こんな人におすすめの記事です
- 個人事業主・フリーランスとして開業したばかりで、確定申告の知識がない方
- 白色申告と青色申告の具体的な違いや、どちらが得になるのかを知りたい方
- 節税に関心があり、青色申告のやり方を具体的に学びたい方
- 会計ソフトの導入を検討しており、確定申告を効率的に終わらせたい方
結論:事業を続けるなら、青色申告以外の選択肢はない
個人事業主として開業すると、会社員時代には馴染みのなかった「確定申告」という手続きを、自分自身で行う必要が出てきます。その確定申告には、「白色申告」と「青色申告」の2種類があり、どちらを選ぶかによって、あなたが納める税金の額が大きく変わることをご存知でしょうか。
結論から言います。もしあなたが、今後も事業を継続し、少しでも手元にお金を残したいと考えるのであれば、選択すべきは青色申告です。なぜなら、青色申告には、白色申告にはない最大65万円の特別控除をはじめとする、金銭的なメリットが多数用意されているからです。
「青色は手続きが難しい」というイメージがあるかもしれませんが、会計ソフトが普及した現在、そのハードルは著しく下がっています。この記事では、両者の違いを明確にした上で、開業1年目から青色申告を始めるための具体的な手順を、初心者にも分かりやすく解説します!
第1章:そもそも確定申告とは何か?
確定申告とは、毎年1月1日から12月31日までの1年間に生じた全ての「所得」と、それに対する「所得税」の額を自分で計算し、税務署に報告・納税する一連の手続きのことです。個人事業主の場合、以下の計算式で所得を算出します。
事業所得 = 総収入金額 - 必要経費
この事業所得から、さらに各種控除(基礎控除、社会保険料控除など)を差し引いた金額(課税所得)に、所得税率を掛けて、最終的な納税額が決定します。確定申告は、原則として翌年の2月16日から3月15日までに行います。
第2章:白色申告とは? - 手軽だが、税制上の特典はない
白色申告は、青色申告の承認を受けていない全ての事業者が行う申告方法です。
メリット
- 事前の申請が不要:税務署に特別な届出をしなくても、確定申告を行えば自動的に白色申告となります。
- 帳簿付けが比較的簡易:日々の取引を記録する記帳義務はありますが、青色申告の複式簿記に比べ、簡易な帳簿(単式簿記)で良いとされています。
デメリット
- 税制上の特典が一切ない:後述する青色申告の特別控除や、赤字の繰越しといった、節税に繋がるメリットを全く受けることができません。
白色申告は手軽に始められますが、事業として収益を上げていく上では、金銭的なデメリットが非常に大きい選択肢と言えます。
第3章:青色申告とは? - 手間はかかるが、メリットが絶大
青色申告は、所定の手続きを行い、税務署長の承認を受けることで可能になる申告方法です。帳簿付けの手間は増えますが、それを補って余りある、数多くの税制上のメリットが用意されています。
メリット
- 最大65万円の青色申告特別控除:所得金額から、最大で65万円を無条件で差し引くことができます。例えば、所得税率が10%の場合、65万円 × 10% = 6.5万円の節税になります。
- 赤字の3年間繰越し:事業で生じた赤字(純損失)を、翌年以降3年間にわたって繰り越し、将来の黒字と相殺することができます。
- 家族への給与を経費にできる:生計を同一にする配偶者や親族に支払う給与を、全額必要経費にできます(青色事業専従者給与)。
- 30万円未満の資産を一括で経費にできる:パソコンやデスクなど、通常は複数年に分けて経費計上(減価償却)する高額な備品も、30万円未満であれば、購入した年に一括で経費として計上できます。
デメリット
- 事前の届出が必要:原則として、青色申告をしようとする年の3月15日までに「所得税の青色申告承認申請書」を税務署に提出する必要があります。
- 複式簿記での記帳が原則:65万円控除を受けるためには、正規の簿記の原則(一般的には複式簿記)に従って帳簿を作成する必要があります。
第4章:【一覧比較】白色申告と青色申告(65万円控除)の違い
両者の違いを一覧表にまとめます。
項目 | 青色申告(65万円控除) | 白色申告 |
