発言を待つ進め方も案が出ない原因になる
新サービスや販促の企画会議で案が少ないと、参加者の発想力や準備不足に原因を求めがちです。しかし、一人が話している間に他の人が発言を待つ仕組み自体も、案を生み出す作業を妨げます。複数人で自由に案を出すブレインストーミング、通称ブレストを改善するなら、全員が独立して案を書ける時間を設ける方法を検討できます。
発言の順番待ちによる発想の妨げを、研究では プロダクション・ブロッキング と呼びます。DiehlとStroebeの実験は、発言を待たせる操作によって案の件数が減ることを示しました。会議の進め方も調べる理由があります。(Diehl・Stroebeの実験)
この記事で提案するのは、独立して案を作る時間と、他の案を検討する時間を設け、それぞれの成果を記録する運営です。会話の量だけで成功を判断せず、候補が増えたか、試す価値のある案を選べたかを追います。
順番待ちの影響をどう調べたのか
DiehlとStroebeが1987年に発表した第4実験では、西ドイツのテュービンゲン大学の心理学の学生60人が、失業を減らす案を考えました。別室で作業する参加者にも、信号が示す他者の発言中は話せない仕組みを導入しています。測ったのは、4人分を集計した重複のない案の件数です。発言待ちを課した群では、自由に発言できた群より件数が少なくなりました。(Diehl・Stroebeの第4実験)
この結果が示すのは、発言する仕組みが出力に影響することです。自社の会議で案が少ない理由を特定するには、議題についての知識、考える時間、発言方法を実際に調べる必要があります。学生による発想課題の結果を、自社の売上や企画の成功率に換算することはできません。
実務では、会議中に浮かんだ案を、その場で各自のメモへ書き残せるようにします。口頭で説明する機会を待つ間も記録できれば、議論に出た案だけが候補として残る運営を変えられます。これは研究を踏まえた運営上の提案です。
他の案が見えない時間を設ける
独立して考える時間は、全員が同時に作業できることに意味があります。共有ボードへ書く形式でも、他の投稿を読み続ける運営なら、自分の案を考える時間と他者の案を検討する時間が重なります。導入時には、各自のメモへ記入し、決めた時刻に公開する方法が試せます。
Girotraらの2010年の研究は、米国ペンシルベニア大学で製品設計を学ぶ学生44人を調べました。4人で30分間作業する形式と、10分間の独立作業に20分間の共同作業を続ける形式を比較し、どちらも最後に5分間で案を選びました。後者では生成した案の件数が多い結果でした。実験の10分という配分は、あらゆる企画に最適な時間を測った数値とは区別します。(Girotraらの発想と選定の研究)
試行では、会議の目的を一つの問いにします。たとえば、初回相談の予約後に来訪を取りやめる人を減らす案を考えるなら、現在の予約手順と、取りやめた理由の記録を共通の材料にします。資料に答えがない部分は推測と記し、事実と混同しないようにしてください。
一つのメモには、変える作業と解決する問題を記します。予約確認メールを変える案なら、日時を誤認する問題への対応なのか、場所が分からない問題への対応なのかを明記します。同じ機能名でも解く問題が違えば、検討すべき内容が変わります。
案を増やす仕事と選ぶ仕事は別々に評価する
生成した候補の数と、採用した案の価値は、異なる成果です。Girotraらの研究でも、参加者が選んだ上位5案の評価は指標によって結果が異なり、購入意向の評価では独立作業を含む形式が上回りましたが、事業価値の評価では有意差がありませんでした。評価は実際の販売実績とは区別する必要があります。(Girotraらの選定結果)
会議を評価する際は、候補を生み出した件数と採用後の検証結果 を記録しましょう。案が増えても、誰のどんな問題に効くかが曖昧なら、追加調査が必要です。発言が多かった案をそのまま採用する運営では、発想方法を変えた効果を事業の成果につなげる作業が残ります。
| 記録する内容 | その記録で判断すること |
|---|
| 重複を除いた案の件数 | 同じ案の言い換え以外にも候補が増えたか |
| 各案が解決する具体的な問題 | 解く問題が特定されているか |
| 採用の根拠と不足する情報 | 試行へ進むか追加調査を行うか |
| 試行後の利用者の行動 | 想定した問題を減らしたか |
件数を比べる際は、参加人数、作業時間、議題、重複と判定する基準も残します。前回と議題が違う会議の件数が増えても、進め方の変更だけが原因とは断定できません。同じ人数でも時間が異なれば、会議全体の件数に加えて、投入した作業時間も比較に必要です。
次の企画会議で試す進行案
次の表は実務で試すための配分例です。研究の実験手順を再現したものではなく、4人で予約取りやめを減らす案を検討する35分間を想定しています。議題と資料は事前に共有します。
| 時間 | 行う作業 | 残す成果物 |
|---|
| 10分 | 各自のメモへ独立して案を書く | 全員の原案 |
| 10分 | 原案を公開して読み疑問点を補足する | 内容を理解するための追記 |
| 10分 | 解く問題と実施費用を比較し試す案を選ぶ | 選定理由と未解決の疑問 |
| 5分 | 試行の担当者と評価する行動を決める | 担当者と測定方法 |
読み合わせの途中で新しい案が生まれたら、元の案を書き換えるだけで済ませず、追加案として残します。原案と共同作業後の追加案を区別すると、どの時間帯に候補が増えたかを追えます。
予約案内の変更を試すなら、予約件数に対する来訪件数など、目的に合う指標を事前に決めます。単にメールを開いた件数が増えたことと、取りやめが減ったことを区別してください。試行の結果が不十分なら、案の選定根拠と不足情報を再検討します。
発言数より残った案と検証結果を追う
ブレストで案が少ないときは、参加者に発言を求めることに加え、全員が同時に案を作れる時間を設けてみてください。独立した原案、共同作業での追加案、採用の根拠を残すと、会議のどの仕事を変える必要があるかを検討できます。
採用した案をサービスの案内へ反映する際は、利用手順、日時、場所など、利用者の行動に必要な情報をホームページにも掲載しましょう。実験中の内部メモと、確定した公開情報を区別して更新します。
SpreadSite は、Googleスプレッドシートで内容を管理し、テンプレートを使ってホームページを作成・公開・更新できるノーコードツールです。
企画会議で決めたサービスの利用手順や予約案内を伝えるホームページの作成に、ぜひ使ってみてください!
SpreadSiteでホームページを作成する →