想定読者

  • オンラインで商品やサービスを販売している個人事業主の方
  • これからオンラインビジネスを始める個人事業主の方
  • 特定商取引法に基づく表記の記載内容を最小限に抑えたいと考えている方
  • 法律に関する情報を、分かりやすく正確に知りたい方

結論:省略規定は存在するが、完全開示が推奨される

特定商取引法に基づく表記、通称「特商法表記」には、通信販売を行う個人事業主が一部の項目を省略できる「請求があれば遅滞なく開示」という規定が存在します。しかし、この規定を利用する際には、消費者からの信頼性や、法的なリスクを考慮する必要があります。結論として、規定は存在するものの、事業の信頼性向上とリスク回避のためには、完全な情報開示が良いでしょう。

特定商取引法に基づく表記の基本と個人事業主の義務

特定商取引法は、事業者による不公正な取引行為を規制し、消費者トラブルを防止することを目的とした法律です。特に、インターネットを介した通信販売は、消費者が商品やサービスを直接確認できない特性があるため、事業者にはより詳細な情報開示が義務付けられています。

個人事業主も表示義務の対象

法人だけでなく、個人事業主もオンラインで商品やサービスを販売し、特定商取引法の「通信販売」に該当する場合は、特商法表記の表示義務があります。これは、事業形態に関わらず、消費者保護の観点から一律に適用されるものです。

表示義務を怠った場合の罰則

特定商取引法に基づく表示義務を怠った場合、事業者には以下のような罰則が科せられる可能性があります。

  • 行政処分: 業務改善指示、業務停止命令、業務禁止命令など。
  • 罰金: 違反内容によっては、罰金が科せられることもあります。

これらの罰則は、事業の継続に大きな影響を与えるため、特商法表記の重要性を軽視してはなりません。

個人事業主の特商法表記「請求があれば遅滞なく開示」とは

特定商取引法第11条では、通信販売の広告に記載すべき事項が定められています。その中で、個人事業主が通信販売を行う場合に限り、一部の項目について「請求があれば遅滞なく開示する」旨を記載することで、広告への記載を省略できる規定があります。

規定の解説

この規定は、広告のスペースが限られている場合など、合理的な理由がある場合に、消費者が請求した際に、事業者名(氏名)、住所、電話番号といった情報を遅滞なく開示できる体制が整っていれば、広告への記載を省略できるというものです。

省略できる項目

個人事業主の場合に限り、以下の項目を省略できます。

  • 販売業者名(氏名)
  • 代表者名(氏名)
  • 所在地
  • 電話番号

省略できない項目

上記以外の、取引条件に関する重要事項は、いかなる場合も省略できません。これらは、消費者が購入を判断する上で不可欠な情報だからです。

  • 商品の販売価格
  • 商品代金以外の必要料金(送料、手数料など)
  • 代金の支払い時期・方法
  • 商品の引渡時期
  • 返品・交換に関する事項

これらの項目は、広告に必ず記載する必要があります。

「請求があれば開示」を利用する際のリスクと注意点

「請求があれば遅滞なく開示」という規定は、一見すると便利に思えますが、利用する際にはいくつかのリスクと注意点があります。

リスク1:消費者からの信頼低下

氏名や住所、電話番号といった基本的な情報が広告に記載されていない場合、消費者は「なぜ情報を隠しているのだろう」「何か問題があるのではないか」といった不信感を抱く可能性があります。特に、インターネット上での取引では、事業者の信頼性が非常に重要視されるため、情報が少ないことは購入の障壁となり得ます。

リスク2:問い合わせ対応の増加

情報が省略されていることで、消費者は必要な情報を得るために、事業者へ直接問い合わせる必要が生じます。これにより、問い合わせ対応の件数が増加し、本来の業務を圧迫する可能性があります。

リスク3:行政指導のリスク

「請求があれば遅滞なく開示」という規定は、その適用条件が厳格です。例えば、広告のスペースが限られているという合理的な理由がない場合や、消費者が請求した際に「遅滞なく」開示できなかった場合、行政指導の対象となる可能性があります。この「遅滞なく」の解釈も曖昧な部分があり、トラブルの原因となることもあります。

注意点

  • 省略する旨の明確な記載: 省略する項目がある場合でも、その旨を広告に明確に記載する必要があります。例えば、「氏名、住所、電話番号は、請求があれば遅滞なく開示します」といった文言が必要です。
  • 速やかな開示体制の整備: 消費者から請求があった際に、速やかに情報を提供できる体制を整えておく必要があります。メールでの自動返信や、専用の開示ページを用意するなど、具体的な方法を検討しましょう。
  • メールアドレスは省略不可: 連絡手段として、メールアドレスは必ず広告に記載する必要があります。これは、消費者からの請求を受け付けるための重要な連絡先だからです。

結局、個人事業主も完全開示が推奨される理由

「請求があれば遅滞なく開示」という規定は存在しますが、多くの個人事業主にとって、この規定を利用するメリットは小さいと言えます。むしろ、以下の理由から、最初から全ての情報を開示する「完全開示」が強く推奨されます。

1. 信頼性の向上

全ての情報を開示することで、消費者からの信頼をより確実に得ることができます。透明性の高い事業運営は、顧客獲得に直結します。

2. 問い合わせの削減

必要な情報が全て記載されていることで、消費者からの疑問や確認の問い合わせが減り、業務効率が向上します。

3. 法的なリスクの低減

省略規定の適用条件の誤解や、開示遅延による行政指導のリスクを完全に回避できます。安心して事業に集中できる環境を整えることができます。

よくある質問

Q: 「遅滞なく開示」とは、具体的にどれくらいの時間ですか?

A: 明確な時間的基準は定められていませんが、一般的には、消費者が請求してから24時間以内、遅くとも2-3日以内には開示されるべきだと考えられています。速やかに対応できる体制を整えることが重要です。

Q: 広告のスペースが限られている場合とは、どのようなケースですか?

A: 例えば、雑誌広告やチラシなど、物理的に記載スペースが限られている場合が想定されます。しかし、Webサイトの場合は、基本的にスペースの制限がないため、この理由で省略規定を適用することは難しいとされています。

Q: 氏名や住所を公開したくないのですが、どうすれば良いですか?

A: 特定商取引法に基づく表記は、消費者保護を目的とした法律であり、氏名や住所の公開は義務付けられています。公開したくない場合は、バーチャルオフィスや私書箱の利用を検討することもできますが、前述の通り、行政機関が立ち入り調査できる実態があることが求められます。また、個人情報保護の観点から、プライバシーポリシーを別途作成し、個人情報の取り扱いについて明示することも重要です。

Q: ネットショップのプラットフォームを利用している場合も必要ですか?

A: はい、必要です。Amazonや楽天市場、BASE、STORESなどのネットショッププラットフォームを利用して商品を販売する場合でも、事業者自身が特定商取引法に基づく表記を行う義務があります。プラットフォームによっては、表記のテンプレートが用意されている場合もありますので、確認して適切に記載してください。

最後に

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