こんな人におすすめの記事です
- 友人や知人から、安価での仕事の依頼を受けて対応に困っている方
- 「お友達価格」で仕事を引き受けた結果、不満や後悔を感じたことがある方
- ビジネスとプライベートの適切な線引きに悩んでいるフリーランス、個人事業主
- 自分のサービスの価値を正当に評価され、プロとして仕事をしたいと考えている方
結論:「お友達価格」は、あなたと友人の関係を損なう
フリーランスや個人事業主として活動していると、友人や知人から「今度、安くお願いできないかな?」といった、いわゆる「お友達価格」での仕事を依頼されることがあります。相手を大切に思うからこそ、断れずに引き受けてしまう方も多いのではないでしょうか。
しかし、結論から言います。安易に「お友達価格」で仕事を引き受けることは、長期的にはあなた自身のビジネスの価値を毀損し、最終的にはその友人との健全な関係性をも損なう可能性が極めて高い行為です。プロフェッショナルとして、親しい相手にこそ正規料金を提示し、その対価として最高のサービスを提供すること。これこそが、双方にとって最善の結果をもたらす、誠実な対応なのです。
この記事では、なぜ「お友達価格」が危険なのか、その論理的な理由と、相手との関係を壊さずに正規料金を伝えるための具体的な方法を解説します。
第1章:なぜ「お友達価格」は生まれるのか?双方の心理
まず、この問題の根底にある、依頼する側と受注する側の心理状態を理解しておく必要があります。
- 依頼側の心理 「専門家に頼むより、少しでも安く済ませたい」「親しい間柄だから、多少の融通は利くだろう」といった、経済的なメリットへの期待と、関係性への甘えが根底にあります。多くの場合、悪気があるわけではなく、あなたのサービスの適正価格や、あなたが費やす時間と労力への想像力が欠けていることが原因です。
- 受注側の心理 「ここで断ったら、今後の関係が悪くなるかもしれない」「友人のお願いを無下にはできない」といった、関係維持への配慮や、相手を助けたいという善意から、安易に受け入れてしまいがちです。しかし、この善意が、後の不満やトラブルの温床となります。
第2章:正規料金を提示すべき理由1:専門性と事業価値の維持
あなたが提供するサービスや商品の価格は、あなたがこれまでに培ってきたスキル、知識、経験、そして費やす時間の対価です。正規料金は、その価値を客観的な金額で示したものです。
「お友達価格」で仕事を受けることは、自らその価値を否定し、専門性を安売りする行為に他なりません。一度でも安価で引き受けてしまうと、相手やその周囲の人々に「あなたのサービスの基準価格は、その程度のものだ」という誤った認識を与えてしまうリスクがあります。
結果として、正規料金での依頼が来にくくなったり、自身の仕事に対するモチベーションが低下したりと、事業の継続そのものに悪影響を及ぼす可能性があります。
第3章:正規料金を提示すべき理由2:対等なビジネス関係の構築
ビジネスは、対等な立場で行われるべきです。正規料金を支払う顧客とあなたは「サービスを提供する側」と「対価を支払ってサービスを受ける側」という、明確で対等なビジネスパートナーです。
しかし、「お友達価格」はこのバランスを崩します。受注側には「安くやってあげているのに」という気持ちが、依頼側には「安くやってもらっているから」という負い目が、無意識のうちに生まれます。この不均衡な関係は、以下のような問題を引き起こします。
- 依頼側が、正当な要求をしにくくなる:品質に対する意見や、当然の権利である修正依頼などを、「安くしてもらっているから」と遠慮してしまい、結果的に満足のいかない成果物を受け取ることになる。
- 受注側が、追加の要求に不満を感じやすくなる:「お友達価格」の範囲を超えた要求や修正依頼に対して、「厚意でやっているのに、どこまで要求するんだ」と不満を感じ、サービスの質が低下する。
このように、双方にとって不幸な結果を招き、最終的には友人関係そのものに亀裂を生じさせる原因となり得ます。
第4章:正規料金を提示すべき理由3:将来のビジネス機会の保護
あなたのビジネスの評判は、一つ一つの仕事の積み重ねによって作られます。「あの人なら安くやってくれる」という評判が広まってしまったら、どうなるでしょうか。あなたの価値を正当に評価し、正規料金を支払ってくれるはずの優良な顧客が、あなたを依頼先の候補から外してしまうかもしれません。
