想定読者
- 取引先や外注パートナーからの返信が遅れがちで、仕事の進行に支障が出ているスモールビジネスオーナー
- 催促メールを送る際に、「急かしているようで申し訳ない」と罪悪感を感じてしまう方
- 感情的にならず、相手との関係を良好に保ちながら、スムーズに仕事を進めたいと考えている経営者
結論:優れた催促とは、「リマインド」と「問題解決の提案」である
結論から申し上げます。返信が遅い相手に対して、最もやってはいけないのは「なぜ返事をくれないのですか?」と、相手を責めることです。
なぜなら、相手も悪気があるわけではなく、単純に「忘れている」か、「何か問題があって返信できない」ケースがほとんどだからです。
したがって、優れた催促メールとは、単なる「思い出させる(リマインド)」行為であると同時に、「もし何かお困りでしたら、お手伝いしますよ」という問題解決のサポートを提案する行為でなければなりません。この記事では、イライラや気まずさを解消し、相手を快く動かすための、具体的な催促の技術を解説していきます。
第1章: なぜ、あの人からのメール返信は遅いのか?
催促のアクションを起こす前に、まず「なぜ返信が来ないのか」その背景を冷静に分析することが重要です。相手の状況を理解することで、取るべきアプローチは大きく変わります。
原因1:単純に「忘れている・見落としている」
最も多いのがこのパターンです。一日に何十、何百というメールを受け取る人は、重要度の低いメールは後回しになり、そのまま他のメールの山に埋もれてしまいます。
この場合、相手に罪悪感を感じさせずに、もう一度メールを目立たせる工夫が必要です。相手を責めるのではなく、「行き違いになっていたらすみません」というスタンスで、あくまで事務的にリマインドすることが効果的です。
原因2:「何と返信すればいいか分からず、後回しにしている」
あなたの送ったメールの内容が複雑だったり、相手に重い判断を求めるものだったりすると、相手は「どう返信しようか…」と悩んでしまい、結果として返信を先延ばしにしてしまいます。
この場合は、催促と同時に、相手が返信しやすくなるような“アシスト”をしてあげる必要があります。「はい/いいえ」で答えられる質問にしたり、選択肢を提示したりすることで、相手の思考の負担を軽くしてあげることが重要です。
原因3:何か「トラブル」や「障壁」があって返信できない
相手が返信したくても、できない状況にある可能性もあります。例えば、上司の承認が下りない、必要な情報が他部署から届かない、体調を崩している、などです。
この場合は、相手を追い詰めるのではなく、「何かお困りのことはありませんか?」と、協力者としての姿勢を示すことが、事態を打開する鍵となります。相手の置かれている状況を気遣う一言が、信頼関係を深めるきっかけにもなります。
第2章: 角が立たない「催促メール」の基本構成
では、具体的にどのようなメールを書けばいいのでしょうか。相手にプレッシャーを与えず、スムーズな返信を促すための、基本構成と実践的なフレーズを紹介します。
ステップ1:件名は「再送」と「用件」を明確に
多忙な相手の受信トレイで、あなたのメールを確実に見つけてもらうために、件名は非常に重要です。
- 悪い例: 「Re: 〇〇の件」 (他のメールと見分けがつかない)
- 良い例: 【再送・ご確認のお願い】〇月〇日にお送りした〇〇の件(株式会社△△)
このように、【再送】という記号で目立たせ、いつ送った、何の用件かを一目で分かるようにします。また、自分の社名を件名に入れておくと、より丁寧な印象を与えます。
ステップ2:本題の前に「クッション言葉」を入れる
本文の冒頭で、いきなり「先日お送りしたメールの件ですが…」と切り出すと、詰問しているような印象を与えかねません。本題に入る前に、必ず相手を気遣うクッション言葉を入れましょう。
- 使えるクッション言葉の例
- 「ご多忙の折、大変恐縮ですが、」
- 「行き違いになっておりましたら、申し訳ございません。」
- 「すでにご対応済みでしたら、何卒ご容赦ください。」
この一文があるだけで、メール全体の印象は驚くほど柔らかくなります。
ステップ3:事実と依頼事項を、簡潔に記載する
次に、いつ、どんな内容のメールを送ったのかという事実と、相手に何をしてほしいのかという依頼事項を、簡潔に記載します。
「〇月〇日(月)に、『△△のお見積もりのご確認』という件名でメールをお送りいたしましたが、その後、ご確認いただけましたでしょうか。」
「もし、内容に問題がございませんでしたら、大変恐れ入りますが、今週金曜日までにご返信いただけますと幸いです。」
ここでのポイントは、相手に回答してほしい期限を、理由と共に具体的に示すことです。「お早めに」といった曖昧な表現は、相手を迷わせてしまいます。
ステップ4:「サポートの申し出」で締めくくる
最後に、相手が返信できない状況にある可能性を考慮し、協力的な姿勢を示す一文で締めくくります。これが、相手を“動かす”ための、最も重要な一押しとなります。
- サポートを申し出る一文の例
- 「もし、ご不明な点や、判断に迷われる点がございましたら、いつでもお気軽にご連絡ください。」
- 「何か進行の上でお困りのことがございましたら、私の方でサポートできることがあるかもしれませんので、遠慮なくお申し付けください。」
この一言で、あなたは単なる「催促する人」から、「一緒に問題を解決しようとしてくれるパートナー」へと変わることができるのです。
第3章: 状況別・催促のレベルアップ術
