想定読者
- 交流会や異業種交流会に参加しても、誰とも話せずに壁の花になってしまうスモールビジネスオーナー
- 初対面の人との沈黙が怖く、つい自分のことばかり話してしまう方
- 雑談を単なる世間話で終わらせず、次のビジネスチャンスに繋げたいと考えている経営者
結論:優れた雑談とは、「話す」ことではなく「聞く」ことである
結論から申し上げます。雑談がうまい人とは、面白い話ができる人ではありません。相手に「この人と話していると、なんだか心地よい」と感じさせ、気持ちよく話させる聞き上手な人のことです。
そして、聞き上手になるための最強の武器が、質の高い「質問」です。
この記事では、口下手で人見知りな経営者でも、たったいくつかの「型」を知るだけで、初対面の相手の心を開き、信頼関係の第一歩を築くことができる、魔法のような質問術を徹底的に解説していきます。
第1章: なぜ、あなたの雑談は盛り上がらないのか?
多くの人が、雑談を盛り上げようとして、逆効果なことをしてしまっています。まずは、やりがちな3つの失敗パターンを見ていきましょう。
失敗パターン1:「尋問」のような質問攻め
沈黙が怖くて、矢継ぎ早に質問を投げかけていませんか?
「お名前は?」「お仕事は?」「どちらから来られたんですか?」
これは、会話のキャッチボールではなく、まるで刑事の尋問です。相手は答えるだけで精一杯になり、どんどん心を閉ざしてしまいます。
良い質問とは、相手に考える余地と話す喜びを与えるものです。一問一答で終わるクローズドクエスチョン(はい/いいえで答えられる質問)ばかりではなく、相手が自由に語れるオープンクエスチョンを投げかける必要があります。
失敗パターン2:天気やニュースなど、“自分事”でない話
「今日は暑いですね」「最近、景気が悪いですよね」。
これらの話題は、当たり障りがない反面、誰の心にも響きません。なぜなら、その会話の中にあなたも相手も登場しないからです。
雑談の目的は、お互いの人柄や価値観に触れ、心理的な距離を縮めることです。天気の話を10分続けるよりも、相手の個人的な体験や感情に触れる質問を一つ投げかける方が、よほど関係は深まります。
失敗パターン3:自分の話にすり替える「会話泥棒」
相手が話している最中に、「あ、それ分かります!私も…」と、自分の話にすり替えてしまう。良かれと思ってやっているこの行為は、会話泥棒と呼ばれ、相手の「話したい」という欲求を奪ってしまいます。
共感を示すことは重要ですが、それはあくまで相手が主役であるべきです。自分の話をするのは、相手から「あなたはどうなんですか?」と聞かれてからでも遅くありません。まずは、相手の話を最後まで味わい尽くすことに集中しましょう。
第2章: 3分でアイスブレイク!相手が話し始める「魔法の質問」
では、具体的にどんな質問をすればいいのでしょうか。ここでは、初対面の最初の3分間で、相手の心をほぐし、会話のきっかけを作るための、3種類の魔法の質問を紹介します。
質問1:「今日は、どのような経緯でこちらに?」
交流会やイベントで、最も自然で、かつ効果的な最初の質問がこれです。
この質問には、いくつかの優れた点があります。
- 答えやすい: 相手は、ここに来た事実を話すだけなので、心理的な負担がありません。
- 相手の目的が分かる: 「〇〇さんの話を聞きに」「新しい人脈を作りたくて」といった答えから、相手の興味や関心を知ることができます。
- 次の質問に繋がりやすい: 「〇〇さんの話の、どんな点に興味があるのですか?」と、自然に会話を深掘りできます。
「どちらから来られたんですか?」という地理的な質問よりも、はるかにビジネスに繋がる会話が生まれやすくなります。
質問2:「この会(場所)、すごく〇〇ですね!」(共通体験の共有)
「この会場、すごく雰囲気が良いですね!」「今日の基調講演、面白かったですね!」
このように、今、この場にいる二人だからこそ共有できる体験について、ポジティブな感想を述べ、相手に同意を求める質問です。
人は、同じ体験を共有し、同じ感情を持つことで、一体感を感じます。この質問は、「私たちは、今同じ場所にいる仲間ですよね」という、無言のメッセージを送る効果があるのです。ネガティブな感想(例:「今日の料理、いまいちですね」)は、相手が同調しづらい場合があるので、ポジティブな切り口を心がけましょう。
質問3:「お名刺、すごく素敵なデザインですね!何かこだわりが?」
相手の持ち物や身につけているものを、具体的に褒めて、その背景にあるストーリーを尋ねる質問です。名刺、ネクタイ、カバン、アクセサリーなど、何でも構いません。
人は、自分の選択やセンスを褒められると、嬉しいものです。特に、そこに何らかのこだわりがある場合、喜んでその物語を話してくれます。
「これは、〇〇というデザイナーに作ってもらって…」
「この色は、うちの会社の理念を表していて…」
そこから、相手の仕事に対する価値観や美意識を知る、貴重な手がかりが得られます。
第3章: 会話をさらに深掘りする「鉄板質問リスト」
アイスブレイクが成功したら、次はお互いのビジネスや人柄について、もう少し深く知るための質問フェーズに移ります。ここでも、相手が気持ちよく語れるような質問を投げかけるのがコツです。