---|---|---|
特別控除額 | 最大65万円 | なし |
赤字の繰越し | 3年間可能 | 不可 |
家族への給与 | 経費にできる(青色事業専従者給与) | 経費にできない(事業専従者控除のみ) |
30万円未満の資産 | 一括で経費にできる | 10万円未満のみ一括経費可 |
記帳方法 | 複式簿記 | 簡易な方法で可 |
事前届出 | 必要 | 不要 |
電子申告(e-Tax) | 65万円控除の必須要件 | 義務ではない |
第5章:開業1年目から青色申告(65万円控除)を始める全手順
「複式簿記」と聞くと難しく感じるかもしれませんが、会計ソフトを利用すれば、簿記の知識がなくても、日々の取引を入力するだけで自動的に必要な帳簿を作成してくれます。以下の手順で、開業1年目から青半色申告を始めましょう。
ステップ1:必要書類を期限内に提出する
青色申告を始めるには、以下の2つの書類を、所轄の税務署に提出する必要があります。
- 個人事業の開業・廃業等届出書(開業届) 事業を開始した日から、原則として1ヶ月以内に提出します。
- 所得税の青色申告承認申請書 青色申告をしようとする年の3月15日までに提出します。ただし、その年の1月16日以降に新規開業した場合は、事業を開始した日から2ヶ月以内に提出すれば、その年から青色申告が適用されます。
開業したら、この2つの書類はセットで、すぐに提出すると覚えておきましょう。
ステップ2:会計ソフトを導入し、日々の取引を記帳する
freeeやMoney Forward クラウドといったクラウド会計ソフトを導入することをおすすめします。銀行口座やクレジットカードを連携すれば、取引データが自動で取り込まれ、勘定科目を推測してくれます。あなたは、その内容を確認・修正するだけで、日々の記帳作業が完了します。
ステップ3:確定申告時期に、電子申告(e-Tax)で提出する
会計ソフトの指示に従って操作すれば、1年間の帳簿データから「青色申告決算書」と「確定申告書」が自動で作成されます。そして、そのデータをe-Tax(国税電子申告・納税システム)を利用して、オンラインで税務署に提出します。
注意点:青色申告で最大のメリットである65万円の特別控除を受けるためには、このe-Taxによる電子申告が必須条件となっています。郵送や持参で提出した場合、控除額が55万円に減額されてしまうため、注意が必要です。
よくある質問
Q: 開業から2ヶ月を過ぎてしまいました。もう今年分は青色申告できませんか?
A: 残念ながら、原則としてその年の青色申告は適用されません。次の年からの適用を目指し、翌年の3月15日までに青色申告承認申請書を提出してください。今年分は白色申告で行うことになります。
Q: 簿記の知識が全くありませんが、本当に青色申告できますか?
A: はい、可能です。現在のクラウド会計ソフトは非常によくできており、簿記を意識することなく、家計簿感覚で入力作業が進められるように設計されています。ヘルプやサポート体制も充実しているため、初心者でも問題なく利用できます。
Q: 赤字の場合、確定申告はしなくても良いですか?
A: いいえ、確定申告は必要です。特に青色申告の場合、赤字を申告することで、その赤字を翌年以降3年間の黒字と相殺できるという大きなメリットがあります。赤字だからこそ、必ず確定申告を行いましょう。
Q: 会社員で副業をしている場合も、青色申告はできますか?
A: はい、副業の所得が「事業所得」または「不動産所得」に該当すれば、青色申告が可能です。ただし、そのためには開業届を提出し、事業として継続的に行っている実態が必要です。
Q: 65万円控除の他に、55万円控除や10万円控除もあると聞きました。違いは何ですか?
A: 青色申告特別控除には3つの段階があります。
- 65万円控除:複式簿記で記帳し、e-Taxで電子申告を行う。
- 55万円控除:複式簿記で記帳するが、申告は郵送や持参で行う。
- 10万円控除:簡易な帳簿(単式簿記)で記帳する。 最大の節税効果を得るためには、65万円控除を目指すべきです。
筆者について
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