こんな人におすすめの記事です
- 請求書の支払い期限を過ぎても入金がなく、対応に困っている方
- クライアントとの関係を悪化させずに、支払いを催促したいと考えている方
- 未払いを催促する際の、具体的なメールの文面や伝え方を知りたい方
- フリーランスや個人事業主として、未払いリスクを減らすための知識を身につけたい方
結論:未払いの催促は「段階的に、冷静に、記録を残して」行う
請求書を送ったにもかかわらず、支払い期限を過ぎても入金がない。これは、フリーランスや中小企業の経営者にとって、事業の継続を揺るがしかねない深刻な問題であり、同時に大きな精神的ストレスを伴います。
結論から言います。請求書の未払いに対する催促は、感情的にならず、段階的に、かつ全てのやり取りの記録を残しながら機械的に行うのが、最も効果的かつ適切な方法です。焦りや怒りから感情的な連絡をしてしまうと、かえって交渉がこじれ、回収できるものも回収できなくなるリスクがあります。
この記事では、相手との関係性を維持しつつ、確実に入金を促すための具体的なステップとメール文例、そして最終的な法的措置に至るまでのプロセスを網羅的に解説します。
第1章:なぜ支払いは遅れるのか?相手を責める前に確認すべきこと
催促のアクションを起こす前に、まず支払いが遅れる主な原因を理解しておくことが重要です。原因によって、とるべき対応のニュアンスも変わってきます。
- 原因1:単純な失念・確認漏れ 最も多いのがこのケースです。担当者が多忙で処理を忘れていただけ、経理担当者への連携が漏れていただけ、という単純なミスです。この場合、丁寧な確認連絡で解決することがほとんどです。
- 原因2:社内の経理フローの問題 相手企業の経理上の締め日や支払サイト(例:月末締め、翌々月末払い)の都合で、こちらの想定より支払い日が後になっているケースです。契約時に支払サイトを確認しておくことが重要になります。
- 原因3:請求書自体の不備 請求書の記載内容に誤りがあったり、そもそもメールが迷惑フォルダに入っていて届いていなかったり、といった物理的な問題です。
- 原因4:意図的な支払い遅延・資金繰りの悪化 最も警戒すべきケースです。相手企業の経営状態が悪化しており、支払いが困難になっている可能性があります。この場合、迅速かつ毅然とした対応が求められます。
第2章:実践!催促の3ステップと具体的なメール文例
催促は、丁寧な確認から始め、徐々に要求の度合いを強めていくのが基本です。各ステップでの具体的なアクションと、そのまま使えるメール文例を紹介します。
ステップ1:支払い期限から3〜5営業日後【件名:ご確認】
この段階では、相手の単純な失念を想定し、あくまで「ご確認」というスタンスで穏やかに連絡します。
目的:相手にプレッシャーを与えずに、未入金である事実に気づかせる。 手段:メール
【メール文例1:確認】
件名: 【ご確認】〇月分請求書について(株式会社〇〇 〇〇太郎)
本文: 株式会社△△ 経理ご担当者様
いつもお世話になっております。 株式会社〇〇の〇〇太郎です。
〇月〇日付で発行いたしました、下記の請求書について、 お支払いの状況はいかがでしょうか。 ご確認いただけますと幸いです。
請求書番号:12345 請求金額:110,000円(税込) お支払期限:2025年〇月〇日
なお、本メールと行き違いでご入金いただいておりましたら、 何卒ご容赦ください。
引き続き、どうぞよろしくお願いいたします。
ステップ2:支払い期限から1〜2週間後【件名:再送/お支払いのお願い】
最初のメールに返信がない場合、次は未払いであることを明確に伝え、支払いを依頼します。メール送信後、電話で「メールをお送りしたのですが、ご確認いただけましたでしょうか」とフォローを入れるとより効果的です。
目的:未払いであることを明確に伝え、支払いの意思と予定日を確認する。 手段:メール+電話
【メール文例2:催促】
件名: 【ご確認のお願い】〇月〇日期限の請求書について(株式会社〇〇 〇〇太郎)
本文: 株式会社△△ 経理ご担当者様
いつもお世話になっております。 株式会社〇〇の〇〇太郎です。
先日、ご確認のお願いでご連絡いたしました、 〇月〇日期限の請求書(No. 12345)につきまして、 本日時点でご入金の確認が取れておりません。
