ユーザーが月に5%ずつ流出している。このままだと半年後には事業計画に大きな影響が出る。そこで、まずはA社のサービスの強みと弱みを徹底的に分析し、我々が取るべき対抗策の選択肢を洗い出してほしいんだ」
2. 目的:この仕事で、何を達成したいのか
背景を踏まえこの仕事を通じて何を達成したいのかという目的を明確に伝えます。目的が腹落ちすれば、人は指示以上のパフォーマンスを発揮します。
- 悪い例:「この顧客データを分析しといて」
- 良い例:「この顧客データを分析して、来月のマーケティング会議で『どの顧客層に、どんなメッセージでアプローチすれば、最も費用対効果が高くなるか』を決定するための判断材料が欲しい。最終的には、次のキャンペーン予算をどこに投下すべきか決めたいんだ」
3. ゴール:具体的な完成形は何か
いい感じにはNGワード。あなたがイメージする完成形(ゴール)を相手と具体的にすり合わせる必要があります。ゴールの解像度が高ければ高いほど手戻りはなくなります。
- 悪い例:「この前のイベントの報告書、よろしく」
- 良い例:「この前のイベントの報告書、A4用紙2枚で作成してほしい。1枚目は参加者数、アンケート結果、かかった費用をまとめたサマリー。2枚目は、今回のイベントの良かった点と改善点を踏まえた、次回イベントへの具体的な提案。過去の報告書は共有フォルダのここにあるから参考にして」
4. 依頼事項:具体的に何をしてほしいのか
ここまできて初めて具体的なタスクつまり依頼事項を伝えます。背景、目的、ゴールが共有されていればここの認識が大きくずれることはありません。複雑な依頼ならタスクを分解してリストアップすると親切です。
- 悪い例:「新しいウェブサイトの件、進めといて」
- 良い例:「新しいウェブサイトの件、まずは以下の3つから進めてほしい。
- 競合他社のサイトデザインを3つピックアップして、それぞれの良い点・悪い点をまとめる
- うちのサイトに載せるべきコンテンツ(会社概要、サービス内容、料金、実績など)のリストアップ
- 上記2つを元に、簡単なワイヤーフレーム(手書きでもOK)を作成する」
5. 期限:いつまでに、どうしてほしいのか
なるべく早くは期限ではありません。必ず具体的な日時を設定します。理由も添えると相手の納得感とコミットメントはさらに高まります。
- 悪い例:「この調査、なるはやでお願い」
- 良い例:「この調査、来週火曜日の15時までにお願いします。水曜朝の役員会議で報告する必要があるんだ。もし途中で難しい部分があったら、月曜の午前中までには一度相談してほしい」
長期の依頼なら中間報告のタイミングを設定するのも極めて重要です。これにより軌道修正が容易になり、最終的な失敗を防げます。
依頼の5点セットを文化にする
この5点セットは、あなたが実践するだけでは不十分です。チームや組織全体の文化として根付かせることで、コミュニケーションコストは劇的に下がり、生産性は飛躍的に向上します。
まずはあなたから始め、部下が誰かに依頼する際もこの5点セットを意識するように促しましょう。依頼を受ける側も、情報が足りないと感じたら積極的に質問する。そうした健全なコミュニケーションが、強い組織の土台となるのです。
よくある質問
Q: 5つも伝えるのは時間がかかりすぎませんか?
A: 短期的にはそう感じるかもしれません。しかし不十分な依頼による手戻りや意図と違う成果物を修正する時間と比較すれば、最初に数分かけて丁寧に説明する方がトータルでは圧倒的に時間を節約できます。これは未来への投資です。
Q: 部下自身の考える力が育たないのでは?
A: 逆です。依頼事項だけを伝える作業指示こそ相手の思考を停止させます。背景や目的を共有することで相手は「どうすれば目的を達成できるか」を自ら考えるようになります。これはまさに考える力を育てることに他なりません。
Q: 緊急の依頼で、時間がない時はどうすればいいですか?
A: 緊急時こそ最低限目的とゴール、期限の3つは明確に伝えるべきです。時間がないからと焦って「これ、急ぎで!」とだけ伝えても望む成果は得られずかえって時間を浪費することになります。
Q: 心理的安全性が低いと、部下は質問できませんよね?
A: その通りです。この5点セットは、質問や確認を歓迎する文化があって初めて真価を発揮します。依頼する際に「いつでも質問してね」と一言添える、質問されたら嫌な顔をせず真摯に答える。そうした日々の積み重ねが、心理的安全性を作り上げます。
Q: 依頼を受ける側として、何を確認すべきですか?
A: もし上司や同僚からの依頼が不十分だと感じたらまさにこの5点セットを質問の形で確認しましょう。「この仕事の背景は何ですか?」「最終的な目的は何でしょう?」と尋ねることであなたはより質の高い仕事ができ相手からの信頼も得られます。
筆者について
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