最初の催促メールで返信がない場合、どうすればいいのでしょうか。状況に応じて、少しずつアプローチの強度を上げていく必要があります。
レベル1:初回のリマインドメール(送信から3〜5営業日後)
これが、前章で解説した基本の催促メールです。あくまで「行き違い」の可能性を前提に、ソフトなトーンでリマインドします。
レベル2:電話での確認(初回メールから2〜3営業日後)
メールで再度催促するのではなく、一度電話で軽く確認するのが効果的です。メールよりも、相手の状況を直接聞くことができます。
「〇〇様、株式会社△△の〇〇です。先週お送りしたお見積もりの件、メールが届いておりますでしょうか?もし何かご不明な点があればと思いまして、お電話いたしました。」
ここでも、相手を責めるのではなく、「メールが届いているかの確認」や「不明点のヒアリング」を口実にするのがスマートです。
レベル3:背景と影響を伝える最終確認メール(電話後、または1週間以上経過後)
それでも返信がない場合は、その返信がないことで、プロジェクト全体や相手自身にどのような影響が出るかを、客観的な事実として伝える必要があります。
「【重要・最終確認】〇〇の件につきまして、期日までにご返信をいただけない場合、ご希望の納期に間に合わせることが難しくなってしまいます。〇〇様にご迷惑をおかけしないためにも、一度ご状況をお聞かせいただけますでしょうか。」
少し強めの表現になりますが、これは相手を脅しているのではなく、「あなたの不利益にならないように」という、相手本位の視点で伝えることが重要です。
第4章: そもそも“催促いらず”の関係を築くために
最高のコミュニケーションは、そもそも催促する必要がない関係を築くことです。日頃のやり取りの中で、仕事の停滞を防ぐための、いくつかの仕組みを紹介します。
最初の段階で「期待値」をすり合わせる
仕事の依頼を受けた最初の段階で、「このタスクには、通常〇日ほどかかりますが、よろしいでしょうか?」「〇日後を目処に、一度中間報告をさせていただきます」といったように、スケジュール感の期待値を、あらかじめお互いにすり合わせておきましょう。
これにより、相手も「そろそろ連絡が来る頃だな」と意識することができ、返信の遅延を防ぐことができます。
メールの最後に、必ず「次のアクション」を書く
自分がメールを送る際に、ただの報告で終わらせず、必ず相手に取ってほしいアクションと、その期限を明記するクセをつけましょう。
- 悪い例: 「添付の資料をご確認ください。よろしくお願いいたします。」
- 良い例: 「添付の資料をご確認の上、A案とB案のどちらが良いか、〇月〇日までにご意見をいただけますでしょうか。」
これにより、相手は何をすべきかが明確になり、返信をしやすくなります。
チャットツールを活用する
メールよりも、もっと気軽にコミュニケーションが取れるビジネスチャット(SlackやChatworkなど)を活用するのも非常に有効です。
「〇〇の件、いかがでしょうか?」と、メールよりもはるかに心理的なハードルが低く、スタンプ一つで簡単な返信を促すこともできます。重要な依頼はメール、進捗確認はチャット、といった使い分けが、スムーズな進行を助けます。
よくある質問
Q: 催促のメールは、どのくらいの頻度で送るのが適切ですか?
A: 案件の緊急度にもよりますが、一般的には、最初のメールから3〜5営業日待っても返信がなければ、一度リマインドするのが良いでしょう。それでも返信がなければ、さらに2〜3日後に電話で確認、というステップが適切です。毎日送るのは、相手に過度なプレッシャーを与えるため避けるべきです。
Q: 相手が明らかに自分より立場が上の場合、催促しづらいです。
A: その場合は、ステップ4で解説した「サポートの申し出」を、より丁寧に伝えるのが効果的です。「ご多忙とは存じますが、何か意思決定の上で、私の方でご用意できる追加の資料などはございますでしょうか?」と、相手の“仕事を楽にする”ための提案という形でアプローチしましょう。
Q: 支払いの催促(督促)の場合は、もっと強く言ってもいいですか?
A: 支払いの催促は、よりデリケートな問題です。最初は通常の催促と同様にソフトなトーンで始めますが、複数回連絡しても入金がない場合は、「行き違いですと申し訳ないので、お振り込み予定日をお伺いできますでしょうか」と、具体的なアクションを促す必要があります。それでも対応がない場合は、契約書に基づき、法的な手続きを検討することも視野に入れる必要があります。
Q: 催促メールは、CCで相手の上司にも送るべきですか?
A: これは、最後の手段と考えるべきです。いきなり上司をCCに入れるのは、相手の顔に泥を塗る行為になり、信頼関係を著しく損なう可能性があります。まずは本人と直接コミュニケーションを取り、それでも解決しない場合に、「〇〇様とご相談の上、皆様で情報共有させていただきたく、CCに入れさせていただきました」といった形で、最終手段として検討するのが良いでしょう。
Q: 催促しても、結局いつも返信が遅い人とは、どう付き合えばいいですか?
A: その人の「特性」だと割り切り、仕事の進め方自体を見直す必要があります。その人との仕事では、最初からスケジュールに多めのバッファ(余裕)を持たせる、重要な依頼は必ず電話とメールをセットで行う、タスク管理ツールで進捗を可視化するなど、催促が不要になる「仕組み」でカバーすることを考えましょう。
筆者について
記事を読んでくださりありがとうございました!
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