想定読者

  • 商談の最後で検討しますと言われて失注が続いている方
  • 押し込みではなく納得感のあるクロージングを身につけたい方
  • 成約率を上げる会話の組み立てを見直したい方

結論

検討しますが出る商談は、提案が悪いとは限りません。多くの場合は、相手の迷いが言葉にならないまま残っている状態です。

そのため、クロージングで必要なのは押し切ることではなく、迷いの正体を見つけて前に進めることです。価格、比較、決裁、タイミング。このどれが止めているのかを見極められると、商談の終わり方は大きく変わります。

検討しますの裏にある本音

検討しますは便利な言葉です。相手にとっては、その場の空気を壊さずに返せるため、はっきり断るより使いやすくなります。だからこそ、言葉どおりに受け取ると商談を見誤ります。

実際には、次のような本音が隠れていることが多くあります。

  • 価格に引っかかっている
  • 他社と比べたい
  • 社内で確認が必要
  • 今決める理由が足りない
  • まだ不安が残っている

この中でも特に多いのは、納得不足決断不足です。商品やサービスに興味はあっても、最後の一歩を踏み出す材料が足りていません。

見分けるうえで大切なのは、相手の反応を商談中から拾うことです。

相手の反応隠れている可能性
価格の話で表情が止まる予算への迷い
導入後の話が少ない利用イメージ不足
社内確認を何度も口にする決裁や共有の壁
比較対象の質問が多い他社検討が前提
返答が曖昧になる断り切れない状態

検討しますを減らすには、最後の一言だけでなく、その前に何が残っているかを見る必要があります。

商談の最後で失速する人の共通点

成約につながらない商談には、いくつか共通点があります。提案内容より、終盤の進め方で失速しているケースは少なくありません。

よくある失速パターンは次の通りです。

  1. 提案しただけで満足してしまう
  2. 相手の不安を確認しない
  3. 最後に判断を丸投げする
  4. 次の約束を決めずに終える

特に多いのが、最後にこう締めてしまう形です。

  • ご検討ください
  • またご連絡ください
  • よろしくお願いします

一見丁寧ですが、これでは相手に判断も行動も委ねることになります。すると、忙しさの中で優先順位が下がり、そのまま止まりやすくなります。

また、商談中に説明が多くなりすぎるのも失速の原因です。情報量が増えるほど、相手は理解した気になっても決めきれなくなります。クロージングで必要なのは説明の追加ではなく、決めるための確認です。

YESにつながる商談の組み立て

クロージングは最後だけの技術ではありません。商談の前半から終盤まで、納得の積み重ねが必要です。

小さな同意を積み重ねる

いきなり契約の話に入ると、相手は身構えます。そこで有効なのが、小さな同意を積み重ねる進め方です。

たとえば、次のような確認です。

  • 今のやり方に手間がかかっている
  • この課題は早めに解消したい
  • そのための方法を探している
  • この提案は方向として合っている

こうした確認があると、最後の判断が急に見えなくなりません。相手の中でも、話のつながりができます。

ポイントは、誘導しすぎず、相手の言葉で確認することです。自分で言った内容には、人は納得を持ちやすくなります。

不安を先に言葉にする

相手が口に出しにくい不安を、こちらから先に出すと会話が進みます。特に価格、導入負担、失敗への不安は、最後まで残りやすい部分です。

使いやすい聞き方は次の通りです。

  • ここで気になる点はありますか
  • 導入前に引っかかる部分はありますか
  • 比較のうえで迷いそうな点はありますか
  • 社内で話すときに止まりそうな点はありますか

この聞き方なら、相手も本音を出しやすくなります。大切なのは、反論するために聞くのではなく、止まる理由を一緒に見つける姿勢です。

導入後の姿を具体化する

相手が決めきれないときは、導入後の姿がぼんやりしていることがあります。そこで、契約後の変化を具体的に描けるようにします。

たとえば、次のような話し方です。

  • 導入後はこの作業が減る
  • 最初の1か月はこの形で進む
  • 現場ではこの負担が軽くなる
  • お客様対応ではこの変化が出る

未来が具体的になると、判断の材料が増えます。機能説明だけで終わらせず、相手の現場でどう変わるかまで落とし込むことが重要です。

その場で前進させるクロージング術

最後の場面では、相手が動きやすい形に会話を変える必要があります。ここでは、押し込みになりにくく、実務でも使いやすい方法を紹介します。

二択で判断を進める

契約するかどうかをそのまま聞くと、相手は逃げ道として検討しますを選びやすくなります。そこで、前に進む前提で二択を置く方法が有効です。

たとえば、次のような聞き方です。

  • 始めるなら今月と来月のどちらがよいですか
  • まずは小さいプランから入りますか それとも標準プランで進めますか
  • 次回はご担当者だけで進めますか それとも決裁者も含めますか

この形だと、やるかやらないかではなく、どう進めるかに意識が向きます。

検討内容を具体化する

それでも検討しますが出た場合は、そのまま終わらせません。大切なのは、何を検討するのかを具体化することです。

使いやすい返し方は次の通りです。

  • ありがとうございます どの点を中心に見られそうですか
  • ご判断のうえで引っかかりそうな点はありますか
  • 価格 面 比較 社内確認のどれが大きそうですか

この聞き方なら、相手も答えやすくなります。検討しますという曖昧な言葉を、具体的な課題に変えることができます。

次の約束まで決めて終える

商談で最も避けたいのは、連絡待ちで終わることです。主導権を失うと、そのまま止まりやすくなります。

終わり方として有効なのは次の形です。

終わり方結果
ご連絡お待ちしています相手任せになりやすい
来週の水曜に状況確認します次の接点が残る
決裁者向け資料を送って再度話す商談が前に進む
比較ポイントを整理して再提案する検討の質が上がる

次の行動が決まるだけで、検討しますは失注の言葉ではなくなります。重要なのは、曖昧な保留を具体的な次の一手に変えることです。

よくある質問

Q: 検討しますと言われたら脈なしですか?

A: そうとは限りません。興味はあるものの、価格、比較、社内確認などで止まっている場合も多くあります。何を検討するのかを具体化できるかが分かれ目です。

Q: 強く聞くと押し売りに見えませんか?

A: 押し売りになるのは、相手の不安を無視して進めるときです。迷いの中身を確認し、前に進む材料を一緒に探す姿勢なら、むしろ丁寧な対応として受け取られやすくなります。

Q: 価格が原因のときは値引きしたほうがいいですか?

A: すぐに値引きへ進むのは危険です。価格そのものが問題なのか、価値とのつり合いが見えていないのかで対応は変わります。何が引っかかっているのかを先に確かめることが大切です。

Q: 決裁者が別にいる場合はどう進めるべきですか?

A: 担当者だけで結論を求めるのではなく、決裁者が判断しやすい材料をそろえる方向で進めるのが有効です。次回は決裁者同席の場を作る、共有用の資料を渡すなど、社内で進みやすい形を提案します。

Q: オンライン商談でも同じ考え方は使えますか?

A: 使えます。むしろオンラインでは空気が読み取りにくいため、不安の確認や次の約束を言葉で明確にすることがより重要になります。

筆者について

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