想定読者
- 「今年こそは運動するぞ!」と毎年誓うものの、なぜか行動が続かない方
- 目の前の誘惑(お菓子、SNSなど)に、いつも負けてしまう自分を変えたい方
- 意志力や根性論ではなく、科学的に「行動できる自分」になりたいと考えている人
結論:あなたの脳に「自動操縦プログラム」をインストールせよ
「明日から頑張る!」その固い決意は、これまで何度、脆くも崩れ去ってきたでしょうか。
私たちが目標達成に失敗する最大の理由は、自分の「意志力」や「モチベーション」といった、あまりにも移ろいやすく、あてにならない感情を頼りにしているからです。人間の脳は、本能的に変化を嫌い、楽な方へと流れるようにできています。
この強力な本能に、意志力だけで毎日勝ち続けるのは、ほぼ不可能です。目標達成の鍵は、自分を奮い立たせることではありません。それは、特定の行動を半自動的に実行する「if-then」という名の「心のプログラム」を、あらかじめ脳にインストールしておくことなのです。
if-thenプランニングとは?行動を「自動化」する魔法の公式
if-thenプランニングは、社会心理学者ピーター・ゴルヴィッツァーによって提唱された、目標達成のための極めて強力な計画術です。その名の通り、「もしX(状況)が起きたら、Y(行動)をする」という形で、事前に行動のルールを決めておくだけ。たったこれだけです。
例えば、「もっと運動するぞ!」という曖昧な目標は、脳が「いつ、どこで、何を?」と迷ってしまい、結局行動に繋がりません。これを、if-thenプランニングで書き換えてみましょう。
「もし、仕事から帰宅して、リビングのソファに座る前に、必ずトレーニングウェアに着替える」
このように、行動の「きっかけ(if)」と、それに対して実行する「具体的な行動(then)」をあらかじめ具体的に結びつけておく。これが、このテクニックの神髄です。この「心のプログラム」を脳にセットしておくことで、いざその状況(帰宅)が来た時に、脳は「どうしようか…」と迷うことなく、半自動的に次の行動(着替え)を実行できるようになるのです。
なぜ「もし〜なら、〜する」がこれほど強力なのか
このシンプルな公式が、なぜこれほどまでに強力な効果を発揮するのでしょうか。その背景には、脳の仕組みを巧みに利用した3つの理由があります。
一つ目の理由は、脳の「検出機能」を利用する点にあります。「もし、エレベーターではなく階段を見つけたら」と設定しておくと、あなたの脳は、まるで特定のキーワードを検索するように、日常生活の中から「階段」という存在を敏感に検出するようになります。きっかけ(if)を事前に設定しておくことで、行動のチャンスを逃さなくなるのです。
二つ目の理由は、意思決定のプロセスを大胆にショートカットできることです。通常、「甘いものが食べたい」と感じた時、私たちの頭の中では「食べるべきか、我慢すべきか…」「少しだけならいいか…」といった葛藤が繰り広げられ、多くの意志力(精神的エネルギー)が消耗されます。if-thenプランニングは、この無駄なプロセスを省略します。「もし、甘いものが食べたくなったら、代わりにナッツを一掴み食べる」と決めておけば、欲求が芽生えた瞬間に、迷わず代替行動に移れるため、意志力の消耗を最小限に抑えることができるのです。
そして三つ目の理由が、行動のハードルを極限まで下げられることです。「運動する」という目標はハードルが高いですが、「帰宅したら、まずウェアに着替える」という具体的な行動(then)は、非常に簡単で、ほとんど抵抗なく実行できます。この、あまりに簡単な最初の一歩が、ドミノ倒しのように次の行動(ストレッチをする、外に出る)を連鎖的に引き起こしていくのです。
if-thenプランニングを使いこなすための実践例
この魔法の公式は、あなたの日常のあらゆる場面で応用できます。
- ダイエットで使うなら 「もし、レストランでメニューを開いたら、まずサラダを注文する」
- 運動習慣で使うなら 「もし、朝起きて、ベッドから足を下ろしたら、その場でコップ一杯の水を飲む」
- 勉強や自己投資で使うなら 「もし、通勤電車で席に座れたら、すぐにカバンから参考書を出す」
- 先延ばし防止で使うなら 「もし、面倒な仕事に取り掛かるのを躊躇したら、まずタイマーを5分セットして、そのタスクに関連することを始める」
成功のポイントは、if(きっかけ)を、毎日遭遇する可能性が高い、具体的で明確な状況に設定すること。そして、then(行動)を、可能な限り具体的で、実行が簡単な「赤ちゃんの一歩」にすることです。
よくある質問
Q: if-thenプランニングを立てても、その通りに行動できません。
A: その場合、then(行動)のハードルがまだ高すぎるのかもしれません。「スクワットを10回する」が無理なら、「トレーニングウェアに着替える」に。「参考書を1ページ読む」が無理なら、「参考書を開く」に。とにかく、絶対に実行できるレベルまで行動の難易度を下げてみてください。
Q: 計画を立てるのが面倒で、続きません。
A: 最初から完璧な計画を立てようとせず、まずは1つだけ、最も変えたい習慣についてif-thenプランニングを立ててみましょう。「もし、朝コーヒーを淹れたら、その場で英単語を1つだけ覚える」など、ゲーム感覚で試してみてください。その小さな成功体験が、次の計画を立てるモチベーションになります。
Q: 予期せぬ状況が起きた場合は、どうすればいいですか?
A: if-thenプランニングは、あなたを縛るためのルールではありません。あくまで、理想の行動をサポートするためのツールです。計画通りにいかない日があっても、自分を責める必要は全くありません。「今日はできなかったな。じゃあ、また明日からやろう」と、気軽に考えましょう。重要なのは、完璧さではなく、継続しようとする姿勢です。
Q: 目標達成には、if-thenプランニングだけで十分ですか?
A: if-thenプランニングは、行動を「開始」し「継続」させるための非常に強力なツールですが、それだけでは不十分な場合もあります。そもそも、その目標が自分にとって本当に重要なのか(目標設定)、進捗を記録し、自分を褒める仕組み(フィードバック)などを組み合わせることで、目標達成の確率はさらに高まります。
筆者について
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