また、その友人から別の顧客を紹介される場合も、「安くしてくれる人」として紹介されてしまう可能性があります。結果として、あなたの周りには、適正な対価を支払う意思のないクライアントばかりが集まるという、負の循環に陥る危険性があります。
第5章:関係を壊さない「お友達価格」の上手な断り方と伝え方
では、実際に友人から依頼された場合、どのように伝えれば良いのでしょうか。重要なのは、相手への感謝と敬意を示しつつ、ビジネスとしての方針を明確に伝えることです。
ステップ1:まずは感謝を伝える
「声をかけてくれて本当にありがとう。たくさんいる専門家の中から、私を信頼して頼ってくれたことが、すごく嬉しいよ」 まず、依頼してくれたこと自体への感謝を伝えます。これにより、相手は「拒絶された」と感じにくくなります。
ステップ2:料金体系を客観的な事実として提示する
「それで、料金についてなんだけど、私のサービスは通常、こちらの料金体系で提供させてもらっているんだ」 ここで、自身の公式サイトの料金ページを見せたり、見積書を提示したりして、正規料金が客観的な基準であることを伝えます。感情的、主観的に「安くはできない」と言うのではなく、ビジネスのルールとして説明するのがポイントです。
ステップ3:付加価値で「特別扱い」を演出する(ここは任意)
もし、友人として何か特別な対応をしたいのであれば、それは「値引き」ではなく「付加価値の提供」であるべきです。
- 「料金は通常通りでお願いしたいんだけど、友人だから、特別に〇〇の作業もサービスでやっておくね」
- 「他の案件もあるけど、〇〇の件は最優先で対応させてもらうよ」 このように、価格以外の部分で「特別感」を出すことで、相手の気持ちに応えつつ、自身のサービスの価値を維持することができます。
【会話・メール文例】
「〇〇さん、先日はご相談ありがとう!Webサイト制作の件、私に声をかけてくれて本当に嬉しかったです。
早速なんだけど、料金についてお伝えさせてください。私の制作サービスは、公式サイトにも掲載している通り、〇〇プランで〇〇円からお受けしています。今回のご要望ですと、こちらのプランが最適かと思います。
もちろん、大切な友人である〇〇さんからの依頼なので、精一杯、最高のサイトを作らせていただきます。もしご発注いただけるなら、感謝の気持ちとして、通常はオプション料金となる『スマホ対応の最適化』は、今回はサービスで対応させていただければと思っています。
ぜひ前向きにご検討いただけると嬉しいです!」
よくある質問
Q: 家族や親友から頼まれた場合も、正規料金を請求すべきですか?
A: 基本的な姿勢は変えるべきではありません。ただし、それがビジネスではなく、完全なプライベートの助け合い(例:PCの設定を手伝うなど)であれば、無償や実費のみで応じることも自然です。仕事として、事業として受けるのであれば、正規料金が原則です。
Q: 一度「お友達価格」で引き受けてしまった相手から、再度依頼されたら?
A: 「前回は事業開始直後の実績作りのため、特別価格で対応させていただきましたが、現在は通常料金でサービスを提供しております」と、丁寧かつ明確に伝え、現在の正規料金を提示しましょう。
Q: 相手が明らかに予算がない場合はどうすれば?
A: 正規料金での提供が難しいことを伝えた上で、「ご予算に合わせて、この部分の機能に絞った形であれば対応可能です」と、提供するサービスの範囲を調整する提案をするのが良いでしょう。安易な値引きは避けるべきです。
Q: 「お友達価格」を提示しないことで、ケチだと思われませんか?
A: そう思う相手とは、そもそも長期的に良好なビジネス関係を築くことは困難です。あなたのプロとしての価値を正当に評価し、尊重してくれる友人こそが、本当の意味で大切にすべき相手です。自信を持って、誠実な対応を貫くべきです。
Q: 自分のスキルアップのための実績作りとして、安く受けるのはアリですか?
A: はい、それは有効な戦略です。ただし、その場合も「今回は実績作りのため、期間限定のモニター価格として〇〇円で提供します。通常価格は〇〇円です」と、正規料金を明示した上で、なぜ安いのかを明確に伝えることが重要です。
筆者について
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