相手の「仕事のやりがい」を聞く質問
×「お仕事は何をされているんですか?」(事実を聞くだけ)
○「今のお仕事で、一番やりがいを感じる瞬間って、どんな時ですか?」
人は、自分の仕事の「作業内容」よりも、「やりがい」や「情熱」について語る時、生き生きとします。この質問は、相手の仕事に対する価値観や、何に喜びを感じる人間なのかを知るための、最高の質問です。
相手の「原点」を探る質問
×「起業して、どのくらい経つんですか?」(年数を聞くだけ)
○「そもそも、なぜ今の事業を始められようと思ったんですか?何かきっかけが?」
誰の事業にも、そこには必ず創業の物語があります。困難、情熱、偶然の出会い…。そのストーリーを聞くことは、相手への最大の敬意であり、共感を生むきっかけになります。
相手の「未来」に寄り添う質問
×「今後の事業展開は?」(計画を聞くだけ)
○「この先、この事業を通じて、最終的にどんな世界を実現したいですか?」
これは、相手の「目標」のさらに先にある「ビジョン」や「夢」を尋ねる質問です。少し大きな質問ですが、真摯な態度で聞けば、相手は自分の情熱の源泉を語ってくれます。このような深いレベルで共感できた相手とは、単なる名刺交換相手ではなく、長期的なパートナーになれる可能性が生まれます。
第4章: 雑談を「次のチャンス」に繋げる、クロージングの技術
楽しい雑談で終わらせず、未来のビジネスに繋げるためには、会話の終わり方が重要です。スマートに会話を締めくくり、次のアクションに繋げるためのテクニックを紹介します。
「共通点」を見つけて、関係をロックする
会話の中で、出身地、趣味、好きな本、抱えている課題など、何か一つでも共通点を見つけたら、別れ際にそれを強調しましょう。
「〇〇さんも、私と同じで△△がお好きだったんですね!今度、ぜひその話で情報交換させてください。」
人は、共通点のある相手に親近感を覚えます。この一言が、相手の記憶にあなたを強く印象付け、「その他大勢」から抜け出すきっかけになります。
相手への「貢献」を提案して、会話を締めくくる
雑談の中で、相手が何かに困っている、あるいは何かを探していることが分かったら、すかさずGIVE(貢献)の提案をします。
「先ほど〇〇でお困りだとおっしゃっていましたが、その分野に詳しい友人を知っていますので、もしよろしければ今度ご紹介しますよ。」
「△△に関する情報でしたら、こちらのサイトが非常に参考になります。後ほど、Facebookでリンクをお送りしてもよろしいですか?」
自分のビジネスを売り込むのではなく、まず相手に貢献する姿勢を見せることで、「この人は、信頼できる人だ」という印象を与え、次のコンタクトを取るための自然な口実を作ることができます。
「5分で十分」と心得よ
交流会など、多くの人がいる場での雑談は、長々と続ける必要はありません。むしろ、一人の人と30分話し込むよりも、5分程度の質の高い雑談を、複数の人と行う方が効果的です。
話が盛り上がったところで、「まだまだお話したいのですが、他の方ともご挨拶しなければなりませんので、また改めて…」と、名残惜しさを残して切り上げるのが、スマートな大人のマナーです。
よくある質問
Q: 相手が全く話してくれない、無口なタイプの場合はどうすればいいですか?
A: 無理に話させようとするのは逆効果です。その場合は、あなた自身の「自己開示」から始めてみるのが有効です。「実は私、こういう場がすごく苦手で緊張しているんです」と、正直に自分の弱みを話してみると、相手も「実は私も…」と、心を開いてくれることがあります。
Q: 自分の話をするタイミングは、いつがベストですか?
A: 基本的には、相手の話を7割聞き、自分の話は3割程度に留めるのが理想です。最適なタイミングは、相手から「〇〇さんは、どうなんですか?」と質問された時です。相手に興味を持たれてから話すことで、あなたの話はより価値のあるものとして受け取られます。
Q: オンラインでの交流会や商談でも、雑談は必要ですか?
A: はい、むしろオフライン以上に重要です。画面越しのコミュニケーションは、どうしても無機質になりがちです。本題に入る前に、少しでも個人的な雑談(例:「背景に映っている本棚、素敵ですね」など)を挟むことで、場の空気が和み、その後の商談がスムーズに進みます。
Q: 雑談で、聞いてはいけないNGな質問はありますか?
A: はい、あります。政治、宗教、応援しているスポーツチームといった、意見が対立しやすい話題は避けるのが無難です。また、プライベートに踏み込みすぎた質問(結婚、子供、収入など)も、相手との関係性ができていないうちは控えるべきです。
Q: 雑談力を高めるために、普段からできるトレーニングはありますか?
A: 最も効果的なトレーニングは、行きつけのカフェの店員さんや、タクシーの運転手さんなど、利害関係のない相手と、短い会話をする習慣をつけることです。また、テレビのトーク番組を見て、司会者がゲストからどのように話を引き出しているか、その「質問の仕方」を観察するのも非常に勉強になります。
筆者について
記事を読んでくださりありがとうございました!
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