お忙しいところ恐縮ですが、状況をご確認いただき、 お支払いの予定日をお教えいただけますでしょうか。
請求書を改めて添付いたしますので、ご査収ください。
何卒よろしくお願い申し上げます。
ステップ3:支払い期限から1ヶ月以上【件名:最終通告】
度重なる連絡にもかかわらず、入金も連絡もない場合、最終通告として、より毅然とした態度で支払いを要求します。この段階では、メールだけでなく、法的な証拠能力が高い内容証明郵便の送付を検討します。
目的:法的措置も視野に入れていることを伝え、最終的な支払いを強く促す。 手段:内容証明郵便/メール
【メール文例3:最終通告】
件名: 【重要・最終通告】請求書(No. 12345)のお支払いについて
本文: 株式会社△△ 代表取締役 △△様
平素は格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。 株式会社〇〇の〇〇太郎です。
さて、貴社にご請求しております下記代金につきまして、 これまで再三にわたりお支払いのお願いをしてまいりましたが、 本日現在、ご入金の確認ができておりません。
請求書番号:12345 請求金額:110,000円(税込) お支払期限:2025年〇月〇日
つきましては、誠に不本意ではございますが、 本書面到着後、7日以内(2025年〇月〇日まで)に お支払いいただけない場合、やむを得ず、 法的措置を検討せざるを得ませんので、ご承知おきください。
速やかにお支払いいただけますよう、強くお願い申し上げます。
第3章:それでも支払われない場合の法的措置
最終通告後も支払いがない場合、法的な手続きに移行することを検討します。主な手段は以下の通りです。
- 支払督促:裁判所を通じて、相手方に支払いを命じる督促状を送付してもらう制度です。相手が異議を申し立てなければ、強制執行が可能になります。
- 少額訴訟:請求額が60万円以下の場合に利用できる、原則1回の審理で判決が出る簡易的な裁判手続きです。
- 通常訴訟:請求額が60万円を超える場合や、相手が争う姿勢を見せている場合に行う、通常の裁判手続きです。この段階では、弁護士への相談が不可欠です。
第4章:未払いリスクを未然に防ぐための契約・取引術
最も重要なのは、未払いを発生させないための予防策です。
- 契約書を必ず交わす:取引開始前に、支払い条件(支払日、支払方法)や、支払いが遅れた場合の遅延損害金について明記した契約書を締結します。
- 与信管理を行う:初めての取引相手については、企業の評判や経営状況を可能な範囲で調査します。
- 前金・着手金を設定する:特に高額な案件や、新規の取引相手の場合、契約時に代金の一部(例:30%〜50%)を前金として受け取ることで、リスクを大幅に軽減できます。
- 請求・入金管理を徹底する:請求書の発行漏れや、入金確認の遅れがないよう、管理体制を整えます。
よくある質問
Q: 電話で催促するのは失礼ですか?
A: いいえ、失礼ではありません。メールで連絡がつかない場合、電話での確認は有効な手段です。ただし、高圧的な態度にならないよう「メールをお送りしたのですが、ご確認いただけましたでしょうか」と、あくまで確認という形で連絡するのが良いでしょう。
Q: 遅延損害金は、本当に請求できますか?
A: 契約書に遅延損害金に関する定めがあれば、法的に請求する権利があります。年利は、特に定めがなければ法定利率(2025年時点では年3%)が適用されます。実際に請求するかは、相手との関係性を考慮して判断することになります。
Q: 相手が倒産してしまったら、もう回収は不可能ですか?
A: 回収は極めて困難になります。破産手続きが開始された場合、債権者として届け出を行い、配当を待つことになりますが、全額が回収できるケースは稀です。
Q: 回収にかかった弁護士費用なども、相手に請求できますか?
A: 原則として、訴訟で勝訴しても、相手に請求できる弁護士費用は、損害額として認められた金額の一部に限られるのが一般的です。全額を請求することは難しいです。
筆者について
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